※本館「現代編」設定の2人です※
まったく頭に来ちゃう!
何なのよ、高彬のあの言い草!
まるであたしからもらうのを牽制してるかのようなことばっかり言っちゃってさ。
高彬め、そんなにあたしからの手編みのプレゼントが欲しくないのか。
なーにが
『瑠璃さん、そもそも不器用だろ』
よ。
女心なんてこれっぽっちも分からない高彬に言われたくないわよ。
鈍感!
最近うっかり忘れがちだったけど、思えばあいつはあたしより年下なのよ。
なのにあの言い方!
年下のガキのくせに生意気な!!
怒りに任せて猛ダッシュしながら、思い付く限りの悪態を付く。
走り過ぎて、学校に着く頃にはヘトヘトだった。
「・・・どうしたの、瑠璃。赤い顔して」
昇降口で亜実に声を掛けられたけど、あたしは返事をせずにムンズと上履きを掴むとローファーを脱ぎすごい勢いで履き代えた。
「まぁまぁ、何よ、朝っぱらから粗雑ですこと」
ホコりを払う仕草をしながら亜実は言い、あたしはそのまま教室へと向かった。
一時限目の数学が始まっても気持ちは収まらず、数式の解説を聞きながら、あたしは唐突にあることを思い付いた。
(いっそ、高彬に告白してやるって言うのはどうかしら)
そんなにあたしの手編みのマフラーを欲しくないって言うんなら、尚のこと、あげてしまうってわけ。
思えばあたしが高彬に何も言わないでいるのは、どこかで「高彬を困らせたくない」って気持ちが働いているからなのよ。
あたしたち幼馴染だし、卒業するまではあたしの送り迎えが父さまから言い付けられた任務だし、あたしが告白したらやっぱり高彬は困るんじゃないかな・・・なんて思って。
困るって言うか気まずいって言うかさ。
なんてあわれ深い女心なのかしら、あたしって。
でも、さっきのあんな言い草を聞くと、そんな風に気を使ってることが馬鹿みたいに思えてしまった。
言いたいこと盛大に言ってやってさ、それで高彬が困るなら勝手に困ってりゃいいのよ。
まぁあたしも多少は気まずいかも知れないけど、どうせ卒業まで数か月だもんね。
卒業したら会わなくなるんだから、その間だけ辛抱したらいいんだし。
とにかくあたしの気まずさよりも、高彬が困ったら「ザマーミロ」と言う気がする。
考えれば考える程、妙案な気がされ、居ても立ってもいられなくなったあたしは早退することにした。
告白すると決まったら、早く帰って志乃さんにマフラーの編み方教わらなきゃ。
チャイムを待ち、一目散に教員室に向かう。
うちの学園の教員室は、生徒と教員の垣根を無くし、かつオープンなものにしたいとか言う理由で、教員室は動物園かと見紛うような全面ガラス張りなので、担任の姿はすぐに見つかった。
中に入って行ってもいいけど、先生から気付いてくれるとありがたいんだけど・・・
そんな思いでガラスの前をウロウロしてたら、期待通りに担任が気が付いて出て来てくれた。
「どうしたの、瑠璃ちゃん」
24歳の若くて綺麗な担任は受け持つ生徒のことを下の名前で呼ぶ。
「先生、すみません。今日、早退します」
「早退って・・・、どうしたの?具合でも悪いの?少し顔が赤いようにも見えるけど、熱でもあるのかしら・・・」
赤いのは色々考えて興奮状態だからなんだけど、その方が話が早いからあたしは頷いた。
「わかったわ。じゃあ藤原くんに言わないと・・・」
「だ、だ、大丈夫です!」
慌てて手を前で振る。
高彬があたしの登下校を任されてることは、ほぼ学園中の人に知れ渡っているのだ。
でも、高彬に送ってもらうなんて真っ平ごめんよ!
「家に電話して途中まで迎えに来てもらうので一人で帰れます、失礼します」
言いたいことだけ言い、頭をペコンと下げると、カバンを取るため教室に戻る。
確か高彬のクラスは二時限目が体育だったはずだから、皆、更衣室に向かっているはず。
念のため、教室に誰もいないことを確認し、あたしは逃げるように学園を後にした。
いつもの半分以下の時間で帰宅したあたしは玄関を開けるなり
「志乃さん!マフラーの編み方教えて!」
そう叫ぶと、奥から驚いた顔をした志乃さんが飛び出してきた。
<続>
ついに瑠璃が(高彬を困らせるために)告白を決意!瑠璃にクリックで応援をお願いいたします。
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**イラスト・藍さん**
まったく頭に来ちゃう!
何なのよ、高彬のあの言い草!
まるであたしからもらうのを牽制してるかのようなことばっかり言っちゃってさ。
高彬め、そんなにあたしからの手編みのプレゼントが欲しくないのか。
なーにが
『瑠璃さん、そもそも不器用だろ』
よ。
女心なんてこれっぽっちも分からない高彬に言われたくないわよ。
鈍感!
最近うっかり忘れがちだったけど、思えばあいつはあたしより年下なのよ。
なのにあの言い方!
年下のガキのくせに生意気な!!
怒りに任せて猛ダッシュしながら、思い付く限りの悪態を付く。
走り過ぎて、学校に着く頃にはヘトヘトだった。
「・・・どうしたの、瑠璃。赤い顔して」
昇降口で亜実に声を掛けられたけど、あたしは返事をせずにムンズと上履きを掴むとローファーを脱ぎすごい勢いで履き代えた。
「まぁまぁ、何よ、朝っぱらから粗雑ですこと」
ホコりを払う仕草をしながら亜実は言い、あたしはそのまま教室へと向かった。
一時限目の数学が始まっても気持ちは収まらず、数式の解説を聞きながら、あたしは唐突にあることを思い付いた。
(いっそ、高彬に告白してやるって言うのはどうかしら)
そんなにあたしの手編みのマフラーを欲しくないって言うんなら、尚のこと、あげてしまうってわけ。
思えばあたしが高彬に何も言わないでいるのは、どこかで「高彬を困らせたくない」って気持ちが働いているからなのよ。
あたしたち幼馴染だし、卒業するまではあたしの送り迎えが父さまから言い付けられた任務だし、あたしが告白したらやっぱり高彬は困るんじゃないかな・・・なんて思って。
困るって言うか気まずいって言うかさ。
なんてあわれ深い女心なのかしら、あたしって。
でも、さっきのあんな言い草を聞くと、そんな風に気を使ってることが馬鹿みたいに思えてしまった。
言いたいこと盛大に言ってやってさ、それで高彬が困るなら勝手に困ってりゃいいのよ。
まぁあたしも多少は気まずいかも知れないけど、どうせ卒業まで数か月だもんね。
卒業したら会わなくなるんだから、その間だけ辛抱したらいいんだし。
とにかくあたしの気まずさよりも、高彬が困ったら「ザマーミロ」と言う気がする。
考えれば考える程、妙案な気がされ、居ても立ってもいられなくなったあたしは早退することにした。
告白すると決まったら、早く帰って志乃さんにマフラーの編み方教わらなきゃ。
チャイムを待ち、一目散に教員室に向かう。
うちの学園の教員室は、生徒と教員の垣根を無くし、かつオープンなものにしたいとか言う理由で、教員室は動物園かと見紛うような全面ガラス張りなので、担任の姿はすぐに見つかった。
中に入って行ってもいいけど、先生から気付いてくれるとありがたいんだけど・・・
そんな思いでガラスの前をウロウロしてたら、期待通りに担任が気が付いて出て来てくれた。
「どうしたの、瑠璃ちゃん」
24歳の若くて綺麗な担任は受け持つ生徒のことを下の名前で呼ぶ。
「先生、すみません。今日、早退します」
「早退って・・・、どうしたの?具合でも悪いの?少し顔が赤いようにも見えるけど、熱でもあるのかしら・・・」
赤いのは色々考えて興奮状態だからなんだけど、その方が話が早いからあたしは頷いた。
「わかったわ。じゃあ藤原くんに言わないと・・・」
「だ、だ、大丈夫です!」
慌てて手を前で振る。
高彬があたしの登下校を任されてることは、ほぼ学園中の人に知れ渡っているのだ。
でも、高彬に送ってもらうなんて真っ平ごめんよ!
「家に電話して途中まで迎えに来てもらうので一人で帰れます、失礼します」
言いたいことだけ言い、頭をペコンと下げると、カバンを取るため教室に戻る。
確か高彬のクラスは二時限目が体育だったはずだから、皆、更衣室に向かっているはず。
念のため、教室に誰もいないことを確認し、あたしは逃げるように学園を後にした。
いつもの半分以下の時間で帰宅したあたしは玄関を開けるなり
「志乃さん!マフラーの編み方教えて!」
そう叫ぶと、奥から驚いた顔をした志乃さんが飛び出してきた。
<続>
ついに瑠璃が(高彬を困らせるために)告白を決意!瑠璃にクリックで応援をお願いいたします。
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**イラスト・藍さん**