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2017/ 4/23 「紫匂う花房の<7>」New!
2017/ 4/22 「紫匂う花房の<6>」New!
2017/ 4/20 「高彬解体新書」~巻の三
2017/ 4/19 「紫匂う花房の<5>」
2017/ 4/17 「紫匂う花房の<4>」
2017/ 4/16 「紫匂う花房の<3>」
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2017/ 4/13 「社員旅行は突然に。<最終話>」
2017/ 4/12 「社員旅行は突然に。パート11」
2017/ 4/ 9 「社員旅行は突然に。パート10」
2017/ 4/ 8 「社員旅行は突然に。パート9」
2017/ 4/ 6 「社員旅行は突然に。パート8」
2017/ 4/ 5 「高彬解体新書」~巻の二
2017/ 4/ 3 「社員旅行は突然に。パート7」
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ご挨拶。

2020-10-07 | はじめに。
『「なんて素敵にジャパネスク」あれこれ』管理人の瑞月です。

現在、FC2ブログの場をお借りして運営している『「なんて素敵にジャパネスク」あれこれ』ですが、開設はこちらのgooブログでした。

確か新婚編の途中辺りでFC2にお引越ししたのですが、この折鶴のテンプレートがジャパネスクらしくて大好きでした。(折鶴はパソコン用のテンプレートです)

移行期間の後、gooブログの方は削除してしまったのですが、そのまま残しておけば良かったなぁ、とずっと悔やんでいました。

ですので、思い切って「あれこれ*plus」としてまた復活してしまいました!

何を書こうとかは全く決めていないのですが、何か楽しいことを書いて行きたいなぁ・・と思っています。

本館、別館に次ぐ、3つ目のジャパネスクブログとなりますが、どうぞよろしくお願いいたします。


2016年10月7日 

瑞月
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紫匂う花房の<7>

2017-04-23 | ss(紫匂う花房の)
※<原作8巻その後>をイメージしたお話です。ネタばれ要素を多く含みますので閲覧ご注意下さい。※



瞬きもせずにあたしを見ている鷹男の目を、静かに見返す。

鷹男に会うと決まった時から、絶対に言おうと思っていたことだった。

鷹男が帥の宮をそそのかして、あたしに気がある素振りを高彬に見せたこと、最初に藤宮さまから聞いた時から、あまりに傍若無人な振る舞いだと呆れかえってたから。

あれはね、事件とか帥の宮とかに関係なく、本当にひどい話なのよ。

高彬が愛染明王になって踏み込んで来たのは、そりゃあ直接の原因は煌姫の投げ文だし、実際、守弥はあたしの部屋にいたわけだけど、でも、遠因は鷹男が高彬の不安を煽るようなことをしたからじゃないのさ。

遠因どころか、こと、あの愛染明王に関しては、ずばり、大元と言っていいかも知れない。

もしも、あの時、高彬が持ってきた小太刀で、万が一にも守弥のことを斬っていたらどうなっていたと言うのよ。

それを、ちょっとした悪戯心って言われてもねぇ・・・

「ねぇ、鷹男。あなたは自分に似ていると分かって上で、そう仕向けたんでしょう?」

話題が話題なのでぼかして言うと、隣で藤宮さまが息を飲み気配があった。

鷹男は何も答えず、だけどそれが答えみたいなもんで、あたしは心の中でため息を吐いてしまった。

鷹男はね、自分が帝だと言う自覚がないのよ。

あるのかも知れないけど、あたしに言わせればまだまだ認識が甘いわ。

自分が最高権力者で、臣下からの敬愛の対象で、そしてどれだけ自分に影響力があるのか。

そこんところが今ひとつわかっていない。

高彬なんか身分社会の中でも特にガチガチに身分を重んじる性格だし、その中の最高権力者と言う事で鷹男の帝に心酔してるし、そこら辺のことは鷹男だって充分にわかっていたはずなのよ。

それを踏まえた上でやったことにしては、あの<悪戯>は余りに度が過ぎている。

「右近少将が何か言ったのですか」

鷹男が穏やかな声で言い

「いいえ。何にも」

あたしは大きく頭を横に振り、きっぱりと言った。

「何にも言ってないわ。高彬は鷹男のこと、相変わらず心から尊敬しているし忠誠を誓ってる。この話をしてるのは、あたしだけの判断よ」

「そうですか」

どこかホッとしたような顔で頷くと

「右近少将のことは臣下としても義弟としても、私は可愛がっているのですよ。それでつい気安さもありからかってしまう。私も帝になり、東宮時代よりさらに自由がなくなったこともあって・・・」

「つい、その矛先を高彬に向けてしまったと、そう言うわけ?」

畏れ多くもあたしは鷹男の話を遮ってしまった。

「そうですね。まぁ、これも愛情表現のひとつですよ」

「だからと言って何をしてもいいというわけではないわ」

自由がない自由がない、って言ったって、鷹男は帝と言う身分で、良い思いだってたくさんしてるはずよ。

それをデメリットだけに目を向けるなんて、そんなのは考えが幼な過ぎる。

しかもそれをタチの悪い悪戯で発散させるだなんて。

それでどれだけ高彬が思い悩んだか。

「ねぇ、鷹男。右大臣家には公子妃の他に大姫がいらっしゃったことはご存知?」

いきなりの話題の方向転換に面喰らったようだったけど、それでも鷹男は

「知っていますよ。当初はその姫が入内予定だったと聞いています」

「えぇ、そうね。その通りよ」

「それが何か」

「いいえ、何でもないわ」

首を振って、あたしは口をつぐんだ。

例えばだけど、鷹男は少しでも考えたことがあるのかしら?

どうして大姫の入内がなくなったのか、とか。

急遽、入内が決まった公子妃の胸にはどんな思いが去来したのだろう、とか。

想像力───

そう。想像力なのよ。

大人になって、人は想像力を身に付けて行く。

ああかこうかと想像すると、傍若無人に振る舞えなくなっていく。

鷹男にいくらかでも高彬の気持ちを想像する心があったなら、あんな悪戯はしなかったはずなのよ。

鷹男に欠けているのは想像力なんだと思う。

だけどね、きっと帝ってそんなこと考えてたらやっていけない商売なんだろうな、とも思う。

自分の意志に関係なくたくさんの姫君が入内してきて、大きな国家行事が進行して行って。

あの姫の気持ち、この姫の気持ち、あの臣下の気持ち、なんていちいち考えてられないのよ。

考えてたらやってられないって言うかさ。

帝って最高権力者でありながら、不自由で窮屈で、そして誰よりも孤独なんだと思う。

だけどね、誰でも生まれついたところで頑張って生きていかなきゃいけないわけで、それは鷹男だって、川で溺れかけたあたしを救ってくれた川沿いの漁師夫婦だって同じなのよ。

あの夫婦は、自由がある代わりに権力なんかなくてさ。

鷹男も漁師夫婦も、取りあえず手持ちのカード使って生きてくしかないんだし、ナイもの数え上げてたってどうしようもないんだから。

経験を積んで、人は想像力を養って、そしてその想像力が優しさに繋がっていくんだとあたしは思っている。

あたしだってまだまだこれからだし、きっと鷹男もこの先、色んな経験を通して想像力や優しさを身に付けて行けばいいのよ。

鷹男は帝だし、あたしなんかが絶対にしないような政治的な経験もするんだろうけど、でも、一番、人を成長させる経験って言ったら、やっぱり<身近な人>なんじゃないかと思う。

それは公子妃なのかも知れないし、これから入内してくるであろう他のお妃なのかも知れない。

後宮の女官って可能性もあるし、重臣たちってこともあるんだと思う。

もちろん、宮廷に関係のない人だっていいわけだけど、でも、あたしはその役どころはちょっとご免だなぁ、と言う気がする。

鷹男の御世が安泰であることも願っているし、いつの日か鷹男の心の傷が癒えればいいと思っているけど、でも、もう個人的な鷹男との交流は勘弁して欲しいって言うかさ。






~続きます。


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紫匂う花房の<6>

2017-04-22 | ss(紫匂う花房の)
※<原作8巻その後>をイメージしたお話です。ネタばれ要素を多く含みますので閲覧ご注意下さい。※



部屋に入って来た鷹男はまずは藤宮さまには目配せをすると、次いであたしを見てにっこりと笑った。

「お久しぶりですね、瑠璃姫」

鷹男はよそ行きとでも呼べそうな澄ました声でいい、あたしは言葉もなく頷き返しながらまじまじと鷹男を見てしまった。

久しぶりに見た鷹男は───

やっぱり相変わらず凛々しくて、ものすごい美男子(ハンサム)だった。

第一印象の時とそれは変わらず、ううん、それどころか歳を重ねて精悍さが加わり、更に磨きがかかっている、と言う感じに見える。

あたしのことを懐かしそうに見る目は好奇心に満ちていて、その力強い光を宿した瞳には、見るものを魅了してやまないような輝きがあった。

確かに鷹男には、人を惹きつけずにはいられない魅力があることは間違いないみたいで───

鷹男が人払いをすると、女房たちがさささっと潮が引くみたいに退がっていき、部屋には鷹男と藤宮さま、そうしてあたしの三人だけになった。

「あなたはいつみても変わらない。お元気そうだ」

ぐっと砕けた感じで言い、その口調には隠しようのない親しみが込められている。

「鷹男も元気そうね」

あたしは短く言い、少し笑ってから

「ところでお聞きしたいのだけど、あたしに文を送ってきたのは、何か内密に伝えたいことがあるとか、そういう事かしら?」

単刀直入に切り出した。

鷹男の目が一瞬、大きく開かれ、そうして(おやおや)と言うように眉が上がった。

「なぜ、そう思われたのです?」

「<思われた>わけじゃないわ。そうでもなきゃ、あたしに文を送る理由が思い付かなかったからよ」

肩をすくめると、隣で藤宮さまが身じろぎをして、おそらくあたしが何を言いだすかを心配しているのかも知れない。

「理由がなければ、あなたに文を送ってはダメですか?」

鷹男がじっとあたしを見ながら言い、あたしはその視線をまっすぐに見返した。

今もって真実を知らず、深く傷付いたままの鷹男。

少し前のあたしだったら、ただただ同情し、それだけで鷹男に肩入れして、何とかしてあげなくっちゃって思っていたに違いない。

だけど────

あたしは一度ゆっくりと瞬きをすると

「そうね、ダメよ」

静かに言った。

思えば、鷹男のことでは今まで高彬にさんざん嫌な思いをさせてきた。

もちろん疑われるような疚しいことは何もなかったとは言え、それでもあたしの中に華やぐような気持ちがあったことは否定出来ないわ。

決して本気で浮気するようなことはないけど、でも、イイ男に思わせぶりなこと言われてウキウキしちゃうような気分とでも言うのか。

そう言うことにいちいち目くじら立てる高彬を(頭の固いやつ)なんて思う時も正直あった。

でも、今はもうきっぱりと迷惑なのよ。

思わせぶりとか止めてもらいたい。

「瑠璃姫・・・」

「あたしはねぇ、鷹男。今さら言っても仕方ないことだけど、でも、最後だからこれだけは言わせてもらうわ」

あたしは居住まいを正し、息を吸い込むと

「高彬に少しヤキモチやかせてやろう、だなんて、悪戯にしては行き過ぎている。はっきり言って悪趣味よ」

きっぱりと言った。








~続きます。


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「高彬解体新書」~巻の三

2017-04-20 | 高彬解体新書
今上帝から女御さまへのお文を携えていた私は、やはり常とは違う気持ちで慌てていたのでしょう。

渡殿の角を曲がったところで、裳裾に足を取られ

「あっ」

と声が出た時には、見事に滑ってしまい───

と思ったのも束の間、私は誰かの手に支えられていました。

「大丈夫でしたか?」

声のした方に顔を向けると、そこには───

すっきりとした佇まいの絵に書いたような公達が立っていらっしゃいました。

「あ、は、はい・・」

慌てて返事をしてみたものの、そのあまりの近さにかぁっと顔が火照ってしまいました。

近いと言いますか、ほとんど抱きかかえられているような感じなのです。

私の腕をその公達の手が掴んでおり、私はその手をまじまじと見てしまいました。

高貴なお方の手と言うのは、普段はお袖に隠れていることが多いのですが、今は掴んだ拍子に袖が捲れたのか、はっきりと見えています。

(綺麗な手・・)

すらりとした長い指先に、程よく節の張った指、くるぶしから手の甲へのラインが何とも男らしさを感じる手でした。

綺麗だけれども、女人のそれとは違う、男の手、大人の手です。

「良かった、転ばないで。ここ後宮の渡殿は、内裏内で一番、手入れがされているから滑りやすいと聞いたことがあります。あまり急がない方がいい」

そうおっしゃりながら公達は手を離され、私はつい名残惜しく、その手を目で追ってしまいました。

「はい、申し訳ございません。私、まだ後宮に上がって間がない新参者でして・・・。それに童の頃からお転婆だと父上にも良く叱られていて・・・」

自分の粗忽ぶりを笑われたようでついつい言い訳がましく言ってしまい、助けられた上にとんだご無礼を・・と、青くなっていると

「あなたもお転婆ですか」

と楽しそうにおっしゃられました。

も?

あなたも?

そのお顔があまりにお優しい顔だったので、引き込まれるように見返してしまいますと

「実は・・、私の妻もとんでもないお転婆でしてね」

「・・・」

「お転婆と聞くと、つい妻を思い出してしまうのです。・・・引きとめて申し訳ない。仕事の最中でしたね」

「あ、いえ・・」

もっとお話をしていたくて頭を振ってみたのですが、その公達は衣擦れの音も優しく行ってしまわれました。

「・・・」

お姿を見送り、気を取り直してまた歩き出すと

「ちょっと納言さん!」

一つ上の先輩女房の相模さんに腕を掴まれてしまいました。

「どうしてあなたが右近少将高彬さまと親しげにお話しているのよ」

「・・・」

右近少将高彬さま。

あの方のお名前なんだわ・・・

「右近少将さま・・。とても綺麗な手をお持ちの方ですのね」

そう言うと、相模さんはぎょっとした顔になり、私の顔を覗き込むと

「どうして少将さまの手を?ご覧になったの?どこで?」

矢継ぎ早に聞いて来ました。

「どこでって・・」

たった今ですわ、と答えようとして、私は口をつぐみました。

相模さんは気の良い方なので、ちょっとだけイタズラ心が湧いてきてしまったのです。

「うふふ、どこでしょう・・」

意味ありげになるべく艶っぽく笑って見せると、相模さんは

「ずるいわ、納言さん」

と唇を尖らせてきました。

「でも、おかしいわねぇ。右近少将高彬さまは決して女房と懇ろになったりはなさらないのよ。なんでもご結婚相手の姫さまにぞっこんでいらっしゃるらしいわよ」

「・・・」

さきほどのお優しい少将さまのお顔が思い出されました。

お転婆な姫さま・・

あのお顔を見たら、どれだけ少将さまが姫さまを大切になさっているかがわかります。

(あらあら、どうやら私は淡い恋と失恋を同時にしてしまったのね・・)

私は右近少将高彬さまに掴まれた腕をそっとさすったのでした。





<終>


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紫匂う花房の<5>

2017-04-19 | ss(紫匂う花房の)
※<原作8巻その後>をイメージしたお話です。ネタばれ要素を多く含みますので閲覧ご注意下さい。※



「お久しぶりでございますわね、瑠璃さま」

登華殿の一室で藤宮さまは懐かしそうに言われ

「えぇ、本当に」

あたしも笑顔を返した。

藤宮さまとお会いするのは、優に半年振り───

事件の後、承香殿女御さまのご懐妊の話を聞きに行った時以来だった。

藤宮さまはあの事件の真相を知っている数少ないうちの一人なのだ。

目が合って何となく曖昧に頷き合う。

思うこと、言いたいことがたくさんあるのはお互い様だった。

だけど場所が場所だけに迂闊なことは言えないと黙り込んでいると

「わたくしね、瑠璃さま」

声を落とし、藤宮さまが膝を進めてきた。

扇を開き、内緒話をするように

「この間、遠野宮の夢を見ましたの」

「・・・」

「絢姫と東宮さま、お三人で仲睦まじそうなご様子で・・」

しみじみと言い、すっと扇を閉じると改めてあたしに向かい

「瑠璃さまが吉野にご静養にいらしてた時、何度か瑠璃さまのことを夢にみましたのよ」

「あたしの夢を?」

「えぇ。・・・だから、遠野宮も元気で暮らしていると思いますわ」

何が<だから>なのか分からずに黙っていると、あたしの沈黙の意味がわかったのか

「瑠璃さまは今、こうして元気にお過ごしでしょう?」

「えぇ」

「だから、わたくしが夢に見た方は、きっと元気にお過ごしになってるんだって思いますの」

あたしに説明するようにも、自分に言い聞かせるようにも取れる口調だった。

「藤宮さま」

あたしはゆっくりと大きく頷いた。

「そうですわね。きっと元気でお暮らしですわ」

あれっきり、帥の宮とは一切、連絡を取っていないけど、でも、元気に過ごしているはずよ。

ううん、元気でいてもらわないと困るのよ。

帥の宮と絢姫が不幸になっていたら、命まで懸けた大弐が浮かばれないわ。

もちろん、高彬だって。

他にも宮邸の火事で亡くなった人だっているんだし、2人には命懸けで幸せになってもらわないといけない。

あたしが2人の消息を知ることはないだろうけど、2人は今、幸せだってあたしはそう信じてるわ。

「それにしても、こうして瑠璃さまにお会いできるなんて嬉しゅうございますわ」

藤宮さまに言われ、あたしは膨れっ面をして見せた。

「鷹男が何度も文を寄越すんです。それで、何かあったんじゃないかって心配になっちゃって。それを確かめるためにこうして後宮に来たんです。もし何にもないようだったら、もう文なんか送らないでって言うつもりです」

「まぁ。瑠璃さまったら」

藤宮さまは目を見開き

「今上もきっと瑠璃さまが懐かしいのですわ。そんなに邪険になさらないであげて下さいませな」

あたしは肩をすくめた。

高彬に相談した後、あたしは参内する旨のお文を書いたのだけど、その時に藤宮さまのご同席を条件にしたのだ。

藤宮さまにお会いしたいって気持ちもあったし、万が一鷹男に下心があっても藤宮さまがいれば、そうそう簡単に色っぽいムードにはならないだろうと言うヨミもあった。

「今上は事件の真相をご存知ないのですもの、どうか、瑠璃さまもお優しくして差し上げて」

「・・・」

そりゃあね、あたしだってそうは思うわよ。

鷹男はまだ、帥の宮に裏切られて、女御さまや東宮さまが焼け死んだと思ってるんだもの。

その苦しみ、辛さは想像に余りあるわ。

いずれ、真実を知る時は来るのだろうけど・・・

ふと足音が聞こえ、女房が現れ手を付き

「ただいま、帝がおなり遊ばします」

ゆるゆると口上を述べた。

少しの後、やがて鷹男の帝、その人が現れた。







~続きます。


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紫匂う花房の<4>

2017-04-17 | ss(紫匂う花房の)
※<原作8巻その後>をイメージしたお話です。ネタばれ要素を多く含みますので閲覧ご注意下さい。※



「うん。それは一度、お会いしてお話を伺った方がいいかも知れないね」

全てを聞き終え、高彬が最初に口にした言葉がこれだった。

高彬はあたしの話を真剣に聞いてくれ、とりあえずは全部、話しを聞こうと思ってくれたようで、途中で口を挟むようなこともしなかった。

「あのぅ、一応、言っておくけど、鷹男に会いたくて行くんじゃないわよ。何かあたしに話があるんなら、早めに聞いておこうってそれだけのことよ。勘違いしないでね」

そう念を押すと

「わかってるよ」

高彬は苦笑し、そうして、ふと目を細めると

「まぁ、万が一、何かあった時、ぼくがどう出るかは瑠璃さんもよーく分かってるだろうしね」

意味ありげに笑いを含んだ声で言われてしまった。

「・・・分かってるわよ」

ぼそぼそと返事をすると、高彬は小さく笑い頷いた。

あーあ、念を押したつもりが、逆に釘を刺されちゃった感じだわ。

だけど、こう言うやり取りが心地いい。

今まで相談なしに好き勝手やってきたあたしが言うセリフじゃないかも知れないけど、やっぱり夫婦の基本は会話なのよ。

会話なくして、理解なんて有り得ないんだし。

「ねぇ、高彬。最近の鷹男ってどんな感じなの?」

ズバリ聞いてみると

「表向きは平らかでいらっしゃるよ。姉上のご体調も安定されているし、宮廷内も段々と祝賀ムードへと移行しつつあるしね」

「うん・・」

「あの事件の後は今上もお一人で過ごされることも多く、御気色もすぐれないようであらせられたけど、最近では以前のように尚侍どのや命婦どのの・・・その・・夜の御殿へのお召も増えたし・・」

高彬は途中から語尾を濁したけれど、あたしは内心

(やっぱり!)

と言う感じだった。

そんなことじゃないかと思ってたのよ。

高彬の姉上である承香殿女御さまはご懐妊されていて、ご出産は秋頃じゃないかと言われている。

今、後宮には実質、承香殿女御さましかいらっしゃらないし、その女御さまがご懐妊中ともなれば、まぁ、こう言っちゃなんだけど、鷹男も不自由してるんだと思う。

鷹男は前からあまたの女官にも手を出してるって言うし───

やっぱり、その延長線上であたしに文を寄越してるって可能性は大だわね。

要は暇なのよ。

事件の大混乱も収束して、女御さまの体調も安定してさ。

またぞろ浮気の虫が騒ぎだしたに違いないんだから。

ほんと、鷹男って根っからの遊び人なのよ。

ああいう人って、より取り見取りの帝の座って、ある意味、天職なんじゃないかしら。

女御さまはともかくとして、女官たちだって鷹男のお手付きになって喜んでるんだろうし、それで皇子でも産んであわよくば・・・なんて野心を持ってる人だっているんだろうし。

魚心あれば水心ってやつでさ。

なんだかねぇ、そんなことを思うにつけ、つくづくあたしは入内なんかしなくて良かったと思う。

あたしのこの性格じゃ入内なんか無理、と思ってくれた父さまに感謝だわよ。

もちろん鷹男はあの事件の真相をまだ知らないから、内心では心を痛めていて、何かで気を紛らわせずにはいられないって心境もわからなくはないんだけど、でも、紛らわす方向がおかしいのよ。

ほんと、こういうところに人の性質って出るんだと思うわ。

帝なんだから鶴の一声で、ある意味、大体の要求は通るわけじゃない。

暇そうな役人相手に武芸に励むとか、女御さまを労わるための宴や歌会合わせを開くとか。

それを色事一直線ってどういうつもりなんだろ。

「まったく・・」

と言い掛けて口をつぐみ、あたしはそっと高彬を窺った。

あたしは高彬のことでもうひとつ学んだことがある。

それは、高彬は誰のことであれ悪しざまに言うのを好まない、と言う事だった。

あたしなんて、嫌なことや嫌な人がいたら、どんどん悪口言っちゃうし、それで(あー、すっきりした)って気分になるんだけど、どうも高彬はそうではないらしいということが分かって来た。

元々の性格もあるのかも知れないし、どこで言質を取られるか分からない宮廷社会に身を置いてるからってこともあるのかも知れない。

高彬の実家での様子はよく知らないけど、でも、高彬が守弥や女房相手に言いたい放題、誰かの悪口を言ってる姿って想像できないし、かと言って兄弟仲が良く忌憚なく何でも話してるってこともないだろうし、要は安心して悪口や文句を言える環境がなかったんだと思う。今まではね。

でも、じゃあ高彬がそういう気持ちを持たないかって言ったらそんなことはないはずで、結局、内へ内へと押さえつけた反動がいつかの愛染明王みたいになるんだから、高彬もね、負の感情を変に溜め込まないでどんどん発散したらいいのよ。

どんな話を聞いたって、高彬が不利になるようなことは誰にも口外したりしないんだから、安心して悪口でもグチでもあたしにこぼしてもらいたいなぁ、と妻である身としては思うわけよ。

まぁ、その辺りは、今後の高彬の課題よね。

だから高彬が

『何かあった時、ぼくがどう出るかは瑠璃さんもよーく分かってるだろうしね』

なんて言ってくるのは、あたしとしては嬉しくて。

よしよし、高彬も少しずつでも自分を解放して楽になってきてるのかな、なんてね。







~続きます。


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紫匂う花房の<3>

2017-04-16 | ss(紫匂う花房の)
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「あのぅ、姫さま。またお文が届きました」

早苗がおずおずと差しだすお文を、あたしは片手でひったくるように受け取った。

「・・・」

あたしの荒々しい仕草に早苗が怯えたような上目づかいで見てくるので

「あぁ、悪かったわね、おまえが悪いわけではないのよ」

無理に笑って見せると、早苗はホっとしたような顔で退がって行った。

最近、高彬以外の人からの文が届くとあたしの機嫌が悪いと言うので、女房たちがあたしに文を渡しに来るのを嫌がっている───、と言うようなことを少し前に小萩が言っていたことを思い出す。

女房たちが悪いわけじゃないんだし、気を付けないといけないわね・・・

そんなことを思いながらお文にざっと目を通したあたしは、危うく料紙を握り潰してしまいそうになった。

言うまでもなく、またしても文は鷹男からのもので、この間のよりも強い文言で<お会いしたい>みたいなことが書かれてある。

更には<このまま返事をもらえないようなら、近々、命婦を遣わすかも知れない>と言うことまでそれとなくほのめかしてあったのだ。

前回も前々回の文にも返事を書かなかったから、こんなことを書いてきたのに違いない。

鷹男のやつ!

あたしは盛大に舌打ちをした。

高彬はまだ完全に本調子じゃない身体を推して、それでも毎日、出仕していると言うのに、何を浮かれた文を書いているのよ!

高彬がどれほど気を使って嘘の報告書を作成したかわかってんの?!

それもこれも、少しでも鷹男の気持ちが楽になるためにって言う、その一心だったと言うのに。

まだ痛む身体で、休み休み、考え考え、筆を動かしていた高彬の姿をあんたに見せてやりたかったわよ!

今度こそは本当にお文を握りつぶしてやろうと両手を絞りかけた瞬間、ふと閃くものがあり、あたしは手を止めた。

いつだったか鷹男は、こんな風な<艶な噂>に紛らせながら、何とかあたしに連絡を付けようとしてたことがあったのを思い出したのだ。

まさかと思うけど、また何か極秘であたしに伝えたいことでもあるのかしら?

吉野君のことや、前左大臣のこととかで・・・

どうなんだろう、一度、会って話した方がいいのかしら。

「・・・・」

本当に内密に伝えたいことがあるのだとしたら早めに聞いておきたいし、それにもし、あたしが参内しないことに焦れた鷹男が、また高彬にお使者役とかやらせたりしたら、それも嫌だし・・

少し考えて、高彬が帰ってきたら相談してみよう、と決めた。

文をもらってることは、高彬が鷹男に失望しないためにも言わずに済むものなら言いたくないって気持ちがあったけど、鷹男に会うとなるとそういうわけには行かないものね。

そうなると今までにも何回か鷹男から文をもらってたことを話さないといけないけど、きちんと話せばきっと高彬は分かってくれるはずよ。

あたしは高彬のことで、いくつか学んだことがある。

それは、何も知らされずにいると言う事がすごく嫌な人なんだな、と言う事。

思えばあたしは、今までは一人で突っ走るようなところがあって、高彬には内緒だったり事後報告ってことがすごく多かった。

それで高彬を怒らせたこともたくさんあったし、だから、もうそう言うことはしないでいようと思ってる。

根本的なところであたしが変わったわけではないんだけど、相手が嫌がることはしないでいようって言うか。

高彬の意に沿うように、合わせられるところは合わせようって言うか、あたしのやり方を見直そうって言うか。

高彬は確かにお固くて口煩いところはあるけれど、でも、頭ごなしに何でもかんでも反対するような人じゃないし、むしろちゃんと事情を話せば分かってくれることが多いのよ。

まぁ、こんなことも、少しずつ見えてきた部分なんだけど。

高彬のこと、幼馴染だし何でも分かってる気になってただけなのかも知れないなぁ、なーんて思ったりしてね。

夜になり高彬がやってきた。








~続きます。


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紫匂う花房の<2>

2017-04-15 | ss(紫匂う花房の)
※<原作8巻その後>をイメージしたお話です。ネタばれ要素を多く含みますので閲覧ご注意下さい。※



文をもう一度、手に取る。

<東宮時代の楽しい冒険譚など、ゆっくりと2人でつれづれに語り合いませんか?あなたとしか共有していない思い出を・・>

なんてことが見事が手蹟で書いてあり、要は内裏に来ないかと言うことで、更には<語り合い>と言う言葉でさりげなくその先の艶めいた雰囲気を醸し出している。

もちろん直接的に口説かれてるわけでもないし、あたしの深読みと言われればそれまでなんだけど。

こういう思わせぶりな、どうとでも取れる文言で言葉遊びを楽しむのが風流人と言うわけで、そう言う意味では確かに鷹男は当代きって風流人なんだと思う。

だけどねぇ、いつだったかの煌姫の言葉じゃないけれど、人間の価値って風流か否かってことばかりじゃないのよ。

いざと言う時、何をするか、何を言うか。

ここが大切なのよ。

文字通り、数々の修羅場をくぐり抜けてきたあたしとしては、その言葉に深く納得しちゃうと言うかさ。

それに・・・

(冒険譚かぁ)

あたしはまた文に目を落とした。

東宮時代の冒険譚って言ったら、これは例の入道事件のことを言ってるんだと思うんだけど。

鷹男は本当にあれを冒険譚なんて思っているのかしら。

帝になった今、少しは自由に動けた東宮時代って言うのは、楽しい思い出なんだろうって言うのはわからなくもないんだけど。

「・・・・」

あたしは自分の人生を悔やむのは嫌いだし、起こったことは、全部起こるべくして起こったことなんだろうって思うようにしている。

だけど、もしも、もう一度、全く同じ人生を送れてやり直せるのだとしたら、あたしはあの夜───

五条の入道邸になんか忍びこまない。

当て身をくらって倒れた融を車に乗せて、そのまま大人しく三条邸に帰るわ。

そうすれば、あの時、縁の下で鷹男に会ったりもしなかったもの。

そうしたらきっと・・・

きっと吉野君は、三条邸に火を放ったりしなかった。人を殺したりしなかったはずよ。

吉野君は、鷹男があたしを入内させると言う噂を耳にして、それできっと長いこと堰き止めてた思いが溢れてしまったのよ・・

もちろん、あたしの想像だけかも知れないけど、でも、あたしは色々考えるわ。

あの時、もしあたしが入道事件なんかに首を突っ込まずにすんなり高彬と結婚してたら、どうなっていたのかな、とか。

案外、吉野君は陰ながらあたしの結婚を祝福してくれて、静かに暮らしていたのかも知れないな、とか。

そうすれば、高彬が吉野君を斬ることもなく、誰もあんな悲しい思いをせずに済んだのかな・・・とか・・・

人生って不思議なもので、必ず物事って影響し合ってる。

自分の取った行動が思いがけない形で誰かの人生に大きな影響を及ぼしてるってことがある。

それはもちろん、いいことにも、悪いことにも。

そういう事が歳を取って分かってくると、ああ言う大きな出来事を、単純に冒険譚として振り返られなくなってくるのよ。

その裏に潜む、たくさんの人の人生を思うと、無口になって行くって言うか。

もちろん、鷹男だけが悪いわけじゃないってことは分かってる。

あたしだって進んで調査に身を乗り出しちゃったわけだし。

だけど、鷹男があたしを気に入るなんて思いもしなかったし、思えばそれが何だか、その後のハプニングと言うかトラブルの元になってるわけで、何だかなぁ・・と言う感じなのよ。

しかもね、これがもし、鷹男があたしを心底好きになってくれたって言うんならまだいいの。

人生を狂わすほどの、誰かを傷付けずにはいられないほどの出会いってあるはずだから。

でも、鷹男はそうじゃないわ。

風変わりな姫であるあたしを面白がっただけ、一緒にいて楽しいし飽きないし、ってその程度の気持ちなのよ。

前にも思ったけど、ほんと、その程度の気持ちで乗り気じゃない女にコナかけてくるなって感じ。

あの人は最高権力者なわけで、本人は軽くちょっかい出したつもりのことが、回りには大きく影響を及ぼすってことが今一つ分かってないんじゃないかしら。

現にそれがあたしの入内の噂になって、吉野君の耳に入ったわけだし、吉野君だけじゃないわ、高彬だって一度は失脚まで覚悟したんだから。

しかも結婚後も

「少しヤキモチ焼かせてやろう」

なんて軽い気持ちで、さんざん高彬をコケにして、でも、結局はその<軽い遊び心>を帥の宮に利用されたってことじゃない。

帥の宮は、その<帝の軽い遊び>に乗った振りをして陰で色々と動いていたわけで、まぁ、帥の宮に殺されかけたあたしが言うのも何だけど、まだしも明確な目的があった帥の宮の方がマシだと思うわよ。

桐壷女御さまを何としてでもお守りしたいって言う気持ちがあったわけだもの。

でも、鷹男には何があったと言うの。








~続きます。


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紫匂う花房の<1>

2017-04-14 | ss(紫匂う花房の)
※<原作8巻その後>をイメージしたお話です。ネタばれ要素を多く含みますので閲覧ご注意下さい。※



届いたお文を読み終え文机に置くと、知らず深い深いため息が出てしまった。

卯月の昼下がり───

澄んだ空には刷毛でサッと描いたような薄い雲が散り、その中を鳶が気持ちよさそうに回遊している。

三条邸の庭には花が咲き乱れ、どこからか鳥のさえずりが聞こえ、文句の付けようのない春爛漫の風情ではある。

その中であたしは何とも冴えない気分で脇息に寄りかかり、じっと文机の文を見た。

この文は、畏き辺りからの───

はっきり言うと鷹男からの文なんである。

帥の宮事件の後、鷹男からの連絡は途絶えていた。

それも当然で、とにかくあの事件は京を揺るがす大事件だったし、さすがに鷹男にも堪えたみたいだった。

あたしはあたしで高彬が死線を彷徨ってる時に鷹男のことなんか思い出しもしなかったし、むしろ鷹男が

「右近少将はどうしたのかっ?!この失態、必ず後で詮議するぞ!」

とヒスってたって後になって聞いた時は、ブチ切れそうになったくらいだった。

なーにが失態よ、なーにが詮議よって感じでさ。

さんざん高彬のことを「少しヤキモチ焼かせてやろう」なんて言ってオモチャにして遊んでたくせに、よっく言うわよって感じ。

だから鷹男からの連絡が途絶えていたことなんて気にもしてなかったし、どちかって言うと清々したって気持ちもあったのよ。

あたしはもう、高彬が一番大事な人で、2番なんてないって気分だったし。

それが高彬の容態も落ち着いて、少しずつ出仕を始めた頃、鷹男から非公式にお文が届いたのだ。

それがまたえらく心のこもった内容で、とにかく右近少将が無事で良かった、とか書き連ねてあって、あたしもホッとした気持ちもあったから返事を書いたりもしたんだけど。

そうしたらまた文が来て、何度かやり取りをしてるうちに、段々と意味ありげなことを書いてくるようになったのよ。

あの人って本当に根っからのプレイボーイなのよ、きっと。

ノーテンキって言うかさ。

あたしもまだ独身の頃なら、そう言うのを多少は楽しむ気持ちもあったけど、何て言うかあんな事件のあった後だと、ほんとよくやるなぁ、とか呆れる気持ちの方が強くなっちゃって。

この文のことは高彬には言ってない。

鷹男と2人だけの秘密、とか、そんな甘やかな気持ちではもちろんないわよ。

何て言うか、高彬を失望させたくないなぁ・・・とか、そんな気持ちなの。

だって高彬は変わらず鷹男に忠誠を誓っているし、大火傷を負った時だって、どれだけ高彬が鷹男のことを思っていたかをあたしは知っているから。

それがまた、あたしに意味ありげな文を贈ってきてるなんて知ったら、あまりに高彬が可哀想だもの。







~続きます。


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社員旅行は突然に。<最終話>

2017-04-13 | ss(社員旅行)
社会人編の社員旅行ネタです。
多少セクシャルな表現がありますので、苦手な方は閲覧ご注意ください




*********



腰を両手で掴み一気に奥まで入れると、瑠璃さんの背中が大きくしなり、その分、密着度が高くなった。

中途半端に背中に掛かっている乱れた浴衣がやけに色っぽい。

思えば、ぼくも浴衣に袖を通したまま帯を解いただけの格好だった。

強く打ち付けると、腕で自分の身体を支えることも出来なくなったのか、瑠璃さんは腰だけを上げた格好になった。

片頬をシーツに押し当てたその顔をスタンドの灯りが浮かび上がらせ、瑠璃さんの表情が目に入った瞬間、背中がゾクリと震えた。

切なげに寄せられた眉根に薄く開いた唇、そこから漏れる喘ぎ声・・・

瑠璃さんを感じさせていると言うことに興奮が高まっていくのがわかる。

多分、ぼくの心にあるのは、征服欲が満たされたと言うあからさまな達成感で───

好きになった女性を好きなように抱き、満足させる。

男が女を愛すると言う事は、案外、こんなことなのかも知れない。

静かな部屋に肌のぶつかり合う音と、瑠璃さんの喘ぎ声が充満していく。

「・・いきそう・・」

すすり泣くような声で瑠璃さんが言った。

なんて可愛い声なんだろう・・

「瑠璃さん・・」

我慢が利かなくなりそうだった。

「ぼくも、いくよ」

強く強く、壊してしまいそうなほど強く打ち付けると

「高彬・・・!」

瑠璃さんが身体を震わせ、ぼくたちは同時に上り詰めた。



******


そっと顔を覗き込むと、うつぶせのまま瑠璃さんは放心したように目を閉じており、目尻には薄っすらと涙がたまっている。

精も根も尽き果てたと言う風にも見えるし、反対に充分に満ち足りた表情と言う風にも見える。

「瑠璃さん・・」

並んで横になり、瑠璃さんの頬に手を添えると、目を瞑ったまま瑠璃さんはコクコクと小さく頷いた。

何だろう。大丈夫、と言う合図だろうか。

瑠璃さんの背中に腕を回し抱き合ったままでしばらく過ごし、ふと気になって時計を見ると───

タイムリミットの1時間を少し過ぎていた。

「時間、大丈夫?1時間以上、経っちゃったけど」

「・・う、うん・・」

瑠璃さんは寝ぼけ眼で曖昧に返事をし、そうしてぼくの胸にぐりぐりと顔をこすりつけている。

小さい子どもがぐずっているようにも見えて、ちょっと笑ってしまった。

「部屋に戻る?」

出来ることならこのままここで朝を迎えたいけど、でも、そんなことをしたら、ぼくはともかく瑠璃さんが同室の女子社員に何を言われるか分からないから、そう聞いて見ると

「・・うん。戻るわ」

瑠璃さんはコクリと頷いた。

「起きなきゃ・・」

そう呟いて、自分の目を覚ますように両頬を手で叩いている。

うぅ・・、と言いながら両腕を突っ張らせノロノロと起き上がった瑠璃さんは、浴衣を掻き合わせて布団の上に座ると、そのまま目を閉じ俯いて黙り込んでいる。

「大丈夫・・?」

起き上がり顔を覗き込むと、ふいに瑠璃さんが顔を上げ、もの言いたげな目でぼくを見てきた。

「どうしたのさ、瑠璃さん」

しばらく待っても瑠璃さんが何も言いださないので、水を向けると

「あの・・」

「うん、どうした」

「部屋に戻らなきゃ・・だめ?」

「え」

「もう一回・・・、したいの」

「・・・」

思ってもみなかった瑠璃さんの申し出にびっくりしていると、ぼくの沈黙をどう受け取ったのか

「ちゃんとお願いするから」

そう言って、きちんと正座をして両手の指先を膝の前に付くと

「もう一回、して下さい。お願いします」

深々と頭を下げて見せた。

「・・・」

晴天の霹靂とはこのことで───

あまりのことに絶句していると、そろりそろりと心配そうに瑠璃さんは顔を上げ

「すごく・・・、気持ち良かったの・・だから・・」

顔を赤らめながら呟いた。

「・・・」

いや、何と言うか・・

瑠璃さんの口からこんな言葉が聞けるなんて・・・

「だめ?」

眉の下がった子犬みたいな顔で重ねて聞かれ

「だめなもんか」

ぼくは慌てて返事をした。

だめなわけ、ないじゃないか。

瑠璃さんの真正面に座り直し、何て言おうか少し考えて

「謹んでお受けします」

真面目に言い、両手を付いて頭を下げると、瑠璃さんも慌てたようにまた頭を下げてきた。

しばらくそのままの姿勢を保ち、そっと顔を上げると、瑠璃さんも同じように顔を上げたところで、目が合って2人で吹きだしてしまった。

少し笑って、2人で抱き合って布団に倒れ込む。

「気持ち良かったの?」

「うん。とっても・・。高彬は?」

「ぼくもだよ。気持ち良かった」

「うん・・」

情熱的なキスが始まり──

社員旅行の夜、ぼくたちはこんな風にして、2人の親睦を更に更に深め合って過ごしたのであった。








~長らくのお付き合いありがとうございました。


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社員旅行は突然に。パート11

2017-04-12 | ss(社員旅行)
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*********



さっきまでの強気な様子はすっかり影を潜め、ぼくの下で瑠璃さんは切なげに眉を寄せている。

両手を頭の上で押さえられながら喘ぎ声を上げる瑠璃さんの姿はなかなかに扇情的で───

はっきり言ってかなりエロティックだ。

枕元のスタンドの仄明るい灯りが、瑠璃さんの腕と肩に纏わり付く浴衣や、形の良い白い乳房を浮かび上がらせている。

その視覚的効果はバツグンで、いつになく、いや、いつにもまして瑠璃さんを欲する気落ちが強くなってしまった。

「瑠璃さん」

動きを止めないままにキスをし、舌を絡める。

指も舌も身体も絡め────

繋がれるところがあるなら、全部繋がりたかった。

「あぁっ」

瑠璃さんの中が大きく波打ち、達したのがわかった。

締め付けられる感覚に奥歯を噛みしめ、それでも動きを止めないでいると、瑠璃さんは小さいけれども泣き叫ぶような声をあげ、逃げるように腰を動かしている。

だけど、どこもかしこもぼくに絡め取られているこの状態で逃げるなんて無理だった。

「あぁ・・、また・・!」

唯一自由になる顔を仰け反らせると、瑠璃さんは再度、達した。

続く快感は苦痛と紙一重なのか、イヤイヤと頭を振り、動きを止めないぼくを懇願するような目で見てくる。

「・・・お願い・・もう、やめ・・て・・」

「・・・」

「少し・・・休ませて・・」

返事の代わりに黙って頭を横に振る。

いつもは瑠璃さんが達したら、様子を見てあげたり、ぼくも合わせていくとか、なるべく瑠璃さんのペースに合わせてあげているけれど、今日ばかりは瑠璃さんを翻弄したかった。

何度もいかせ、メチャクチャにしてやりたい・・・

もしかしたら社員旅行と言う特殊な状況が、ぼくをそう駆り立てているのかも知れない。

すぐ近くに同僚がいると言うこの状況が。

瑠璃さんは、普段はいかにもお色気たっぷりに振る舞っているような人じゃない。

服装だって態度だって、あっさりとさばさばしている。

だけど今、瑠璃さんは淫らな恰好でぼくを迎い入れ、そうして押し寄せる快感に身を委ねていて・・・

このギャップが堪らない。

瑠璃さんをもっと追い詰めたい。

ぼくの自由にしたい───

引き抜くと瑠璃さんはホッとしたような顔を見せ、だけど、解放してやったわけではなかった。

瑠璃さんの身体を裏返して四つん這いにさせると後ろから一気に貫いた。








~もう少し続きます。(「社会人・社員旅行編」連載中)


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社員旅行は突然に。パート10

2017-04-09 | ss(社員旅行)
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静かな部屋にキスの音だけが響く。

唇を吸う湿り気のある音、交ざり合う甘やかな吐息───

こうして集中して聞いて見ると、キスの音と言うのは結構エロいもんだな・・・

そんなことを頭の片隅で思いながら舌を絡める。

唇を触れ合わせるだけのキスと、深く舌を絡めるキスはまったく別物だと思う。

瑠璃さんの小さな頭を抱えるようにキスを続け、だんだんと下に降りて行き───

ふと、今日はこのまま入れようか、と思いたつ。

別に深い意味はなかったけど、1時間で部屋に戻ると言う瑠璃さんの言葉も気になっていたし、何よりもかなりキていた。

───たまにはぼくのペースでいいだろう。

いつも瑠璃さんの様子を見て、優先してあげてるんだから・・

普段の手順をばっさり省き、さらには瑠璃さんの同意も求めずに、両脚を抱えていきなり身体を沈めると、瑠璃さんはハッと息を詰め言葉にならない声を漏らした。

真下にある瑠璃さんの顔に戸惑いの色が浮かび、もの言いたげな顔にも見えたけど、無視して動き出す。

「たか、あきら・・」

戸惑ったような声で瑠璃さんは言い

「充分、濡れてたから」

問答無用とばかりに即座に言葉を返す。

入れた瞬間に、いや、あてがってすぐにそれは分かった。

濡れてなかったら可哀想で思い留まったかも知れないけど、瑠璃さんの身体は充分に受け入れ態勢が出来ていた。

瑠璃さんのペースを無視して強い動きを繰り返すとイヤイヤをするように頭を大きく左右に振り、両手で腰の辺りのシーツを掴み、強い刺激から逃れようとするかのように身体をずり上げはじめた。

すかさず瑠璃さんの両手を指先で絡め取ると、そのまま頭の上に持って行き、動きを封じ込める。

さらに腰を密着させて奥を突き上げると、瑠璃さんはすすり泣きのような声を上げはじめた。

「・・あぁ・・」

すぐ真下から瑠璃さんの甘く切なげな声が聞こえる。

「・・高彬・・・、いやぁ・・」

がっちり押さえられ動けない瑠璃さんをどんどん追い詰めて行く。








~続きます。(「社会人・社員旅行編」連載中)


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社員旅行は突然に。パート9

2017-04-08 | ss(社員旅行)
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両手で脚を開くと、瑠璃さんは閉じようと脚をばたつかせてきた。

だけど、ばたつかせればばたつかせるほど、自分で浴衣を肌蹴ることになり、それに気付いた瑠璃さんは今度は慌てて両手で浴衣を掻き合わせようとして、そうなると却って脚を開くことになってしまい・・・

まったくもって瑠璃さんの戦法はなってないのだった。

啖呵はそれなりの勝算のある時に切るものじゃないか。

絶対に閉じられないようにがっちりと脚を押さえ、顔をうずめいきなり一番敏感な部分に唇を押し当てると

「あっ」

と瑠璃さんは声を上げた。

「ここ、気持ちいいんだろ」

顔を上げ言うと

「べ、別に。びっくりして声が出ちゃっただけよ」

強気な声が戻って来た。

「ふぅん、そうか。なら絶対に声を出すなよ、瑠璃さん」

言い置いて、再度、顔をうずめる。

強弱を付けながら敏感なところに執拗に舌を這わせ震わせてやると、瑠璃さんの腰が細やかに震えだしだ。

乱れた浴衣姿で逃げるように腰を捻る姿が何とも色っぽい。

顔を覗き込むと、切なげに目を閉じ眉目を寄せている。

「気持ちいいんだろ」

感じているのは明白なのに瑠璃さんは黙って首を横に振り、まだ意地を張っているのだった。

気の強さもここまで来ると呆れると言うか、立派と言うか───

と思っていたら、ふいに瑠璃さんが反撃に出てきた。

ぼくの浴衣の合わせに手を掛け、脱がせにかかってきたのだ。

突然の行動にぼくが一瞬ポカンとしたその隙を付いて、瑠璃さんはぼくの身体の上に馬乗りになり、形勢逆転とばかりに浴衣を肩から外された。

その顔は(どう?高彬の思い通りにはさせないわよ)とでも言っているようで───

いや、この流れなら、全然、思い通りにならなくていいんだけど・・・

むしろ大歓迎だ。

瑠璃さん、わかってるのかな、自分が何してるか・・

瑠璃さんが何をしてくるか、しばらく様子を見て見ようとやられた振りをして大人しくしていると、瑠璃さんは耳朶に唇を寄せてきた。

小さな舌でチロチロと耳朶を舐め、そのまま首筋にキスをしてくる。

「どう?気持ちいい?」

「全然」

こう答えれば気の強い瑠璃さんのこと、ムキになって更に<気持ちいい>ことをしてくるかと思って言ってみたのだけど、どうやらふと我に返ってしまったみたいだった。

浴衣を肌蹴させ馬乗りになっている自分の姿に気が付くと、慌てたようにぼくから降り、そうして浴衣を掻き合わせた。

困ったと言うか、しまったと言うか、そんな顔で目を見開き固まっている。

残念、と思う気持ちよりも、その姿の可愛さにやられてしまった。

気が強かろうが武士だろうが、やっぱり瑠璃さんは可愛いくて───

「・・・」

仕切り直しだ。

ぼくも布団の上に座り、身を乗り出して瑠璃さんにキスをする。

唇を離し

「イジワル言ってごめん」

何度かキスを繰り返した後、そっと瑠璃さんの身体を押し倒し見つめ合っていると

「気持ち良かったら、声、出してもいい?」

下から瑠璃さんが恥ずかしそうに言ってきた。

「うん」

情熱的なキスが始まった。








~続きます。(「社会人・社員旅行編」連載中)


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社員旅行は突然に。パート8

2017-04-06 | ss(社員旅行)
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「やっぱり高彬、今日はイジワルだわ」

顔だけ向けそう言うと、瑠璃さんは唇を尖らせた。

「たまには、ね」

眉を上げ言ってやると、瑠璃さんはふぅ・・と息を吐き、そうして

「わかったわ」

小さく呟いた。

密かな達成感みたいなものが沸き上がる。

たまにはこれくらい言ったっていいだろう。

いくら惚れた弱みとは言え、そう毎回毎回、瑠璃さんのペースを考えてばかりは・・・

「もう帰る」

「は?」

帰る?

「そんなイジワル言うんなら帰る」

浴衣の乱れを直し小芝居のため持参したタオルを拾いあげると、瑠璃さんはスタコラとドアに向かい歩き出してしまい

「る、瑠璃さん」

そうなると、当然、ぼくは追い掛けることになり、いや、ここで帰られるのは何というか・・・マズい。

ぼくは瑠璃さんの腕を掴んだ。

「待って」

くるりとこちらを向かせると、瑠璃さんの目が───

イジワルそうに笑っている。

「あたしに帰って欲しくないんでしょ?」

「・・・」

「だったら、待って、じゃなくて、待ってください、なんじゃないの?」

「・・・・」

くっそー、このはねっ返りめ!

いや、もちろん瑠璃さんの気の強さは嫌いじゃない。

正義感たっぷりで、ストレートだし。

だけど、こういう場面で、どうしてこうオトコに逆らうかなぁ・・・

従順に三つ指付いて、ってわけには行かないんだろうか。

・・・行かないだろうな、やっぱり。

だけど、ここで「待ってください」なんて言えるか、と言うのだ。男がすたる。

「ねぇ、瑠璃さん」

瑠璃さんの前に立ちはだかると、腰に手を当てる。

「何かしら?高彬」

瑠璃さんはぐっとぼくに顔を近づけると、挑戦的に眉を上げて見せた。

「武士の瑠璃さんに聞くけどさ」

「・・・」

「瑠璃さんは、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、この中ではどの武将が好き?」

「・・・」

「ぼくは断然、秀吉公だね」

「それが何か・・」

瑠璃さんが何か言うより早く抱き上げると和室に戻り、瑠璃さんを布団の上に下ろすと後ろ手に襖を閉める。

部屋は枕元にあるスタンドの灯りひとつになった。

立ち上がろうとする瑠璃さんの身体を絡め取ると、そのまま布団に組み敷く。

「ま、待って、高彬」

「待ってください、だろ」

ぐっと下から睨み付けてくる瑠璃さんの唇を塞ぐ。

秀吉公じゃあないけど「言わぬなら言わせてみせよう、はねっ返り」だ。

瑠璃さんを完膚なきまでに打ちのめし、そうして泣きながらでも請わせてやる。

続けてください、と────。

浴衣を肌蹴ると、ぼくはすぐに瑠璃さんの脚を開いた。






~続きます。(「社会人・社員旅行編」連載中)


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