菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

いっしょに生きるのが罪だとて。 『ラビング 愛という名前のふたり』

2017年03月21日 00時02分21秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1051回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

『ラビング 愛という名前のふたり』

 

 

 

 

 

『テイク・シェルター』、『MUD マッド』のジェフ・ニコルズ監督(脚本も)が、異人種間の結婚を犯罪とする州が存在した1950年代から60年代に、愛を貫き、州と戦ったラビング夫婦の感動の実話を映画化。

 

 

 

 

 

物語。

1958年、アメリカ南部、バージニア州。

レンガ職人の白人男性リチャード・ラビングは、幼なじみで恋人の黒人女性ミルドレッドから妊娠を告げられ、結婚を決意する。

しかし、バージニア州では異人種間の結婚が法律で禁じられており、異人種カップルは未婚で同居で耐えていた。

だが、リチャードは結婚が大事だと法律で認められているワシントンDCまで行き、結婚する。

身内は危険だとは思いつつも、二人を祝福する。

ラビング夫妻は、土地を購入し、新居を建て、結婚生活をスタートさせる。

だが、ある日、保安官に押し込まれ、逮捕されてしまう。

そして、ラビング夫妻は、懲役と収監を逃れるために、離婚か、どちらかの25年間の州外退去か、を迫られる。

 

 

 

 

出演。

ジョエル・エドガートンが、夫のリチャード・ラビング。

ルース・ネッガが、妻のミルドレッド・ラビング。

 

この二人の空気感の心地よさ。

 

 

 

ニック・クロールが、弁護士のバーナード・コーエン。

こういう頼りなさそうな感じって出すの難しいのよね。

 

ジョン・ベースが、弁護士のフィリップ・ハーシュコプ。

この人のゲイな感じも素晴らしい。

 

 

マイケル・シャノンが、記者のグレイ・ビレット。

『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』と続けての寄り添う男です。

 短い出演ですが、いい役で、いい役にした素晴らしい役作り。

 

 

テリー・アブニーが、姉のガーネット。

アラーノ・ミラーが、兄のレイモンド。

 

 

マートン・ソーカスが、ブルックス保安官。

こういう話では、こういう役が本当に大事。 

 

 

 

 

 

 

スタッフ。

製作は、ゲド・ドハティ、コリン・ファース、サラ・グリーン、ナンシー・ビュアスキー、マーク・タートルトーブ、
ピーター・サラフ。

コリン・ファースとパートナーの製作会社はこういう骨太な映画を作るために会社を立ち上げたそうです。


製作総指揮は、ブライアン・カヴァナー=ジョーンズ。


撮影は、アダム・ストーン。

落ち着いた安定下構図が居心地よいです。

 


プロダクションデザインは、チャド・キース。 
衣装デザインは、エリン・ベナッチ。 

 

編集は、ジュリー・モンロー。

じっくりした見せ方が暮らしを見せ、時間軸をするりと飛ばす。

安定したカットバックがいい緊張感を作っていきます。

 

 

音楽は、デヴィッド・ウィンゴ。

 

 

 

 

 

60年代の米国の異人種間結婚を認めない南部の州で白人の夫と黒人の妻のラビング夫妻の愛を描く実話ドラマ。
ドラマチックな伝記再現になりがちなところを避け、生活のドラマにし、暮らしの時間で語るジェフ・ニコルズの節度が沁み入る。
ジョエル・エドガートンの真面目に妻を愛す朴訥な夫ぶり、ルース・ネッガの強い南部女ながら夫に寄り添う妻ぶりに、すぅーっと涙が溜まる。
昼下がりの原っぱで家族が笑えている、それだけで幸せになれるんだ。
どこにである特別。こんなラブストーリーが見たかった。
車による映画話法にも舌を巻く。
誰かといっしょにいるということの強さを知る傑作。

 

 

 

 

 

 

 

おまけ。

原題は、『LOVING』。

苗字です。

もちろん『愛する』という意味も。

 

 


上映時間は、123分。
製作国は、アメリカ。

映倫は、G。

 

 

 

キャッチコピーは、「ただ、一緒にいたかった――その切なる願いが、世界を変えた。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ややネタバレ。

ハト男の話はもうちょっとちゃんと字幕にして欲しかった。

元々ああなのかな?

 

 

ジョエル・エドガートンは歯並びを悪くさせ、受け口にして、本人に似せたそうです。

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

EDに流れるBen Nicholsによる主題歌『Loving』の翻訳の歌詞がちょっと簡単にしすぎ。特にサビ。

記憶だとこんな感じ。

<♪~「お前を愛している」

 お前にそう告げた。

 彼らに届かないかもしれない

 お前にだけ届けばいい~>

 

原詞は、もうちょっと物語に沿って、複雑な歌詞になっている。

菱沼訳。

<♪~そして俺は「お前を愛してない」と偽った

 俺は胸の中の真実(の愛)をお前に証明した

 奴らには(言葉では)充分ではなかった

 だが、お前には(言葉無しで)充分だった>

 

シンプルにして感動を伝えようという気持ちはわかるけど、さすがにどうかな。

 

車の使い方が巧み。

カーレースに出るほど、車のチューンナップと修理が趣味のリチャードが車にだんだんおびえてくる様は恐怖とは何か、人がどう変わるかを視覚的に見せる。

簡単には直らず、チューンナップしてももっとできるなと上を目指す。

記者も「お手上げだ」といいつつ、ボンネットの中をのぞく。

記事による警告も車の中に置かれる。

子供は車の事故に遭い、リチャードも自動車事故で死ぬ。

でも、車が彼らを自由にし、危険を知らせ、家族とつないでいた。

子供らはタイヤで遊び、家族の団らんも修理中の車の周りにある。

車はそのままアメリカにも例えられている。

 

 

 

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