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もっきぃの映画館でみよう(もっきぃの映画館で見よう)

年間100本の劇場鑑賞、音声ガイドもやってました。そんな話題をきままに書きます。ネタバレもありますのでご注意を。

クライマーズ・ハイ 第一面は日航墜落事件ではなく新聞記者の人間ドラマでした。

2008-09-14 00:25:35 | その他(邦画)
タイトル:クライマーズ・ハイ、製作:ビーワイルト、配給:東映/ギャガ
ジャンル:新聞記者のヒューマンドラマ/2008年/145分
映画館:福知山シネマ(135席)19:00~、9人
鑑賞日時:2008年8月30日(土)
私の満足度:65%(ただし、日航機墜落事故に関する情報は多くはありません。) 
オススメ度:65%

<感想が短いわりに長い序>
航空機墜落事件の真相というのはどうも胡散臭いものが多い。多くの
人命に関係することになるし、大型旅客機ともなればボーイングと
エアバスがほとんどで、国際的な利権がからむ。さらに人のいない場所に
落ちて全員死亡の確率が高いとなると、ことを[穏便]に進めようと、
墜落場所を隠して現場に直行し場合によっては証拠隠滅してから、
人命救助はあとまわしと考える人がでてくることになりかねない。
 この映画の「日本航空123便墜落事故」にしても、米兵は墜落20分後に
場所を特定しているのに「引き上げろ」との命令で救助は行われず。
日本側は情報が錯綜して,自衛隊が現場についたのはうそかまことか
12時間後だという。事故原因についての調査委員会の結論は
「修理ミスと金属疲労で圧力隔壁が破壊」。過去にしりもち事故を
して修理ミスしたのが原因だから影響は「この飛行機だけです」という
のに都合のよい結果になっている。一方、その説を否定する
「隔壁破壊の場合は急減圧がおきるはずだが生存者の証言、写真、
乗組員の行動<マスクを最後までつけていない>から、ありえない」
との反論は私にはもっとものように思える。
 はたして、そのあたりを映画ではどう描くのかと思いつつ、この1年で
おそらく13回目の福知山シネマへと向かった。

<ストーリー:goo要約>
1985年8月12日、群馬県御巣鷹山にJAL123便が墜落、死者520人の大惨事が
起こった。前橋にある北関東新聞社では、白河社長(山崎努)の鶴の一声により、
一匹狼の遊軍記者・悠木和雅(堤真一)が全権デスクに任命される。
そして未曽有の大事故を報道する紙面作り―闘いの日々が幕を開けた。

<感想>
 終わってみれば、事故の話は中心ではなくて、記者の人間ドラマ。
職場のほかに、親と自分(主人公)、自分と子供の関係がサイドストーリーに、
なっており、それに友人や山登りシーンもあってかなりの盛りだくさん。
でもそれぞれ見せ場があってよくできているなあと思いました。だけど
私の興味の部分は少なくてそれがちょっぴり残念です。
 「オオクボ・レンセキ」という言葉が何度となくでてくるのですが、
思えば、群馬は「大久保清連続殺人事件」「連合赤軍山岳ベースリンチ事件」
が日航機墜落の13年前にあったところで、部長クラスにはそれらの事件で
名を上げた人たちが座っていて、主人公たちと対立しているという設定が
興味深かったです。そのやりとりは迫力があり、どこの職場でもこういうの
あるんだなあと思う反面、新聞社ならではの毎日の時間に追われ、作る側と
売る側、広告とってくる側の緊張感のある戦いはみどころがありました。
新聞社の職場というのは恐ろしいところですねえ。
 
<重要なネタバレあり>
 さて墜落原因はどのように扱われていたか?全権デスクの、主人公は
工学部出身の部下のルートで事故調査委員会へ秘密裏にアプローチし
「圧力隔壁」の情報を得る。まだどこの新聞も書いていない大スクープだ。
裏をとるため県警キャップを投入し、確認をとろうとするのだが顔見知りの
警察なら顔色で判断できるところが、事故調査委員会の教授となれば
顔色をよむにも確信がもてない。
 このときの判断の背景としてでてくるのが、チェック・ダブルチェック。
子供の頃にみたカークダグラス主演映画「地獄の英雄」(1951)にでてくる
言葉。はたして翌朝の新聞は・・・・。 結局、主人公の地方新聞は
記事にはせず。大手新聞社が一面トップで取り上げる。
 もう少し追加すると、県警キャップは「なんだかできすぎ」
との発言もしていたと思う。そして、エンディングでは、
「事故原因には諸説あり、現在も再調査を望む声がある」と字幕が
でてくる。

 私の希望的観測かもしれないが、主人公が記事を載せなかったのは
単に裏がとれなかったというだけでなく、うさんくささを感じたからでは
ないだろうか?つまり自分がつかんだのは真の原因ではなくて政治的判断
で既成事実化されてゆく原因で、それをスクープしたところで自分の
やっていることは一体なんだんだという疑問。だから記事にしたのは
勇気とか決断力ではなく本人の良心の問題だったのではないかなあ。
新聞記者としては、あそこまでつかんでたら書くべきじゃないのという
気がするのですが、究極の状態で選択を迫られたときに良心がでたと。
だから、この職業は自分には向いてないとの判断でやめてゆくというのが
私の理解です。

<原作:横山秀夫VS監督:原田真人>
読売オンラインの記事によると、原作者からは
「時間経過は、原作に忠実に」
「原作のダイジェストだったら、これもノー」といわれて、
監督は「僕なりに強調しようと思ったのは、親と子の愛憎の部分」
とのこと、でもこれは余分というかやりすぎと私は思いました。
さらに原作は「まだ、原田さんらしさが足りない」といい
「チェック、ダブルチェック」を考え抜いて入れたとのこと
これは、バッリチだったと思います。
それにしても原作者って、いろいろ言ってくるもんなんですね。
たくさん映画化されているからでしょうか?
参考URL
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/cinema/topics/20080627et01.htm

<最後にひと言>
新聞社のワンマン・セクハラ社長を山崎努が演じていましたが、まさに怪演。

クライマーズ・ハイ@映画生活
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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (keyakiya)
2008-09-15 07:55:15
とらば、どうもです。映画をみていると、当時の記憶がいろいろよみがえってきます。

ボクも映画のラスト、あのスクープが気になりました。確実なウラがとれないから載せないというのは、少し変です。うらが正確でなくてもバンバン載せているのがジャーナリズムなのに。

>究極の状態で選択を迫られたときに良心がでた

そうかもしれません。地方新聞記者の良心を魅せる映画ですから。
返信する
keyakiyaさんへ (もっきぃ)
2008-09-15 11:12:18
実は私、生まれ育ちは京都市内で、数々の
写真懐かしくみせていただいております。
ありがとうございます。

>うらが正確でなくてもバンバン載せているのが
>ジャーナリズムなのに。

そうですね。ご指摘のとおり。
この映画でもラスト以外のところで
チェックダブルチェックの精神が
生きているところが思い浮かばないんですね。
スクープだから慎重にというだけでは
納得できない部分を感じました。
返信する

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