で、ロードショーでは、どうでしょう? 第184回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『人生万歳!』
ウディ・アレンの第40作目の監督・脚本作品。
『アニー・ホール』の頃に書いた脚本を直したものらしい。
確か『マンハッタン殺人ミステリー』もそうだったよね。
ウディ・アレンをパラレルな感じにしたキャラクターによる主人公は、今までいろんなキャストが演じているけど、おいらとしては、『ブロードウェイと銃弾』のジョン・キューザックには迫れなかったな。
あと、ジェイゾンビッグスも個人的には評価したいけど、あれは本院も出てるせいで、弟子っぽさがあるしな。
アラン・アルダでも面白かった気もする。
でも、性的な感じもあるか。
性的な感じがしないラリー・デイヴィッドは、そういう意味では、この物語をかなり笑いに振ってたので、さすがのキャスティングと唸らされる。
どうしても、ウディ・アレン自身には性的な欲望を感じちゃうものな。
独特の厭世観の裏に潜む誰か頼りの人生の歩み方は、自分の中にもあるものだから、どうにも身につまされる。
ウディ・アレンのなりふり構わぬ哲学で描かれたコメディは、やはり面白い。
最近だと地番近いのは、『僕のニューヨーク・ライフ』かな。
あれは、本院が出ていた最後の良品だと、おいらはかなり評価が高い作品なのよね。
ウディ・アレンの物語には、世界が主人公を振り回すタイプとヒロインが振り回すタイプとそれの両方があるんだけど、『僕のニューヨーク・ライフ』のクリスティーナ・リッチは、まさに振り回すヒロインで、今回のエヴァン・レイチェル・ウッドが演じたのは、世界従事しているキャラクターを演じている。
タイプとしては、『誘惑のアフロディーテ』のミラ・ソルヴィーノに近い。
ウディは、奇妙なキャラクターだけでなく、ある意味で、ベタなカリカチュアライズされたキャラクターに愛嬌を加えるのが上手いのよね。
それをキャストが理解して、記号的人物を演じているのが、また惚れ惚れするのよ。
この円になっている感じがたまらない。
あと、カメラマンがいつもながら、当代のトップ・クラス。
固定せずに、名カメラマンと組み続けてるのはすごいことなんですよ。
今回は、デビッド・フィンチャーや、ガス・ヴァン・サントとのコラボレーションで名を上げたハリス・サヴィデス。
色を輝かせる撮影は、さすが。
コメディなのに、心がほわっとなる映像がいいのよね。
名人芸を気軽に楽しむ気分で、ご覧あれ。
ああ、あと、何本観れるのかしらね。