菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

この青い世界をオレンジに染めてよ。  『パラダイスの夕暮れ』

2016年11月25日 00時00分09秒 | 俺は好きなんだよ!

【俺は好きなんだよ】第883回は、『パラダイスの夕暮れ』(1986)

 

 

フィンランド語の原題は、『Varjoja paratiisissa』。
英語題は、『SHADOWS IN PARADAISE』。

『楽園の影』ですね。

どちらも同じ意味だそうです。

 


上映時間 :80分
製作国 :フィンランド

 

スタッフ。

監督: アキ・カウリスマキ
製作: ミカ・カウリスマキ
脚本: アキ・カウリスマキ
撮影: ティモ・サルミネン
美術: ペルッティ・ヒルカモ
編集: ライヤ・タルヴィオ
録音: ヨウコ・ルッメ

 


出演。

マッティ・ペロンパー
カティ・オウティネン
サカリ・クオスマネン
エスコ・ニッカリ

 

 

物語。

ニカンデルはゴミ清掃車の運転手。

LL教室で英語を習い、卵を焼いてひとり窓の外を眺めながら食べる。
スーパーのレジ係イロナと知り合った彼はデートに誘うが、一張羅でキメたものの、ビンゴ屋に連れて行き大失敗。

ところが翌日、リストラされたイロナは彼を頼ってやってくる。

一緒に暮らし始める二人。
しかし高級ブティックに職を得たイロナは、ゴミ職人のニカンデルを疎んじるように。店長と出かける彼女を横目に、精一杯強がるニカンデル。

いつものLL教室で、流れてきた例文。

「傷ついたり、完璧でないものも、また楽しいものなのです。恋とはそんな、おかしなものなのです」。

ニカンデルは訳す。

「傷つけられても、短所があっても、愛していればすべてが楽しい。おかしなものだ、おかしくて楽しい、恋って…」

 

 

 


マッティ・ペロンパーとカティ・オウティネンが初めて共演した、アキの長編第3作。

発表当時、ジム・ジャームッシュは「最も美しい映画のひとつ」と絶賛したそうです。

アキまだ20代。

 

青が際立つ画面には寒さよりも厳しい透明感を感じます。

 

ラスト、船で旅立つときに流れる曲は、フィンランドのムード歌謡で『イスケルマ』というそうですが、その曲調はどこか演歌に通じています。

ちなみにこんな歌詞だそう。

 

この心にいつわりなんてないけれど
本当はわかってる すべて幻、見果てぬ夢
だけど、離れているとこんなにも君がいとしい
昼も夜も 僕だけを見てほしい
でもわかってるんだ
君も僕も知っている 燃え尽きたら、もう戻れない
待っているのは 辛く苦しい、現実という旅路
僕を見て でもそれだけじゃだめなんだ
この闇に負けない心を 明日の涙を吹き飛ばそう

急がないで 大切なのは、今の君と僕
太陽が涙の雲に隠れてしまう前に、美しい世界を二人でゆこう

 

この慕情に浸っていたい。

 

 

 

 

ちなみに、年の前作『カラマリ・ユニオン』に続いて、アキ自身もホテルのフロント係として出演。なかなかのグッドフェイスで、痩せています。

 

 

 

 

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