で、ロードショーでは、どうでしょう? 第118回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『シャーロック・ホームズ』
シャーロック・ホームズを戯画化した映画。
映画の原作は、かのパイプの名探偵シャーロック・ホームズを元にしたグラフィック・ノベルだしね。
ロバート・ダウニー・Jrがかのシャーロック・ホームズに、ジュード・ロウがジョン・ワトソンに扮している。
シャーロック・ホームズをアメコミ・ヒーロー風に描いている。
その特殊能力は、観察と分析を基にした推理。
あの推理力を戦闘やアクションに用いるのだ。
これが楽しい。
ワトソンもバットマンとロビンのように、相棒を務める。
そもそも、エドガー・アラン・ポーの『シャーロック・ホームズ』は、アメコミヒーローの
原点だったんじゃないのかしらと思わせるほど。
じゃあ、ヴィラン(悪役)はというと、ブラックウッドという黒魔術を用いる伯爵。
しかも、アイリーン・アドラーという女盗賊が現れる。
こりゃ、アメリカでのヒットも納得です。
アメコミといったけど、日本でいうなら、まさに実写版『ルパン三世』って感じ。
ルパンと次元のコンビに、峰不二子が絡み、伯爵と対決してる。
嬉しいのは、レストレード警部もちゃんと活躍すること。でも、警部でも、彼は五右衛門であって、ライバルの銭型警部は誰かと言えば、そう、モリアーティ教授。
彼もちゃんと出てきます。
そうそう、このアイリーンを演じるレイチェル・マクアダムスの魅力によって、峰峯不二子っぽさが実によく出ているのよ。
騙されても、憎めない、そして、ミステリアスで色気があるあの感じがね。
考えてみれば、『ルパン三世』も、『アルセーヌ・ルパン』を元に生まれた漫画。
このシャーロック・ホームズは孫じゃないけど、まるで息子のような、そんな感じ。
『ルパン三世』といえば、宮崎駿の『ルパン三世 カリオストロの城』が有名ですが、『名探偵ホームズ』という、キャラクターを擬犬化した作品もやっております。(TVシリーズでしたが、劇場公開もしてます)
今作のダウニーJrのホームズと宮崎ホームズ、描き方だけでなく、顔立ちもちょっと似てます。
発明好きで、やんちゃで自分勝手で、女に弱くて、熱血漢で、だらしらない。
ホームズの解釈の中にあるものなのですな、きっと。
『劇場版シャーロック・ホームズ&ワトソン ブラックウッド卿の黒魔術を暴け!』ってな邦題だとしっくりくるかも。
監督は、ガイ・リッチー。
彼の完全復活の新作。
『ロックンローラ』は、評判の割りに、セルフパロディみたいな感じで、逆にリハビリみたいな作品だったけど、こちらはガイ・リッチーのスタイルである、一つの話にわんさかキャラクターが出てきて、引っかきます、あのスタイルがぴったりはまって、愉快痛快。
1892年当時のイギリスを再現した美術も実によろし。
議事堂や造船所、ベーカーストリートのアクションなどの空間性は、なかなか乙です。
恐怖を道具に使っての戦略など、グラフィックノベル発表当時の社会要素もきっちり入っており、謎解きにワクワク、キャラクター相関にニヤニヤと、アクションにハラハラと、よく出来た娯楽作品の見本みたいな作品。
快哉を叫びたくなること請け合いですぜ。