で、ロードショーでは、どうでしょう? 第117回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ニンジャ・アサシン』
まさかのニンジャ映画の新機軸。
それは何かというと、ニンジャをプレデターとか、闇から現れる化け物風に描いてること。
忍者を影に生きる不気味なモンスターにしちゃった。
実を言うと、この感じに近いのは、今までもなくはなかったんですけども。
武版の『座頭市』の忍者とかね。
でも、まだ人間だった。
(亀のニンジャはいたね)
それを徹底的にやりまくって、もう人間性さえ排除しちゃったのが新機軸なのよ。
他にもニンジャのモンスター化は、スプラッタ描写で強化されている。
手裏剣はガンガン突き刺さり、刀は手足のみならず頭部をズコンズコンと切断する。
黒と赤の乱舞。
闇の映像なので、いい具合に粗がない。
だから、ニンジャが茶化されていないで、ちゃんと恐怖の対象になってるのよ。
なんつっても、ホラー・レーベル“ダーク・キャッスル”社の作品ですしね。
『V・フォー・ヴェンデッタ』のJ・マクティーグが監督で、ウォシャウスキー兄弟とジョエル・シルヴァーが製作してるので、こだわりが暴走してます。
なにしろ、マクティーグは大映の『忍びの者』の主演の市川雷蔵への敬意で、主役の名前を雷蔵にしてますからね。
マクティーグ作品は、刃物とかの動きの残像のつけ方が好きなのよね。
ジャンルとしての、ニンジャ映画の復活を目指したそうで、そういう意気込みは感じます。
全体の構成は、まさに、ジャンル映画って感じに落ち着いてますが、脚本の直しを『チェンジリング』の脚本家がしていて、セリフが妙にいいのよね。
ただ、暗すぎて、早いアクションが見えないことが多いのが残念。
『エイリアンVSプレデター』シリーズの2にアクションはちょっと似てる感じ。
でもね、主役のRain(ピ)vsショー・コスギのバトルは燃えます。
独特の鎖分銅アクションは見ものですぜ。
Rain(ピ)は『スピードレーサー』の時の仕事ぶりからの起用だそう。
『スピードレーサー』には、日本のニンジャ・スターの真田広之も出ているのだが、あちらには出演依頼しなかったのかしら?
したけど断ったのかな?
撮影時期が『LOST』とかぶったとか?
あと、『G・I・ジョー』のイ・ビョンホンもニンジャ役だったよね。
まさか、アメリカでは、ニンジャは韓国にもいると思われているのかしら?
ま、とりえず、ニンジャ・ファンにはオススメしたい意欲作ではあります。
おまけ。
新宿ミラノには、長蛇の列が出来ていました。
しかも、女性ばかり、年齢少し高め。
これ、『G.I.ジョー』の時も見た光景。
そうか、ある種のスターはこうやってジャンルを飛び越えさせて、作家の冒険の後押ししてくれるんだな。
スターがその冒険に理解を示しているという、その両輪で映画の質を保っているのだな。
韓国映画の隆盛はこういう方々に支えられているのだろう。
この信頼関係が創作を支えてくれてもいる。
ただ無批判になられると、その車が行く道を間違えちゃうけどね。