菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

筒と弦 (tutu to turu)    『ローラーとバイオリン』

2010年02月18日 00時00分56秒 | オレは好きなんだよ!

【俺は好きなんだよ】第203回

 

『ローラーとバイオリン】(1960)
 
 
原題は、『КАТОК И СКРИПКА』。
ロシア語ですね。はい、まったく、読めません。
英題は『The Steamroller and the Violin』なので、ロシア語でも同じ意味かも。
 

スタッフ。
監督:アンドレイ・タルコフスキー
脚本:アンドレイ・タルコフスキー/アンドレイ・コンチャロフスキー
撮影:ワジーム・ユーソフ
音楽:ヴァチェスラフ・オフチンニコフ
 
 
出演。
J・フォムチェンコ
V・ザマンスキー
N・アルハンゲルスカキ


物語。
バイオリンの練習が嫌でしようがない少年。
彼は、が家を抜け出し、工事現場でさぼっているとローラー車の作業員の青年と親しくなる。
少年は、ローラー車に乗せてもらううちに、空想に浸って愉快な体験をする。

 

受賞歴。
1960年のニューヨーク国際学生映画コンクールにて、第一位。




A・ラモリスの『赤い風船』に影響を受けて、作られたタルコフスキーの映画大学の卒業製作作品。
同窓のアンドレイ・コンチャロフスキーが共同脚本。
すでに、その特徴的とも言われるモチーフである水や廃墟、鏡などが現ている。

ロシアのイメージにつながりにくい色彩の豊かさは、『赤い風船』からの影響ゆえかも。
独特の切なさの余韻も踏襲しているのかもしれない。
もしくは、それこそが、寒い国ならではのファンタジーなのかもしれない。


短編としては作られているとかんがえるお、実は、40分を超えて中編になったらしく、そのことについてともいえることを、タルコフスキーはこう言っている。
「もし正常な長さのショットを引き延ばせば、最初は退屈になる。しかしさらに引き延ばすと、興味がわいてくる。 それをさらに延ばせば、新たな質、新たな関心の強度が生まれる。」
彼独特の静謐さはこういう時間感覚の獲得から、生まれているのだろう。

そういった意味もふくめて、まさにタルコフスキーの始まりを感じさせる作品。
タルコフスキーの重さが苦手な方でも楽しめる。
学生のレベルでは全く収まらない巨匠の芽。
山菜でも芽が美味しいですからね。
ぜひぜひその新鮮な峻烈をどうぞ。



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