【俺は好きなんだよ】第861回は、『アノマリサ』(2015)
原題も、『ANOMALISA』。
造語です。説明は下記。
上映時間: 90分
製作国: アメリカ
スタッフ。
監督: チャーリー・カウフマン、デューク・ジョンソン
製作: ロサ・トラン、デューク・ジョンソン、チャーリー・カウフマン、ディーノ・スタマトプロス
製作総指揮: ジェームズ・A・フィーノ、ダン・ハーモン、ジョー・ルッソ二世、キース・コルダー、ジェシカ・コルダー、アーロン・ミッチェル、カッサンドラ・ミッチェル
脚本: チャーリー・カウフマン
撮影: ジョー・パサレッリ
編集: ギャレット・エルキンズ
音楽: カーター・バーウェル
声の出演。
デヴィッド・シューリス (マイケル)
ジェニファー・ジェイソン・リー (リサ)
トム・ヌーナン (その他全部)
日本版の声の出演。
内田 直哉 (マイケル)
玉川 砂記子 (リサ)
星野 充昭 (その他全部)
物語。
カスタマー・サービスの分野でモティベーション・スピーカーとして名声を築き、本も出版しているマイケル・ストーン。
しかしながら彼自身は人生に何の刺激も感じられずにいた。
ある日、講演者として呼ばれてきたシンシナティ―のホテルで、彼の講演を聞きに来ていたリサという女性と出会う。
長いこと、誰の声であっても全て同じ声に聞こえていたマイケルが、唯一聞こえた"別の声"の彼女。
マイケルは彼女を特別な人と思い始め・・・。
受賞歴。
2015年のヴェネチア国際映画祭にて、審査員大賞を、チャーリー・カウフマンとデューク・ジョンソンが受賞。
2015年のLA批評家協会賞にて、アニメーション賞を受賞。
オスカーを受賞(『エターナル・サンシャイン』の脚本にて)脚本家チャーリー・カウフマンの新境地。
“人間の本質"を“人形"で描き切った独創的な傑作。
新境地ではありますが、人形劇は『マルコビッチの穴』でも主人公の職業として、けっこう長い時間を割かれていたので、ある意味で、もっともチャーリーカウフマン的な世界観だとも言えます。
『アノマリサ』は造語。
声が女性の声である彼女は、マイケルにとっては例外的。そして、リサも好きな言葉、『アノマリー』、これ、英語で"例外的"を示す単語"Anomaly"とリサをかけて、彼女のことを「アノマリサ(Anomalisa)」と呼ぶ。
これがタイトルとなっています。
で、これがラストにもう一つの答えをもたらします。
必要額(実際の製作費は約8億円)のスポンサーがつかず、kickstarterによるクラウドファウンディングで製作資金が集められたそう。
パペット・アニメではあるが、プレスコ(役者の声を先に録って、動きを合わせる方式)で作られている。
この方式をクレイ・アニメで取り入れたアードマン・スタジオ(『ウォレスとグルミット』シリーズなど)が有名。
ネタバレ。
リサが和英辞書で調べると"アノマリサ"は"天国の女神"という意味なのだそう。
しかも、日本語で。
え、そうなの? 調べても出てこないけど。
もしかして、アマテラスのことか? (Imdbでも、そう推測してる方がいましたね)
でも、amaterasuとanomalisaを辞書では間違えないよなぁ。
しかも、天国の女神ではなく、太陽の女神だしなぁ。
で、これ、吹き替え版だと、どこの国か特定せず、"天の女神"となっています。
日本が黄金の国であるという昔のイメージなのかね。
なんで、あのからくり人形『桃太郎』を英語訛りで間違って歌っていたのか?
意図としては、天国から遣わされた少年の歌として、選ばれたとのこと。
中国的解釈をすると、桃太郎は桃源郷から落ちた桃ともいえるので、桃源郷=天国という解釈が出来なくもないです。
漫画『鬼灯の冷徹』でもそこをとって、桃太郎は天国の住人になっています。