で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1567回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ゴーストランドの惨劇』
引っ越した叔母の家で、ある惨劇に遭遇した姉妹と母が、その惨劇と向き合うさまを描く戦慄のバイオレンス・ホラー。
監督と脚本は、『マーターズ』のパスカル・ロジェ。
物語。
ヴェラとベスの姉妹とシングルマザーのポリーンは、死んだ叔母の家を相続し、渡海から田舎に移り住むことに。
姉ヴェラは、小説を書くのが趣味の妹ベスばかり気にかける母に、引っ越しで彼氏と離れたこともあり、母と妹にイライラを募らせる。
家へ向かう途中、キャンディー売りの車に対して、ヴェラは中指を立てて煽る。
なんとか家までつくが、そこでヴェラの怒りが爆発してしまう。
その時、家の庭に、キャンディー売りの車が静かに止まる。
出演。
クリスタル・リードが、ベス。
アナスタシア・フィリップスが、ヴェラ。
エミリア・ジョーンズが、ベス(10代)。
テイラー・ヒックソンが、ヴェラ(10代)。
ミレーヌ・ファルメールが、ポリーン。
ロブ・アーチャーが、大男。
ケヴィン・パワー
アダム・ハーティグが、夫。
スタッフ。
製作は、クレマン・ミゼレ、ジャン=シャルル・レヴィ、マチュー・ワルテル、ニコラ・マニュエル、イアン・ディマーマン、スコット・ケネディ、サミ・テスフェジ、ブレンドン・サワツキー。
製作総指揮は、ステファヌ・セレリエ、グレゴワール・メラン、フレデリック・フィオール。
撮影は、ダニー・ノワク。
美術は、ゴードン・ワイルディング。
編集は、デヴ・シン。
音楽は、トッド・ブライアントン。
現代アメリカ、引っ越した家で惨劇に遭遇した姉妹と母が事態と向き合うホラー。
パスカル・ロジェがその手腕を多いに発揮したバイオレンスと狂気の世界。
シナリオと演出の統一感の強み。それを一段上げる美術と撮影。残酷描写もきっちり。ああ、こういう丁寧なジャンルものに出会うとホント映画を見る喜びを味わえる。
なんといってもキャストの物語への献身が素晴らしい。メインの姉妹役は難しい芝居をきっちりと表現し、物語に溶け込ませている。型からはみ出す気高さ。クリスタル・リード、アナスタシア・フィリップス、エミリア・ジョーンズ、テイラー・ヒックソンへ拍手を捧げたい。
そして、こういう作品は紹介するのが難しい。こういう作品の宣伝はだいたい一歩踏み込んで面白さを削いでしまう。
自分の目と鼻を信じて、飛び込む冒険的な楽しみを味わって欲しい。その目に映るものをどう受け止めるか。
今年の流行りの人形ホラーの一本でもあるが、女性映画でもある。
愛のぶつかり合いでつかみ合う腫作。
おまけ。
原題は、『INCIDENT IN A GHOSTLAND』。
『ゴーストランドの事件』。
フランス題か?
アメリカ題は、『GHOSTLAND』。
ゴーストランドは地名ではないよう。
GHOSTLAND OBSERVATORYという音楽ユニットがいたりするので、別の意味がありそう。ゴーストタウンと同じ意味なのか。調べてもよく分からない・・・。
上映時間は、91分。
製作国は、フランス/カナダ。
映倫は、R15+。
受賞歴。
2018年のモーリンズ・フィルムフェスティバルにて、最優秀脚本賞を、パスカル・ロジェが、受賞。
2019年のサン・クガ・ファンタスティックにて、観客賞を、受賞。
その他、3つ以上の賞を受賞。
キャッチコピーは、「観はじめた瞬間(とき)から、あなたは“悪夢の家”の罠にはまるーー」。
見た後だとうまく入れ込んだなと思います。
10代のベス役のエミリア・ジョーンズは、『ブリムストーン』のジョアナ役ですね。
好きな人にはわかるでしょうが、パン兄弟作品っぽいです。
ネタバレ。
あの鏡の中にはいれるのは、ベスが14歳程度の設定だからですね。エミリア・ジョーンズは撮影当時14歳。
一番、妄想などにとらわれやすい年齢で、遅めの初潮を考えると13歳の可能性も。
姉ヴェラ役のテイラー・ヒックソンは撮影当時20歳くらい。
ベスが大人の姿の時は、まだ妄想にとらわれているということなのでしょう。
いい残酷もののものさしの一つは、首切りシーンの切断面の見せ方がちゃんとしてるというのはありますね。今作はもちろんちゃんとしてます。
あの襲ってくる女性役は男性が演じてます。あちらのホラー映画では多いです。『死霊館のシスター』でもナン役は男性が演じてましたね。
にベスは姉の現実を何度か見て、妄想に取り込み、現実逃避していた。その間、ヴェラを守るために姉は戦っていたのだ。
最後に見る母は幽霊ではなく、ベスの妄想だろう。