つづりかた

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第83期・棋聖戦終了・将棋

2012年07月05日 | 将棋
本日は第83期・棋聖戦5番勝負の3局目だった。

棋聖戦とは、将棋7大タイトル戦の一つ。
優勝すると、その一年「棋聖」が名乗れる。
例えば「佐藤棋聖」とか。
主催は産経新聞。
今期のカードは中村太地六段VS羽生善治棋聖。
詳細は棋聖戦ブログへ。
http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/


中村六段はまだ24才。
凜々しく気品ある風貌で、眼光には才気が満ちている。
昨年は驚異の勝率8割超えを叩き出し、「勝率一位賞」を獲得。
上昇気流に乗っている。
竜王戦は5組。順位戦はC級1組。

対して、羽生棋聖。
もはや説明不要の棋界の魔王。
羽生が睨めば相手が頓死し、
羽生の指が震えれば相手が投了すると言われている。
現在7大タイトルの内、王位・棋聖の2冠を保持。
永世称号は名人・王位・王座・棋王・棋聖・王将の6タイトルを保持。
竜王戦1組・順位戦A級在位は共に20期。


ところで、今回の棋聖戦は、羽生にとってオプションが付いていた。
防衛すると、通算獲得タイトル数が81期となり、歴代1位になる。
対する中村六段にとっては、この棋聖戦がタイトル戦のデビュー戦。
つまり両者にとって、負けられない大勝負である。

1局・2局と、羽生棋聖が捻りあいを制し、連勝していた。
本日の3局で中村六段が負ければ、ストレートで羽生棋聖の防衛が決まる。
記念すべきデビュー戦でのストレート負けは苦すぎる。
中村六段の心中を思えば、思わず応援したくなる。

中盤からの苦しい展開を中村六段は強気で捌いていた。
しかし42手目、8六と飛車を切ったあたりから、雲行きが怪しくなった。
そして71手目の6五銀。
かすかに羽生棋聖の指が震えた。
それを見た中村六段は何かを言い聞かすようにうつむいた。
羽生の手が震えたら、それは詰みを読み切った合図。
相手玉を完璧に仕留める手筋が、羽生の中で組み上がっているのだ。
巷説通り、77手目・3二金で中村六段の投了となった。


これで羽生は棋聖防衛と歴代最多タイトル数獲得を果たした。
魔王っぷりもここまでくると空恐ろしい。
こうなったら竜王の永世資格を奪取し、誰もなしえなかった
7大タイトルすべての永世資格を名乗って欲しいと思う。