日本橋浜町Weblog(ダイエットの日々)

日々の減量との格闘のこと。

佐々木俊尚:3時間で「専門家」になる私の方法‐ITジャーナリストの超情報収集・整理術‐

2008年02月17日 16時43分31秒 | 趣味の読書

次に読むのは佐々木氏のこの本・・・3分間で「専門家」になれる私の方法・・・シンクタンクに勤める者から見ると、背筋の寒くなるような題名の本。

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3時間で「専門家」になる私の方法

佐々木 俊尚

 PHP研究所  2007-09-11

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知的生産活動において、インターネットの登場、特にWebブラウザやpdfファイルの登場は、われわれの知的活動の情報収集面において大きな影響を与えた。

これによって従来専門家が独占してきた情報が誰にでも瞬時に入手可能となり、そこでの優位性が大きくなくなった。知的生産活動の中で世界中の状況を知っているだけ、翻訳するだけでは、ビジネスとして成り立たなくなってきてしまっているのだ。ここで海外が象徴的なので世界と言ったが、それは国内・・・われわれの身近な問題についてもそうだ。

佐々木氏の書名は「3時間」で、括弧付きだが専門家になれてしまうということのノウハウが公開されているだけで、今後は知る(収集する)、整理するだけではビジネスにますますなりにくくなるということだろう。

その時、職業として知的生産活動に携わっている者として、何が求められることになるのか、佐々木氏の著書を読んで考えてみたいと思う。


落語研究会 古今亭志ん朝 全集 上

2008年02月15日 01時07分52秒 | 趣味の読書

志ん朝さんのDVDが出るということで早速予約してしまいました。

志ん朝さんの落語は、今までCDで聞いていました。聞いているといつの間にか頭の中は志ん朝さんの話している姿が浮かんでいるんです。歯切れのいい話っぷりで、枕から始まり、徐々に話の中へ・・・よどみのない話しっぷり、軽快なリズム、聞き心地のいい落語が、今度はそれを映像で見られるというのは、本当にうれしいことです。

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落語研究会 古今亭志ん朝 全集 上

古今亭志ん朝

Sony Music Direct 2008-03-26

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ソニーミュージックショップで見ると、収録されている話は以下のとおりです。

disc 1:「文七元結」('97)、「火焔太鼓」('98)
disc 2:「五人廻し」('96)、「百年目」('94)
disc 3:「二番煎じ」('91)、「ぬけ雀」('92)、「四段目」('90)
disc 4:「大工調べ」('89)、「宿屋の富」('86)、「浜野矩随」('85)
disc 5:「愛宕山」('87)、「酢豆腐」('85)、「三方一両損」('88)
disc 6:「寝床」('84)、「鰻の幇間」('84)、「夢金」('86)
disc 7:「大山詣り」('84)、「子別れ・下」('82)、「品川心中」('80)
disc 8:「反魂香」('79)、「口入屋」('76)、「井戸の茶碗」('75)

当然ながらどれもこれも見たい、聞きたい話ばかりです。今から楽しみ

見たらまた感想などを加筆したいと思います。

士郎正宗:攻殻機動隊1.5

2008年02月11日 10時48分47秒 | 趣味の読書

登場人物、状況設定は、2nd GigとSollid Stateを足して割ったような感じと思う。

少佐はほとんど出てこない。プロトや新人君が出てくるし、荒巻が部長になっている。前半はなんとなくトグサが中心で、バトーやサイトウ、イシカワが脇を固めるって感じ。あっ、それとアズマ君ね。後半はバトーがかなり出てくる。

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攻殻機動隊 1.5 (1)

士郎 正宗 講談社 2003-07

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内容は、大きく4話からなる。まあ、内容は士郎氏の攻殻だ。Amazonの書評に、マンガの1と2の中間(書名に1.5とつけるぐらいだから著者もそれを意識してるんだろうけど・・・当然ね。)で、2よりは1に近いかな。内容も理解可能だ。

攻殻2については未だにちゃんと読み終えていない・・・理由はいまいちストーリーが理解できないから。そういえば、この1.5でも細部では理解できないところが何箇所かあった・・・これは何回か読み直すうちに分かるようになるだろう。

それから評判の悪いCD-ROM・・・確かにいらないねえ。その分、価格を安くして!って感じ。講談社としては一つの試みだったのだろうけど、何を狙ったものかもわからないし、ちょっと失敗って感じでしょうか。

マンガ・・・ストーリー自体はいつもの攻殻で面白いのでお勧めです。

追伸 これで攻殻関係のコミック、DVDは一応全部見たことになる・・・どれだけ著者や製作者の考えを理解できているかはわからないが^^。これからは、攻殻のネタ本と言われるものを読んでいこうと思う。


北 康利:福沢諭吉-国を支えて国を頼らず-

2008年02月10日 12時27分33秒 | 趣味の読書

著者の北氏は、白洲次郎の著書を出している。以前それを読んでいて面白かったので、こちらも迷わず購入した。

福沢諭吉・・・慶応大学の創設者、天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず・・・有名な一文、そして数々の著書、最近では1万円札の顔・・・と書いてくると、実は有名人でありながら、彼の功績についてはその全体像はよく知らなかったことに気がつく。

福沢に興味を持ったのは、司馬さんの「『明治』という国家」を読んだ時からだ。幕末維新に活躍した多くの人・・・主に薩長土肥、つまり明治政府側の人が中心だが、について司馬さんの作品で読んできたが、福沢はまったく知らない人だった。そこでどういう人か興味をもったのだが、そんなときに、これもタイミングが良すぎるというのか、この本が出版された。

4062138840 福沢諭吉 国を支えて国を頼らず
北 康利
講談社 2007-03-30

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内容は、序章、終章を加えて八章で構成されている。

  1. 門閥制度は親の敵でござる
  2. 「自由」との出会い
  3. 「私」の中の「公」
  4. 『学問のすすめ』
  5. ベンチャー起業家として
  6. かくて「独立自尊」の旗は翻った

幼少期から、緒方洪庵の適塾における青年期、欧米への視察旅行、東京での私塾の設立から慶応義塾へいたる道、そしてその後という具合に福沢の一生をその時代時代のもっとも力を注いだことを軸にして語っている。

福沢のすごさは、その先見の明と自らの考えを現実化する実行力であろう。そして忘れてはいけないのは、人を大切にしたというところだ。特に今の時代に生きているからか、人間関係の濃密さは思わず考えさせられる。

福沢は国の将来を左右するのは人的資本であることをきちっと理解しており、またその人的資本を育てるためにはそれまでの儒教的な教育では足らず、自主独立を旨とする教育の必要性を見抜き、その範を欧米にとったということだろう。

本書を読んでいると、慶応義塾のほか、主に教育・研究、出版・言論の世界でいろいろなことを実行している福沢だが、どの試みも一本立ちさせるのが容易なことではなかったことが描かれている。さまざまな言論統制の中での言論活動や、学校制度がいろいろ改変される中で、私塾という立場を変えることなく、現在の慶応大学の礎を築いていく・・・これらのことは、当然、福沢一人でできたことではなく、福沢が彼の私塾で育て上げた人脈があったからこそ、数々の難局を超えることができたのだろうと思う。

さて平成も20年になったこの時に我々は福沢等の生き様から、数々の業績から何を学べばよいのだろうか。向上心を失った社会、問題点には見て見ぬふりをして現状で満足しているように振舞う人々、時代の変化についていけない人々、その場限りで刹那的に生きることを志向する社会・・・状況としては似ている面もあるであろう。

この本を読むことによって、福沢の一生と、それを通して幕末・明治維新史を薩長中心の歴史からではない視点から見ることができるので、そういう点からも面白い一冊だ。


日経新聞「私の履歴書:青木昌彦」

2008年02月04日 00時41分02秒 | 趣味の読書

青木昌彦氏の私の履歴書は2007年の10月に連載された。

当時、忙しくて読めなかったため記事だけ取っておいて、それを先ごろやっと読めた。毎日、少しずつ読んでいくのと違い、一気に読むと人の半生を数時間で体験できてしまう。

今回の履歴書を読むと、青木氏の研究人生は、組織と市場(市場も一種の組織かもしれないが)の間での葛藤の歴史のように読める。学生時代はそれはマルクスへの傾倒そして学生運動として吹き出し、学者の道を歩んでからはいくつかのベンチャー的な仕事をする度に組織と市場のあり方に対する氏自身の挑戦であったのではないかと感じる。

全30回にわたる連載であったが、その中でも参考になったのは、10月27日の26回目で書かれているシンクタンクの3原則提案についてだ。当然、独立行政法人のRIETIについてのことだからすべてが参考になるわけではないが、書き留めておくと以下の通り。

独立行政法人という新制度のメリットを活かす要点は、

  1. 研究員は通産省を超えて広く人材を世に求め「産学民」の三位一体の研究体制とする
  2. 研究員は顔の見える個人として研究に専念し、サポートスタッフにはプロの人材を登用する
  3. 理事長職と所長職を分離し、所長は研究上の目利きとして研究者の人事権を握るが、研究の方向性が間違っていれば理事長がクビにする

として、この三点セットが本格的なシンクタンクを作る必要条件だとしている。

自分の状況に合わせて読み替えてみると、1は、人材の多様性を確保することの重要性、2は組織の一構成員としての研究員ではなく、個々の研究員が自分の名前でビジネスをできるようにすることであり、3は研究所の経営と研究の分離ということになろうか。

シンクタンクをどうするべきかということを考える際の一つの視点を与えてくれていると思う。

さて、その他では、やはり学生運動の部分は、あの頃を直接知らない、知っているとしても70年安保の最後のころを幼心で知っているにすぎないものとしては、印象深く読んだ。

青木氏の研究としてはCIA(日本語で言うと比較制度分析)が有名だ。最近はちょっとフォローしていないが、この分野も今後どうなっていくのか気になるところ。


佐藤哲也:未来を予測する技術

2008年01月30日 00時23分06秒 | 趣味の読書

書名とはちょっと異なり、内容はシミュレーションというより、地球シミュレーターの話が中心。それは本書の最後の方にある著書の言葉からもわかる。

本書を書くことを決心した背景には、日本が開発した世界に誇る地球シミュレータの存在と、今後の未来設計を支えるであろうシミュレーション技術の現状を、多くの方に知っていただきたいと考えたからである。(178ページ)

これまでの予測手法ではなく、これからは圧倒的なコンピュータ・パワーを利用して、シミュレーションすることで予測が可能になるというもの。それをある程度実現しているのが地球シミュレータであり、それがどのような貢献をしてきたかが述べられている。

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未来を予測する技術 (ソフトバンク新書 46) (ソフトバンク新書 46)
佐藤 哲也
ソフトバンククリエイティブ 2007-08-16

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書名から想像される内容とは僕が読んだ感想ではだいぶ異なる。ちなみに章立ては以下の通り。

  • はじめに
  • 第一章 一つの技術が人間の生き方を大きく変える
  • 第二章 未来予測は「祈り」と「占い」から始まった
  • 第三章 変わりゆく科学のパラダイム
  • 第四章 近代科学の落としもの
  • 第五章 コンピュータと情報産業
  • 第六章 シミュレーション文化の胎動
  • 第七章 未来を映し出す望遠鏡の世界
  • 第八章 二十一世紀はシミュレーション文化の世紀
  • 第九章 終章―未来への提言

地球シミュレータについて本格的に書かれるのは5章の後半ぐらいからで、その前はなくてもよいと思った。それよりは、ここに書かれているのは地球シミュレータについての一部分であろうから、地球シミュレータを中心にその周辺とシミュレーションについてその全体像を平易に描いた方がよかったのではないかと思う。

本書を読んでいると、その運営にかかわった者としての著者の地球シミュレータへの思いと科学者としての地球シミュレータないしシミュレーション技術そのものに対する期待が入り混じっており、その思いが伝わってくる。

だから読み終わった後の感想は、「書名は、『地球シミュレータ:未来を予測する技術』がよかったな」というもの。「内容については、地球シミュレータについてもう少し突っ込んで知りたかった」ということ。

本書を読んで考えたのは、シミュレーションのことではなかった・・・それは自分の考えを十分に書き込み、かつ、その内容が読者に伝わるように書名を決めるのは大変だということだ・・・まあ、これは本来編集者の力量が問われるところで、書き手だけでできるというものではない。