※本館「現代編」設定の2人です※
手を繋いだまま、高彬は光のパレードを見ている。
あたしも何食わぬ顔をして通り過ぎて行くフロートを見る振りをしながら、でも、心臓はバクバクとうるさくって仕方がなかった。
繋いだ手を通して、心臓の音が高彬に聞こえてたらどうしよう・・・
時々、高彬の指先が動いて、そのたびにドキっとする。
高彬は、どうして急に手なんか繋いだんだろう。
はぐれないため?それとも、昨日みたいに転ばないため?
それとも───
最後のフロートが通り過ぎ、見えなくなるまで見送るためにまだ動かない人たちも多く、あたしたちもその場に佇んでいた。
「・・・終わっちゃたわね」
そう話しかけたのに、高彬は返事をしてくれなくて、あたしはきゅっと唇を結んだ。
もうっ、何とか言ってよ!
でなきゃ、心臓が持たないじゃない。
それに、さっきから気になって仕方ないことがあって、それは多分あたしは手の平に汗をかいてるんじゃないかってこと。
思えば、高彬に着せかけられたパーカーをそのまま着てたし、手なんか繋がれて体温急上昇で心臓バクバクだし、そりゃあ汗だって出てくるわよ。
汗でベトベトなんて思われちゃいないかしら・・・?
「・・・」
もうダメ!
あたしは強引に手を外した。
あたしのハートはガラスで出来てるのよ!
ハッと高彬があたしを見て、あたしは「へへ」なんて笑いながら、手の平をスカートで拭いた。
「手を繋いでると暑いわね。汗、かいちゃった」
スカートで汗を拭くあたしをじっと見てた高彬は
「・・うん、そうだよね。暑いよね。・・ごめん」
「あ、ううん、別に高彬が悪いわけじゃないのよ。あたしって手に汗をかきやすいみたいなのよ。顔にはあんまりかかないんだけどね。ほら、あたしって女優だから。あはは」
笑ってみたのに、高彬は笑ってくれなくて、何だかさっきとは違うドキドキがやってくる。
もしかしたら、やっぱり高彬は帰りたかったのかしら?
それなのにあたしがご飯を大盛りでバクバク食べて、しかも手が汗でベトベトしてて、それで怒ってる・・・とか?
それにそうよ!
あたしったらずっと高彬のパーカー着ちゃってるし!
あたしは慌ててパーカーを脱ぐと、高彬に差しだした。
「これ、ありがとう。ごめんね、ずっと着てて」
「・・・」
高彬はすぐに受け取らずにパーカーをじっと見ていて、あたしはまたしてもドキドキしてしまった。
これってもしかしたら、洗って返さなきゃいけないパターンだったのかしら?
きちんと畳んで、お礼のハンカチとかカードを添えて・・?
あー、あたしは今、もしかしたら、ものすごく失礼なことをしているのかしら?
頭の中がグルグルしてきて、気のせいか眩暈までしてきた気がする・・・
「ご、ごめん。ちょっと、トイレ・・・」
とにかく少し落ち着こうと、高彬の返事も待たずに駆け出すと、一目散にトイレに向かった。
洗面台の前で大きく息を吐く。
ずっと高彬の前では幼馴染としてサバサバと振る舞っていたから、急に手なんか繋がれて、どんな顔してたらいいのかわからなくなっちゃった・・・
あたし・・・
こんなに高彬のことが好きだったんだ・・
はぁ、と大きなため息と共に鏡を見たあたしは「あっ」と声を上げてしまった。
あたし、ミニーじゃなくなってる!瑠璃に戻ってる!
慌ててここまで走ってる最中に、きっとカチューシャをどこかで落としちゃったんだわ。
今ならまだ拾われずにあるかも知れない。
急いでトイレから飛び出すと、人を掻き分けるようにしながらあたしは地面を忙しく見て回った。
だけど、どれだけ探しても落ちていなくて、がっくりと肩を落としたところで、あたしはぎょっとして顔を上げた。
高彬がいない!
・・・ここ、どこ?
下ばかり見て歩いてたせいで、さっきパレードを見てた場所からどんどん離れた方に歩いて来ちゃったんだわ。
慌ててさっきの場所の方に戻ろうとして、あたしは途方に暮れた。
園内マップは高彬に渡したままだし、そもそもマップがあったって何を目印に歩いたらいいかもわからないし、こんなに暗くちゃ少し離れたら人の顔だって良く見えないし・・・
そうだ!家に電話して融から高彬の携帯に掛けてもらえばいいんだわ!
掃除をしてるスタッフの人に公衆電話の場所を教えてもらい、お財布を開けたあたしは愕然とした。
7円しかない・・・。
そう言えば、昨日、コンビニで使い切っちゃったんだっけ。
「・・・」
どうしよう。
高彬とはぐれちゃったら、電車にも乗れないんだ・・・
公衆電話の前で、あたしは茫然と立ち尽くしていたのだった。
<続>
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手を繋いだまま、高彬は光のパレードを見ている。
あたしも何食わぬ顔をして通り過ぎて行くフロートを見る振りをしながら、でも、心臓はバクバクとうるさくって仕方がなかった。
繋いだ手を通して、心臓の音が高彬に聞こえてたらどうしよう・・・
時々、高彬の指先が動いて、そのたびにドキっとする。
高彬は、どうして急に手なんか繋いだんだろう。
はぐれないため?それとも、昨日みたいに転ばないため?
それとも───
最後のフロートが通り過ぎ、見えなくなるまで見送るためにまだ動かない人たちも多く、あたしたちもその場に佇んでいた。
「・・・終わっちゃたわね」
そう話しかけたのに、高彬は返事をしてくれなくて、あたしはきゅっと唇を結んだ。
もうっ、何とか言ってよ!
でなきゃ、心臓が持たないじゃない。
それに、さっきから気になって仕方ないことがあって、それは多分あたしは手の平に汗をかいてるんじゃないかってこと。
思えば、高彬に着せかけられたパーカーをそのまま着てたし、手なんか繋がれて体温急上昇で心臓バクバクだし、そりゃあ汗だって出てくるわよ。
汗でベトベトなんて思われちゃいないかしら・・・?
「・・・」
もうダメ!
あたしは強引に手を外した。
あたしのハートはガラスで出来てるのよ!
ハッと高彬があたしを見て、あたしは「へへ」なんて笑いながら、手の平をスカートで拭いた。
「手を繋いでると暑いわね。汗、かいちゃった」
スカートで汗を拭くあたしをじっと見てた高彬は
「・・うん、そうだよね。暑いよね。・・ごめん」
「あ、ううん、別に高彬が悪いわけじゃないのよ。あたしって手に汗をかきやすいみたいなのよ。顔にはあんまりかかないんだけどね。ほら、あたしって女優だから。あはは」
笑ってみたのに、高彬は笑ってくれなくて、何だかさっきとは違うドキドキがやってくる。
もしかしたら、やっぱり高彬は帰りたかったのかしら?
それなのにあたしがご飯を大盛りでバクバク食べて、しかも手が汗でベトベトしてて、それで怒ってる・・・とか?
それにそうよ!
あたしったらずっと高彬のパーカー着ちゃってるし!
あたしは慌ててパーカーを脱ぐと、高彬に差しだした。
「これ、ありがとう。ごめんね、ずっと着てて」
「・・・」
高彬はすぐに受け取らずにパーカーをじっと見ていて、あたしはまたしてもドキドキしてしまった。
これってもしかしたら、洗って返さなきゃいけないパターンだったのかしら?
きちんと畳んで、お礼のハンカチとかカードを添えて・・?
あー、あたしは今、もしかしたら、ものすごく失礼なことをしているのかしら?
頭の中がグルグルしてきて、気のせいか眩暈までしてきた気がする・・・
「ご、ごめん。ちょっと、トイレ・・・」
とにかく少し落ち着こうと、高彬の返事も待たずに駆け出すと、一目散にトイレに向かった。
洗面台の前で大きく息を吐く。
ずっと高彬の前では幼馴染としてサバサバと振る舞っていたから、急に手なんか繋がれて、どんな顔してたらいいのかわからなくなっちゃった・・・
あたし・・・
こんなに高彬のことが好きだったんだ・・
はぁ、と大きなため息と共に鏡を見たあたしは「あっ」と声を上げてしまった。
あたし、ミニーじゃなくなってる!瑠璃に戻ってる!
慌ててここまで走ってる最中に、きっとカチューシャをどこかで落としちゃったんだわ。
今ならまだ拾われずにあるかも知れない。
急いでトイレから飛び出すと、人を掻き分けるようにしながらあたしは地面を忙しく見て回った。
だけど、どれだけ探しても落ちていなくて、がっくりと肩を落としたところで、あたしはぎょっとして顔を上げた。
高彬がいない!
・・・ここ、どこ?
下ばかり見て歩いてたせいで、さっきパレードを見てた場所からどんどん離れた方に歩いて来ちゃったんだわ。
慌ててさっきの場所の方に戻ろうとして、あたしは途方に暮れた。
園内マップは高彬に渡したままだし、そもそもマップがあったって何を目印に歩いたらいいかもわからないし、こんなに暗くちゃ少し離れたら人の顔だって良く見えないし・・・
そうだ!家に電話して融から高彬の携帯に掛けてもらえばいいんだわ!
掃除をしてるスタッフの人に公衆電話の場所を教えてもらい、お財布を開けたあたしは愕然とした。
7円しかない・・・。
そう言えば、昨日、コンビニで使い切っちゃったんだっけ。
「・・・」
どうしよう。
高彬とはぐれちゃったら、電車にも乗れないんだ・・・
公衆電話の前で、あたしは茫然と立ち尽くしていたのだった。
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迷子ですか~。
遊園地デートの王道ですね。( 〃▽〃)
王道ついでに、汗だくで瑠璃を探していた高彬に
「瑠璃さん!」(ギュウッ)
なんて抱き締められたりする…………はずないですね。(ちっ)
恋する乙女な瑠璃が、なんだかグルグル考え過ぎて、テンパってる姿が可愛くて微笑ましいですね。
しかし、高彬の態度もね~。
ますます瑠璃の不安を増長させちゃってますよね。
んも~っ、これぞ青春!!なんでしょうか。
原作では、瑠璃さんはサバサバしていて、
高彬くんに、こういう感じで恋をしている、ってシーンが、
なかなか無かった気がします(私が気付いていないだけかもしれませんが)
あー、可愛いなあ!
でも、高彬くんは、スカートで手を拭かれたり、
パーカーを返されたりして、
今現在、結構傷ついているかも……
もう、じれちゃうわ〜 でも高校生ってこんなですよね 恋って。
高彬も言葉が足りないのか、出ないのか、勇気を出して握った手も振りほどかれちゃうし。
結構勝手に!?落ち込んでますねこれは。ショック受けてるなこれ。
迷子の子猫ちゃん、高彬、うまい具合に探し出せるかな、高彬。見つけてくれたご褒美に、せめてハグだけでも!乙女心は複雑ですね!
>迷子ですか~。
>遊園地デートの王道ですね。( 〃▽〃)
はい、安定の王道ですよ!
>王道ついでに、汗だくで瑠璃を探していた高彬に
>「瑠璃さん!」(ギュウッ)
>なんて抱き締められたりする…………はずないですね。(ちっ)
あら?!・・ぐふふ。
まぁそれは読んでもお楽しみと言う事で!(笑)
あるかも知れないし、ないかもしれませんねぇぇぇぇ。
>んも~っ、これぞ青春!!なんでしょうか。
青春ですよ~。
私なんて、もう何十年も前の話ですけどね~!
私、多分、原作の瑠璃父の設定年齢より上かも知れません(笑)
>瑠璃さん、恋する乙女、全開ですね!
はい、全開バリバリです!
>原作では、瑠璃さんはサバサバしていて、
>高彬くんに、こういう感じで恋をしている、ってシーンが、
>なかなか無かった気がします(私が気付いていないだけかもしれませんが)
なかったと思いますよ。
「文が来ないっ」「そんなにあたしと結婚したくないのか」って怒ってるシーンはありましたけど(笑)
それだって「好き」の気持ちから来てるんでしょうけどね。瑠璃に自覚があるかどうかはともかく。
>あー、可愛いなあ!
可愛いですよね、こう言う瑠璃も。
>でも、高彬くんは、スカートで手を拭かれたり、
>パーカーを返されたりして、
>今現在、結構傷ついているかも……
色々、ショックではありますよねぇ。
思春期の男子としては。
頑張れ、高彬~。
>切なさかが、止まらない🎵
>もう、じれちゃうわ〜 でも高校生ってこんなですよね 恋って。
そうですよ~。まだ高校生ですもんね。
>高彬も言葉が足りないのか、出ないのか、勇気を出して握った手も振りほどかれちゃうし。
>結構勝手に!?落ち込んでますねこれは。ショック受けてるなこれ。
ベリーさん、これは弱ってる高彬に、付け込むチャンスかもしれませんよ(笑)
さぁ、お姉さんに話してご覧なさい?って感じで2人でグイグイ行っちゃうのはどうでしょう?
だからもう可能性はゼロなんですよ〜 瑠璃の事ばーっか考えてて。笑 悲しいくらい可能性がない!!
だから今ふと思うと、夏姫はもう、ものすごーく瑠璃に嫉妬してたと思うんですよね〜 完全外野ですし。
他のきっかけ(融の家出事件)や何やらその他諸々理由に、うまいことずっと高彬の近くに居れたわけじゃないですか。それなのに恋敵「瑠璃姫」登場ですよ。瑠璃も言ってたけど、焦ったでしょうねえ。。。
>高彬って弱ってる時に逆にとっても頑なな気がしませんか?
確かに~。
弱ってる時に誘惑されて、ふらふら~ってタイプではなさそうですよね。
>だからもう可能性はゼロなんですよ〜 瑠璃の事ばーっか考えてて。笑 悲しいくらい可能性がない!!
ちぇっ!つまんないのー。(笑)
>だから今ふと思うと、夏姫はもう、ものすごーく瑠璃に嫉妬してたと思うんですよね〜 完全外野ですし。
絶対に振り向いてくれもしない人を好きになったんですもんね。
そばにいるのに、自分をその対象とすら見てくれていない・・。
かなり辛いことですよね。