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2019/ 5/31 「高彬解体新書」~巻の六」New!
2019/ 3/21 「高彬ボーイ<72>」
2019/ 1/26 「瑠璃ガール<71>」
2019/ 1/23 「瑠璃ガール<70>」
2019/ 1/16 「瑠璃ガール<69>」
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ご挨拶。

2020-10-07 | はじめに。
『「なんて素敵にジャパネスク」あれこれ』管理人の瑞月です。

現在、FC2ブログの場をお借りして運営している『「なんて素敵にジャパネスク」あれこれ』ですが、開設はこちらのgooブログでした。

確か新婚編の途中辺りでFC2にお引越ししたのですが、この折鶴のテンプレートがジャパネスクらしくて大好きでした。(折鶴はパソコン用のテンプレートです)

移行期間の後、gooブログの方は削除してしまったのですが、そのまま残しておけば良かったなぁ、とずっと悔やんでいました。

ですので、思い切って「あれこれ*plus」としてまた復活してしまいました!

何を書こうとかは全く決めていないのですが、何か楽しいことを書いて行きたいなぁ・・と思っています。

本館、別館に次ぐ、3つ目のジャパネスクブログとなりますが、どうぞよろしくお願いいたします。


2016年10月7日 

瑞月
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「高彬解体新書」~巻の六

2019-05-31 | 高彬解体新書
「本当に・・・。少将さまもお酒がお強くないのですから、良い所で切り上げて来られたら良いのですわ」

「まぁ、ねぇ・・」

几帳を動かしたり円座を敷いたり────

パタパタと動き回りながらの小萩の言葉に、あたしは曖昧に頷いた。

格子の隙間からは、まだ梅雨前だと言うのにすでに初夏を思わせるような夜風が入り込んで来ている。

「まぁ仕方ないわよ。上官に誘われちゃったら断りづらいだろうし、高彬だって仕事と割り切って飲んでるだけだろうし」

「それはそうでございましょうけど、ですが・・・」

小萩は不満そうに何かを言い掛け、ふと確認するかのように辺りに目を配ると、どうやらやることは全て済んでいたようで膝を折って床に座った。

「何度も姫さまのお耳に入れた話だとは思いますが、小萩は酔った殿方と言うのがどうにも苦手なのですわ」

「そうよね。知ってるわ。おまえの叔父さんだか何だかがものすごい酒飲みで、随分とイヤな思いを味わったんでしょ?」

頷いてやると

「イヤな思いと言いますか、酔って絡まれたくらいですけど」

「絡まれるのはイヤなものよね。うちの父さまもかなりの酒好きだけど、でも父さまのは陽気になる方だからまだマシかな。時々、泣き上戸になってメンドウな時もあるけど」

「普段は温厚な叔父が、飲むほどに酔うほどに、人が変わったようにネチネチと愚痴やら聞くに堪えないような下品な冗談を言いだして・・・」

その時を思い出したのか小萩はぶるっと身震いし

「きっと叔父は元来がそう言う類の人間だったのだと思いますわ。普段は押さえつけてるものが酔うことによって取っ払われ、本性が現れたのに違いありません。酔った時の姿こそが、その人間の本性、本音なのですわ」

真顔で力説してくる。

あたしも酔っぱらいはそんなに好きではないけど、でも小萩よりかはまだ許容範囲が広い。

でも小萩がここまで言うんだから、その叔父さんとやらの絡み方は本当に堪えがたいものだったのかも知れない。

まぁ小萩が生真面目ってこともあるんだろうけど・・・

「出迎えはあたしだけで良いから、おまえはもう休んでいいわよ」

浮かない顔をしている小萩にそう言ってやると、ホッとしたように頷き

「では失礼して退がらせていただきますわ」

二つ返事で頭を下げ、そそくさと部屋を出て行った。

(そろそろかしら?)

一人になった部屋で耳を澄ます。

高彬の従者から知らせが入ったのが小半刻前。

直属の上官から急に宴の誘いがあり高彬も同席していたのだけど、かなり酔ってしまったらしい。

それでもあたしのとこに来ると言っているらしく、かなり遅い時刻になるだろうけど伺っても良いだろうか───

と言う内容だった。

元々、今夜はうちに来る予定だったし、何よりも高彬はあたしの夫。

つまりはここ三条邸の人間なわけで、帰宅を断ろうはずもなく、あたしは一もにもなく了解の旨の返事を出した。

そろそろかな、とは思うんだけど・・・・

脇息にもたれながら静かに耳を澄ませていると、やがて夜風に乗せて聞こえるホゥホゥと鳴く鳥の声に混ざり、かすかにだけど東門辺りからざわめきが聞こえてきた。

ほどなくすると庭から複数の足音が聞こえ、灯篭の明かりの元、わが夫、高彬が現れた。

しっかりと両側から従者に支えられている。

───あらあら。

あたしは一人、目を瞠った。

これは随分と酔ってるわねぇ・・・

小萩を退がらせて正解だったみたいね。

さっと草履を引っ掛け高彬の元に行く。

「ご苦労さま。ここまででいいわよ」

労いの言葉を掛けると、従者らは頭を下げ踵を返し、やがて闇に消えていった。

高彬とあたし、身体の大きさからしてどっちが支えられてるのか分かんないくらいだけど、取りあえず階を上り部屋に入る。

このまま寝所に連れて横にならせるか円座に座らせるか考えていると、高彬は自分から円座に腰を下ろした。

少しだけ普段よりも荒っぽい所作に、やっぱり酔っているのね、と納得してしまう。

「大丈夫?白湯でも飲む?」

腰を屈め、覗き込むようにして言うと

「瑠璃さん」

「・・・きゃっ」

一瞬ふわりと身体が浮き、気が付いたら高彬の腕の中にいた。

腕の中と言っても普通に抱き寄せられたとかそんなんじゃなく、なんて言うのかしら、抱きかかえられてるって言うか───

ほら、お姫さま抱っこって言うの?

あんな感じ。

ま、あたし、こう見えて正真正銘のお姫さまなんだけどね。

それにしても、座った状態であたしを抱っこ出来るなんて、高彬ってほんと力持ち。

この細い身体のどこにそんな力があるのかしらって感じなんだけど。

すぐ近くにある高彬の顔を見ていると

「瑠璃さん」

ふいに高彬が目を合わせながら言い、返事をする間もなく

「可愛い」

真顔で言われ、あたしはギョッと高彬を見返してしまった。

(可愛い)だなんて、普段の高彬なら絶対に言いっこないことなんだもん。

「高彬、今、なんて・・・」

「瑠璃さんは可愛い」

「えぇと、その・・」

ありがとうと言うべきか、そんなことないわよ、と謙遜するべきか───

言葉に迷っていると

「あぁ、瑠璃さんは可愛いなぁ。なんでこんなに可愛いんだろうな」

ふいに高彬は目を細め、そうしてあたしの頬に接吻をしてきた。

これまた普段の高彬だったら絶対にしそうもないことなので

「えぇと、高彬。あなた・・・、酔ってるのよね?」

ついつい確認してしまった。

「うーん、どうかな。酔ってると言えば酔ってる気もするし、酔ってないと言えば酔ってない気もする。あぁ、でも、ぼくがもし酔ってるとしたら、それは瑠璃さんにだよ」

「・・・」

酔ってるわね、これはかなり。

「ぼくは瑠璃さんと結婚出来て本当に幸せだよ」

「・・・」

「出来れば仕事なんかせず、ずっと瑠璃さんと過ごしたいと思ってるんだ」

「・・・」

こんな台詞が高彬の口からポンポンと出てくるだけでも驚きなのに、しかも言葉の合間合間に頬や額に接吻をしてくるんだから、一体、どれほどのお酒を飲んだものやら・・・

これはもう横にならせた方がいいかも知れないわね。

「ねぇ高彬」

もう横になった方が・・・

と言い掛けたところで、ふいにさっきの小萩の言葉が蘇ってきた。

───酔った時の姿こそが、その人間の本性、本音なのですわ。

「・・・」

それにこうも言ってなかったかしら?

───普段は押さえつけてるものが酔うことによって取っ払われ、本性が現れたのに違いありません。

「・・・」

と言う事は、よ。

本音の本音の部分では、高彬はあたしが可愛くて仕方なく、あたしと結婚したことが本当に幸せで、そうして出来れば仕事なんかせずに、始終あたしと一緒にいたい、と。

高彬はそう思っている、と。

そう言うことなのかしら・・・

「・・・」

やだ、嬉しい。

「・・・」

どうしよう、にやけてきちゃう・・・

頬を引き締めようと奥歯に力を入れ、でも、次の瞬間に思い直した。

どうせ酔った高彬は明日には覚えてないんだろうし、ここは高彬のノリに付き合って見るっていうのもアリなんじゃないかしら・・?

うん、そうよね。

たまにはいいわよね。

「あたしだって高彬とずっと一緒にいたいわよ」

唇を尖らせ、甘えた風に言ってみると、高彬はすかさず軽い接吻をしてきた。

そうして

「可愛いなぁ、瑠璃さんは。うん、本当に可愛い」

可愛い、可愛いを繰り返しながら、顔や頭にまで接吻をしてくる。

軽めの接吻だったのが、段々と熱を帯びてきたような気がするのは気のせいかしら・・・?

これはひょっとしてこのまま───

と言う思いがチラと頭によぎったのと、あたしを抱きかかえたまま高彬が立ち上がったのが同時だった。

几帳を回り、慣れた手付きであたしを夜具に置く。

するすると袿を脱がされると、その先を脱がされるのはあっという間だった。

あっという間じゃなかったのはそれから後のこと。

普段よりも濃厚で濃密で念入りなあれこれと、いっそ苦痛と紙一重ほどの強烈な快感────

「高彬、もう・・、だめ・・」

息も絶え絶えに言ってみても、高彬はどこふく風とばかりに受け入れてくれず───

あたしは朦朧とする意識の中で、またしても小萩の言葉を思い出すことになる。

───酔った時の姿こそが、その人間の本性、本音なのですわ。

───普段は押さえつけてるものが酔うことによって取っ払われ、本性が現れたのに違いありません。

あぁ、もう、本当に、酔った時の高彬は要注意だわ・・・

こんなことが毎回続いたら、あたしの身体が保たないもの・・・







<終>





久しぶりの解体新書、今回は「酔っぱらった高彬」でした。
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高彬ボーイ<72>

2019-03-21 | ss(現代・高等科編)
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───つまらないな・・・

何度目になるのか、カウントすらしていないため息と共に心の中で独り言ちる。

少し寒さが和らいで来たとは言え、土手を渡る風はまだまだ冷たく、知らずに首をすくめてしまう。

陽は大きく傾いて長い影を作っている。

瑠璃さんと会えなくなって二週間。

一緒に帰ったあの日を最後に、瑠璃さんと会えていないのだ。

別に瑠璃さんが渡米したとか、大きな事件が起きたとかではもちろんなく、一言で言ってしまうと瑠璃さんはインフルエンザに罹ってしまったのだ。

インフルエンザ自体は一週間で完治したのだけど、その後、立て続けに風邪を引いてしまったらしい。

融が言うには

「休み癖が付いただけ」

とのことで、実際、ずっと寝込んでるわけでもなく、家の中ではパジャマのままとは言えフラフラと歩き回っているらしい。

でも、学校に来てないのは確かなわけで、それはつまりはぼくは瑠璃さんに会えてないと言う事なのだった。

一人きりの登下校は味気なく、最初の数日は瑠璃さんの体調が心配でさほど気にならなかったけど、一週間を過ぎた辺りから(つまらない)と完璧に自覚するに至ってしまった。

瑠璃さんとの行き返り、毎回話が盛り上がるわけでもないし、挨拶以外は無言の日だってある。

毎日朝晩一緒に歩いていれば、そうなるのだって無理がないと思うし、でも、隣に瑠璃さんがいるとそれだけでやっぱり楽しいのだと言うことに今さらながら気が付いてしまった。

「こんなんで4月から大丈夫なのかよ」

マフラーで口元が隠れてるのをいいことに今度は口に出して言う。

卒業すれば瑠璃さんとは違う大学になり、当然、行き帰りは一緒ではなくなる。

二週間で「瑠璃さん切れ」を自覚してると言うのに、果たして4月になったらどうなってしまうのか・・・

冴えない気持ちで土手を降りようと階段に脚を掛けたところで

「藤原先輩!」

遠くから名前を呼ばれた気がして顔を上げた。

辺りを見回すと向こうからうちの制服を着た女子が小走りに近づいてくる。

「あの・・、これ」

息を弾ませたまま何かを差し出され───

受け取るとリボンがかかった小さな箱だった。

「チョコレートなんです。あの・・、1日早いけど、明日になったら藤原先輩、いつもたくさんの人にチョコ貰うから渡せないんじゃないかと思って、それで・・」

「・・・」

「手紙も入ってます。良かったら後で読んで下さい!」

そう言うと来た時同様、小走りに去って行く。

一人残されて、手に持った小箱に目を落とす。

そう言えば明日はバレンタインか─────

取りあえずカバンに入れながら、知らずにため息が出てしまう。

もらっておいて何だけど

(困る)

と言うのが正直な気持ちだった。

気持ちに応えられないし、何よりもチョコはそんなに好きじゃないし・・・

大体がいつも妹の口に入っておしまいとなる。

再び階段を降りようとしたところで、今度は携帯が鳴った。

画面には融の名前が出ており、出てみると

『あ、高彬?今、どこ?外?』

屈託のない融の声が聞こえてきた。

「まだ帰宅途中。土手降りる辺り」

『良かった!じゃあうちに寄ってよ』

「今から?」

『あ、何か予定あった?』

「本屋寄ろうと思ってた」

『そっか。じゃあ悪いかな。姉さんに言ってみる。姉さんなんだ、高彬呼んでくれって言ったの。ちょっと待ってて』

「行く」

『え?』

「すぐ行くから」

二週間ぶりだぞ。

瑠璃さんがぼくに用があるだなんて、行かないわけないだろ。

融が何か言う声が聞こえたけど、構わず携帯を切り胸ポケットにしまうと走り出した。







<続>


更新空いてしまいすみませんでした。2月設定のお話になってしまいましたがお許し下さい
またボチボチとお話をアップして行きますのでよろしくお願い致します。

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瑠璃ガール<71>

2019-01-26 | ss(現代・高等科編)
※本館「現代編」設定の2人です※





込み入った話でもしているのか、高彬と奥野さんは向かい合って話し込んでいるように見える。

高彬はチラチラとあたしの方を見て、やがてこちらに走ってやってきた。

「瑠璃さん、お待たせ」

そのまま歩き出し、5歩歩いたところであたしは

「今のって、・・奥野さんよね」

思い切って切りだした。

一旦タイミングを逃したら永遠に言えなくなるような気がしたのだ。

そしたら家で悶々とするのは目に見えてるんだから、こう言うのは溜めずに聞いちゃった方がいいのよ。

どうせ、あたしは高彬に取って蚊帳の外なんだから。

どこまでも幼馴染らしくズケズケと聞いちゃえばいいの。

「高彬、奥野さんと知り合いなんだ。あの子って2学期から編入してきた子でしょ?クラスが一緒なの?」

さっき亜実から仕入れたばかりの情報を、さも前から知ってたみたいに話す。

「いや、クラスは違うよ」

じゃあ、どこに接点があって、あんなに親しげに話してたんだろう・・・

「一学年下に弟がいるらしくてさ、剣道部に入りたがってるらしいんだ。それで少し前に相談されてさ」

「ふぅん」

高彬は剣道部の元主将だから、確かにそう言う線なら接点はあってもおかしくはないけれど。

でも、もう引退してるんだし、新主将に聞いたら良さそうなものなのに。

「あ、でも、3月にはまた引っ越すって言ってなかったかしら」

「弟はこっちに残るらしいよ。寮に入るって」

「ふぅん・・・」

普通に返事をしながらも、高彬がヤケに詳しいことが気になった。

この様子だと、随分前から奥野さんと知り合いだったのかも知れない。

全然知らなかった。

何か───

ショックだわ。

そこで会話が途切れ、土手に上がっても2人で黙々と歩くだけになってしまった。

こんなことなら、いっそ代田くんと帰った方が良かったかな・・・

取り敢えずは盛り上げてくれそうだし。

北風がスカートから剥き出しの脚を容赦なく吹き抜けて行く。

「寒い・・」

思わず首をすくめマフラーに顔を埋めると

「奥野みたいな人って・・・、いいよね」

「・・・」

高彬が呟くように言い、あたしは言葉を失ってしまった。

吹き渡る風の音だけがする。

高彬も、あたしからの返事を求めていたわけでもないのか、ただ黙々と歩いている。

奥野さんみたいな人がいいって───

それって、奥野さんが好きってこと?

高彬が女の人のことを正面切って褒めるなんて、滅多に、ううん、初めてかも知れない。

少なくともあたしの知る限りでは。

また風が吹き、今度のは一際、身に染みた。

寒さで凍えそう・・・

家に帰っても寒さは続き、その夜、あたしは38度6分の熱を出した。







<続>


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瑠璃ガール<70>

2019-01-23 | ss(現代・高等科編)
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「藤原くんのことが好きなんでしょ」

言葉に詰まるあたしに向けて、もう一度、同じ言葉を繰り返してきた。

でも、少し違ってたのはイントネーション。

一回目のが語尾が上がってたのに対して、今度のが語尾が下がる感じ。

そうなんでしょ、と決めつけて来た風にも思える。

「別に・・」

好きじゃないわよ。

そう言い掛けて、あたしは言葉を飲み込み

「どうしてそう思うの?」

と聞き返した。

質問に質問で答えるのはズルいかとも思ったけど、何だかあたしの全神経が「警戒せよ」と告げていたのだ。

「見ていてそう思っただけよ」

「・・・」

「この子、藤原くんが好きなんだなぁって」

どこかからかいを含んだ口調に、持ち前の負けん気がムクムクと頭をもたげる。

誰だか知らないけど、いきなり話しかけてきて失礼じゃないの。

「そりゃあ好きよ。だって幼馴染だもの」

「それだけ?」

「・・・」

「ふふふ、素直じゃないのね、あなた。そんな意地張ってると後悔することになるかも知れないわよ」

「別に意地なんか・・・」

そこまで言ったところで

「あ、瑠璃。こんなところにいたのね」

角を曲がってきた亜実が声を掛けてきた。

亜実が現れると女子生徒は何も言わずに立ち去ってしまい、しばらくその後ろ姿を目で追っていると

「なぁに、瑠璃。奥野さんと友だち?」

「ううん。・・・って言うか、奥野さんって言うんだ、今の人」

「確か奥野奈津って言うんじゃなかったかしら。2学期の途中からの編入生よ。すごい才媛らしくて、一部のマニアックな男子からは絶大な人気があるみたい」

「ふぅん」

確かにいかにも賢そうな顔をしていたけれど。

そんなに頭が良いのなら高彬と同じ大学行くのかな───

ちらりとそんな考えがよぎると

「卒業したらまた引っ越しちゃうらしいけど」

まるであたしの心を見透かすように亜実が言い

「なんで」

「そんなことあたくしに聞かれても知らないわよ。それより瑠璃、気をつけなさいよ。カフェテリアでまた下の子たちが騒いでたわよ、今日こそは瑠璃先輩を問い詰める、何て言って。放課後はさっさと帰った方がいいわ。あたくし、優しいからそれを忠告しにきてあげたのよ」

「う、うん。ありがと・・」

予鈴が鳴り、教室に戻り授業が始まっても、全くと言って良いほど頭に入って来ない。

───藤原くんのことが好きなんでしょ。

───意地張ってると後悔することになるかも知れないわよ。

さっきの言葉が頭の中で何度も再生される。

後悔なら───

もうとっくに色々してるわよ・・・

放課後、亜実のアドバイスもあり早々に教室を後にして正門に行くと、まだ高彬は来ていなかった。

まごまごしてたら下級生に見つかるし、先に帰っちゃおうかな。

でも、ついさっき高彬に「門のところで」って言われたばかりだし・・・

あれこれ考えていると、昇降口から高彬の姿が現れた。

あたしがいることに気付いたみたいで、軽く合図をすると走りだし、そのまままっずぐにあたしのところに───

来るかと思われたのに、誰かに声を掛けられて立ち止まった。

「・・・」

声を掛けたのは、さっきの女子生徒、奥野さんだった。







<続>


表の瑠璃姫、奥の夏姫───。身分の差のない夏の出方は?!楽しんでいただけましたらクリックで応援をお願いいたします。
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瑠璃ガール<69>

2019-01-16 | ss(現代・高等科編)
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「代田くん・・・」

この間のことがあってから、どうしても身構えてしまう。

いきなり抱き寄せられるとか、恐怖以外の何ものでもないし。

「今日、一緒に帰らないか?」

「え」

「この間の話の続きもあるし」

「・・・」

意味ありげな亜実の視線を感じつつ、まず頭に浮かんだのはやっぱり高彬のことだった。

何だかんだ言って登下校はずっと高彬と一緒だし・・・

「悪いが、瑠璃さんはおまえと帰らないぞ」

さて何て断ろうかと思っていたら、背中側から声が聞こえ、振り向くと高彬が立っている。

「おまえに聞いてるんじゃない、瑠璃ちゃんに聞いてるんだ。出張るなよ」

「登下校は、瑠璃さんの父上に頼まれてるんだ」

「じゃあおまえ、おれたちの5メートル後ろを付いて来い。それくらいなら許してやるぞ」

「おまえみたいな軽薄が服着て歩いてるようなやつに、瑠璃さんの横を歩かせられるか」

「なんだと、貴様」

「ちょ、ちょっと!2人とも!頭の上でゴチャゴチャやらないでよ!」

ほっといたらどこまでもエスカレートしそうな雰囲気に、あたしは慌てて口を挟んだ。

ここであの日のケンカの続きとか、ほんと困る。

気のせいかカフェテリア中の視線が集まってきてるし。

座ってるあたしを挟んで、長身の2人が頭の上で言い合ってるんだもの、そりゃ目立つわよ。

あたしは2人の腕を掴むとカフェテリアを飛び出した。

2人を廊下に並んで立たせる。

「あのね、2人とも自分がモテるって自覚あるんでしょ?」

「まぁな」

代田くんは素直に頷き、高彬はソッポを向いた。

「派手な言い合いとか目立ったところでされると、ほんと困るのよ、後々面倒で。あのね代田くん、この間の答えならここではっきり言うわ。お試しでのお付き合いの件、せっかくだけどお断りします」

高彬の目線が動き

「お試しとかサイテーだな」

ぼそっと呟く声がする。

「あたし、そう言うのダメなのよ」

お試しでとか、遊びでとか、ほんと、そう言うの苦手。

「オッケー。分かった、瑠璃ちゃん」

代田くんは両手をズボンのポケットに突っ込むと歩き出したかと思ったら

「今度は本気で行くから」

振り返りもせずそう言い残し、そのまま歩いて行ってしまった。

「・・・」

高彬と2人、廊下に残される形になり、自然と目が合った。

「えぇっと、その・・」

「また門のところで待ってるから」

「・・・」

「取りあえず、卒業までは・・」

「あ、うん・・」

「あのさ、瑠璃さん」

高彬が何かを言いかけたのと

「あ、高彬、五限目の数学なんだけどさ」

カフェテリアから融が出てきたのが同時だった。

「何だ姉さん、何やってるの」

「別に」

「高彬、ちょっと借りるね」

そのまま高彬を引っ張って行ってしまった。

カフェテリアに入るか、教室に戻ろうか、少し考えて教室に行くことにする。

廊下の角を曲がったところで

「ちょっといいかしら、藤原さん」

女子生徒に声を掛けられ、内心(来たな)と思う。

このパターンはね

「藤原さんって、藤原くんの何?彼女なの?2人は付き合ってるの?」

とか、そう言うことを聞かれるに違いないのよ。

だから、目立つようなことして欲しくないのに・・・

ほんと、毎回、否定するのが面倒で。

「はい、何かしら」

一応、丁寧に答えると

「藤原さんって・・・」

あぁ、やっぱりね、なんて思っていると、次の言葉は予想に反するものだった。

「藤原くんのことが好きなんでしょ?」

「・・」

思いがけない質問に、言葉を失ってしまう。

改めて相手の顔を見ると、面長の輪郭、賢そうな瞳の女の子が、まっすぐにあたしを見ていた。






<続>


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瑠璃ガール<68>

2019-01-13 | ss(現代・高等科編)
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「瑠璃、どうしたの、具合でも悪いの?」

陽光が降り注ぐカフェテリア、亜実に声を掛けられて、あたしはノロノロと顔を上げた。

約束したわけじゃないんだけど、ランチは亜実と同席することがほぼ決まっていて、一足先に来ていたあたしはテーブルに突っ伏していたのだ。

「別に。ただ寝てただけ」

正しくは「ふて寝」だけど、ま、そんなことまでいちいち亜実に言わなくてもいいわよね。

お正月も明け、10日から始まった新学期は、あたしたち3年に取って文字通り高校最後の学期となる。

なのに───

冴えないったらありゃしない。

亜実に見つからないように、チラリと視線を動かす。

窓際のテーブルには高彬と融がいて、2人で楽しそうに話しているのが見える。

その隣のテーブルには代田くんがいて、数人の女子とスマホなんか見ながらこれまた楽しそうにしている。

2人ともこの間のことなんか何もなかったみたいに、昨日なんか廊下で普通に立ち話をしてた。

別にいがみ合って欲しいわけじゃないけど、じゃあ、この間のあれは何だったんだろう?と思ってしまう。

ほんと、あの日のことを考えると、色々とハテナマークが飛びかってしまうのよ。

あの後、家の前まで高彬に送ってもらって帰宅したあたしは、時間が経つにつれ、一人で悶絶しまくってしまった。

だって、よーーく考えて見たら、あたしが高彬にうっかり言っちゃったことって、あれって告白と言えるんじゃないの?!

高彬のために編んだとか、好きな色にした、とか。

勢いで言ってしまったこととは言え、恥ずかしさで「ギャー」と叫びたくなってしまった。

実際、毛布に包まって叫んじゃったしね。

でもねぇ、またそこから少し時間が経って落ち着きを取り戻してきたら、今度はドーンと落ち込んでしまった・・・

だって、その後の高彬の態度からすると、あたしは振られたってことなわけでしょ。

観覧車の中から見た夜景は本当に綺麗で、何だか良い雰囲気にも思えて、もしかしたら高彬から何か言ってくれるかなぁ、なんてちょっぴり期待もしてたんだけど、そんなことは全くなかった。

夜景を見てはしゃぐあたしを前に、冷静に

「あれは船だね」

なんて言っちゃって、ロマンチックムードなんて一切なし。

しきりに帰宅時間を気にしたりして、高彬のやつめ、そんなにあたしと2人でいたくないのか。

「瑠璃、代田くんにはちゃんと返事したの?」

「してないわよ。あれっきり何も言ってこないし」

「まずはお試しで2週間付き合ってみたらいいじゃない」

「どうせ断るのに、めんどくさい」

「もったいないわねぇ。2週間だけ彼女になって色々貢がせたらいいじゃない。あたくしならそうするけど」

「何それ」

あたしは亜実を見返してしまった。

「亜実ってほんと打算的よね」

「何言ってるのよ、皆、これくらいのことやるわよ。瑠璃が初心なだけ」

「・・・」

「ねぇ、瑠璃。好きな人、いるんでしょ」

「な、な、何言ってんのよ。い、いないわよ」

横目で顔を覗き込むようにして言われ、慌てて両手を振る。

「でも、どうしていきなり藤原くんが現れたのかしらねぇ、横浜に」

「し、知らないわよ、たまたま通りがかったんじゃないの」

「たまたまねぇ・・・」

さも面白そうに亜実は言い、ニヤニヤとあたしを見ている。

「良かったわねぇ、代田くんにファーストキス奪われなくて」

からかうような口調だったけど、あたしはここぞとばかりに大きく頷いた。

ほんと、そう。

あそこでキスされてたら最悪なファーストキスになるとこだったわ。

「ねぇ、瑠璃。一応聞いておくけど、瑠璃の思う理想のファーストキスってどんなものなの?」

「え?」

突然の質問に驚いていると

「瑠璃ちゃん」

後ろに代田くんが立っていた。






<続>


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高彬ボーイ<67>

2019-01-11 | ss(現代・高等科編)
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「あれって、瑠璃さん・・」

「そう、観覧車よ」

「でも・・・」

「乗りたいの」

「・・・」

「観覧車に乗るのがクリスマスプレゼントじゃだめ?」

瑠璃さんはぼくの顔を覗き込みながら言い

「いや。もちろん瑠璃さんがそれでいいなら、だめってことは、ないけど・・・」

あやふやに答えながら、頭の中はクエスチョンマークでいっぱいになる。

観覧車に乗るって、そんなのがプレゼントでいいんだろうか?

アクセサリーとまではいかなくても、クリスマスプレゼントらしいものが他にいくらでもありそうなのに・・・

果たして、ぼくのそんな心の呟きが聞こえたかのように

「今、特にこれと言って欲しいものないし、さっきからずっと思ってたのよ、これに乗って上から夜景見たら綺麗だろうなぁって」

観覧車を見上げながら瑠璃さんが言った。

「わかった。じゃあ乗ろう」

何気ない風を装いながらも、瑠璃さんが観覧車に乗る相手としてぼくを選んでくれたということが嬉しくてたまらなかった。

代田め、ザマーミロ。

我ながらゲンキンだと思うけど、一歩リードしたと言う気分になってくる。

定番の人気アトラクションのため行列が出来ており、少し並んでチケットを購入し、瑠璃さんと2人ゴンドラに乗り込んだ。

先に乗った瑠璃さんが片側に座り、ほんの一瞬だけ、並んで座ることを考えた。

でも、考えたのはほんとにコンマ一秒にも満たないくらいの一瞬で、だからきっと瑠璃さんにはぼくの逡巡なんてばれずにすんでるはずだ。

何食わぬ顔をして向かいに座る。

ゴンドラのゆっくりとした上昇に合わせ、景色が少しずつ変わってくる。

向かいに座る瑠璃さんは、瞬きもせず夜景に見入ってるようで、時々、感嘆とも吐息とも取れるような息づかいが聞こえる。

実際、高くなればなるほど、陳腐な言い方にはなるけれど、宝石箱をひっくり返したような色とりどりの煌めきが際立ち、その光景は見事の一言だった。

「あれ何かしら?」

ふいに瑠璃さんがぼくの後方を指さし、釣られて振り返った。

「どれ?」

「ほら、あそこで時々、ピカッピカッって光ってるやつ」

「え?どれ?」

瑠璃さんが何を指して言ってるのかわからず、身体ごと振り向くと

「ほら。あれよ」

言いながら瑠璃さんは立ち上がり、ぼくの隣に座った。

ゴンドラは少しだけ揺らいで、すぐに静まる。

「あそこにオレンジ色の光が一列に並んでるでしょ?それの右の・・・、ほら、また光った」

「あぁ。あれか、あれは灯台か、船か・・・動いてるようにも見えるから船かもな」

「船!なるほどね。どっか遠い国にでも行くのかしらね」

光の正体がわかり嬉しいのか瑠璃さんがにっこりと笑い、笑い返しながら、そのあまりの近さにドキリとする。

少し手を伸ばせば指先が頬に触れるほどの距離で───

ふと、さっきの代田との会話が鮮明に甦った。

───ストーカーまがいのことしておいて、関係ないとはご挨拶だな。

───黙れ。おまえのしてたことはじゃあ何なんだ。

───おまえがしたいと思って、だけど出来ずにいることだよ。

ニヤリと耳打ちされた瞬間、カッと頭に血が上り、代田を殴っていた。

代田がしていたことは遠目から見ても抱擁で、それを「おまえがしたいと思って、でも出来ないこと」と言われ腹が立ったのだ。

見当違いのことを言われて腹が立ったわけではなく、むしろ全く逆と言っていい。

言い当てられたからこそ無性に腹が立ったのだ。

いつでも手を伸ばせば抱きしめられる距離にいながら、ぼくは瑠璃さんを抱き寄せることが出来ないでいる。

「幼馴染」だからなんかじゃない。

ぼくが意気地なしだからだ。

軽々しく抱擁出来る代田をどこかで羨ましく思う気持ちが確かにあり、だけど、そんな風に思ってる自分がイヤで仕方がない。

すぐ隣で夜景に見入っている瑠璃さんを、そっと盗み見る。

瑠璃さんは近くて遠い人だ。

遠い遠い、まるでどこか異国の地に住むお姫さまで───

もし瑠璃さんが船に乗ってどこか遠くに行くと言うのなら、ぼくは騎士になって同行するのにな・・

夜景を見ながら、ガラにもなく、そんなロマンチックなことを思っていたのだった。






<続>


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高彬ボーイ<66>

2019-01-09 | ss(現代・高等科編)
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辺りはすっかり暗くなり、海面を渡り吹く風は昼間よりも更に冷たく、代田を前にかぁっと頭に血が上ったぼくにはもってこいだった。

瑠璃さんがついてくるのを背中で感じながら、ぼくの心は少しずつヒートダウンしていき───

していってたはずなんだけど、瑠璃さんの言葉にまたしても熱が戻ってきてしまった。

───高彬にあげたくて編んだのよ!

───クリスマスプレゼントちょうだい!

瑠璃さんは少し足を開いて、まっすぐにぼくを見ている。

海面の煌めきによる目の錯覚なのか、瑠璃さん自身がキラキラしてるように見える。

そんな瑠璃さんを見ながら

(あぁ、まただな)

と思う。

また、瑠璃さんに救われたな、と。

瑠璃さんはぼくが常ならぬ時、いつだってこんな風に先回りして救ってくれる。

ぼくのためにマフラーを編んだなんて本当はウソで、でも、ぼくが代田を殴ったりしたから、瑠璃さんは突飛なことを言って、ぼくを何とかしてくれようと思っているに違いないのだ。

こんな時、心底

(瑠璃さんには敵わないな)

と思う。

わがままで気が強くて負けず嫌い、いつもズケズケ言いたいこと言ってるように見えて、ここぞと言うところで瑠璃さんは優しい。

だけど、瑠璃さんが優しいのはぼくにだけじゃない。

代田にだって等しく優しい。

買い物に付き合って、と言う代田の頼みを断らない。

さっき瑠璃さんが言った通り、ぼくも代田も瑠璃さんの中ではきっと同じ「友だち」括りなんだろう。

ぼくはそこに「幼馴染」も加わるんだろうけど、それがレンアイにどう作用するのかは非常に微妙なところだ。

かえって幼馴染なんて括りはない方がいいような気がする。

そうすれば、あるいはぼくだって代田みたいに瑠璃さんに気軽にアプローチを・・・

そこまで考え、心の中でため息を吐く。

気軽になんて、無理だ、ぼくには。

持って生まれた性質が恨めしいが、まぁ、仕方ないよな。

「瑠璃さん、何が欲しい?クリスマスプレゼント」

瑠璃さんに近づきながら言うと

「え?いいの?」

瑠璃さんの目がまん丸になった。

その余りに驚いた顔に、思わず吹き出してしまう。

「欲しいって言ったの、瑠璃さんじゃないか」

「あ、あぁ、そ、そうよね」

照れくさいのか、へへへ、と瑠璃さんは首をすくめ、暗がりでもサッと頬に赤みが射したのが分かった。

「どこ行く?」

回りに見えるショッピングビルを指さすと、瑠璃さんはぐるりと視線を巡らせた後

「あれがいい」

右腕を上げ、人差し指で指さした。

「え?」

指先を辿り、首を傾げる。

瑠璃さんが指さしたのは、観覧車だったのだ。






<続>


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瑠璃ガール<65>

2019-01-07 | ss(現代・高等科編)
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速くもなく、遅くもない足取りで、高彬は歩いて行く。

高彬の数歩後ろを歩きながら、あたしの頭の中はグルグルと忙しく回転していた。

高彬、なんで急に態度が変わったんだろう?

あたし、何か変なこと言った?それともした?

そう言えば、高彬、さっき代田くんに何言われてあんなに怒ったんだろう?

そもそも、どうして高彬が急にここに現れたのかしら・・・?

このまま駅に着いたら、電車に乗って、それで家の前で別れて───

そしたらこんな気持ちのまま年を越すことになっちゃう!

そんなのはイヤ!

「高彬、待って!」

気が付いたらあたしは大声を出していた。

高彬は立ち止まって振り返り、近くを歩くカップルがちらりとあたしを見たけど、すぐに興味をなくしたみたいにそのまま談笑しながらあたしたちを追い越して行く。

暗がりで高彬の表情ははっきり分からなかった。

「あの・・・」

言いながら、必死に言葉を探す。

だって何言うかなんて、何も考えてなかったんだもの!

とにかく、何か言わなきゃ、高彬を引きとめなきゃ、ってそれだけだった。

高彬は静かにあたしの話を待ってる風で、その感じが余計にあたしを落ち着かなくさせる。

「高彬、クリスマスプレゼントちょうだい!」

「え」

高彬の驚いたような声が聞こえ、言ったあたしもびっくりだった。

プレゼントをくれ、だなんて、な、何を言ってるのかしら、あたしは・・・

と、頭の片隅では思いつつ、でも、頭のもう片隅では自分の言葉に加勢する気持ちが確かにある。

「だって、あたし、高彬からクリスマスプレゼント何ももらってないもの!」

そうよ、もらってないわよ!

「あたしはマフラーあげたのに、ずるいわ!」

「え、でも、あれは悔しくて編んだんじゃ・・」

「高彬にあげたくて編んだのよ!あたしは手編みのマフラーあげたのに、高彬からは何もないなんて不公平だわ!」

言ってるうちに本当にその通りなような気がして来て、あたしはダンと足を踏み鳴らした。

「あのマフラー編むのにあたしがどれだけ苦労したと思ってるのよ!5日間、寝る間を惜しんで飲まず食わずで・・・って、もちろん少しは食べたし寝たけど、でも、志乃さんに付きっきりで教わったんだから!色だって高彬の好きそうなの選んだし!」

暗がりに目が慣れたのか、虚をつかれたような高彬の顔が見える。

言いだしたら止まらなかった。

「高彬呼び出すのだって、融使って苦労したし、服だって暖かくて可愛く見えるの選んだし、なのに川に流されちゃうし。あたしのマフラーは桃太郎かってのよ!ドンブラこじゃないわよ!」

「いや、誰も桃太郎とは・・」

高彬はきちんと訂正を入れてきたかと思ったら、少しの間、何かを考えるように黙り込み、あたしに歩み寄って来た。






<続>


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藍さん、感謝です。

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瑠璃ガール<64>

2019-01-04 | ss(現代・高等科編)
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「瑠璃さんは、どうしていつもこうなんだ」

あたしに向き直った高彬が怖い声で言った。

暗がりのせいなのか、それとも怒ってるせいなのかよくわからないけど、普段より威圧感を感じてしまい、あたしは少しだけ怖気づいてしまった。

さっき代田くんを殴った高彬を見たからかも知れない。

だってあんな高彬、見たの初めてだもの。

「い、いつもこうってどう言う意味よ」

それでも目一杯強気で言い返すと

「無防備過ぎるだろ」

「・・・」

「代田がどんな奴か瑠璃さんも分かってはずだ」

相変わらず、怒気を含んだ声で言われ、その詰るような言い方にムッとしてしまう。

「知らないわよ、代田くんがどんな人かなんて」

興味ないし。

「どんな人なのよ、代田くんって」

あたしもいい加減、気が強いから、ケンカ腰で言ってしまうと、高彬は何かを言い掛けて口をつぐんだ。

少しの間の後

「ともかく、代田の誘いにやすやすと乗るなんて・・」

「クリスマスのプレゼントのお返しを見立てて欲しいって言われたんだもの。やすやすと乗ったわけじゃないわよ。無下に断る方がおかしいじゃない。友だちなんだし」

「・・・」

暗闇でも、サッと高彬の顔色が変わったのがわかった。

それまで向き合っていた高彬が、ふいに横を向く。

高彬の目線の先には暗がりにゆらゆら揺れる海面───

高彬の横顔をいつまでも見てるわけには行かないから、あたしも成り行きで海に目をやった。

海面は回りのイルミネーションを映しこみ、不規則な煌めきを放っている。

どこからかカモメの鳴き声が聞こえ、遠くで「ボォ」と汽笛の音が聞こえた。

「帰ろうか」

ふいに高彬があたしの方を向き言った。

「え」

思わず驚いた声がでてしまう。

あたしが驚いたのは、言われた言葉ではなく、その言い方だった。

さっきまでの苛立ちを感じさせるものではなく、いつもの、と言うか、いつもよりも更に優しい言い方になっていたから。

「もう暗いしね、瑠璃さんの家も心配するだろ」

言いながら高彬は歩きだし、あたしは慌てて後を追った。

「・・・」

何なのかしら、この気持ち。

高彬、怒るの止めていつもの高彬に戻って嬉しいはずなのに、何でこんなに落ち着かないんだろう。

怒ってた時の高彬より、距離を感じてしまう。

何だか高彬に見放されたような、勝手にしなさいと突き放されたような、そんな気がして───

あたしの胸は初めて感じる不安にドキドキしていた。






<続>


明けましておめでとうございます。
年末のご挨拶も出来ないままでしたが、皆さま、本年もよろしくお願い致します。
今年も清く楽しく妄想道を突き進んで参ります。
ジャパネスクの楽しさを皆さんとシェア出来たら嬉しいです。

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瑠璃ガール<63>

2018-12-31 | ss(現代・高等科編)
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代田くんの顔が段々と近づいてきて───

「・・・や!」

とっさにあたしは代田くんの身体を押し返していた。

代田くんの胸に自分の両手を突っ張り棒みたいに張らせて。

「瑠璃ちゃん」

聞き分けない子どもに言い聞かせるような言い方だった。

まるで私が悪いことしてるみたいなその言い方に、かぁっと頭に血が上る。

背中に手が回されて引き寄せられそうになり身体全体で踏ん張ると、代田くんも意地になってるみたいにぐいぐいと抱き寄せてくる。

───何なの!この人!

踏ん張ってみたところで男の力に敵うわけもなく、じりじりと身体は近づき、もう少しで抱きしめられそうになり

「いや!」

なりふり構っていられなくなり、あたしは声を上げた。

このままじゃ代田くんにキスされちゃう!

高彬、・・助けて・・

優しく笑う高彬の顔が浮かんだ。

高彬ーーー!

蹴っ飛ばしてやろうかと足に力を入れた次の瞬間───

「・・瑠・・璃・・さん!・・瑠璃さん!」

遠くから名前を呼ばれた気がして、ハッとあたしは顔を上げた。

この声は───!

向こうから走ってくる人の姿が見えて、その顔が確認出来た途端、あたしは力を振り絞って代田くんの腕を振りほどいた。

「高彬ーー!」

立ち止まった高彬の背中に隠れる。

よほど全力で走ってきたのか、高彬の息は上がっていた。

「代田、おまえ・・!」

ドスの効いた低い声で高彬は言い、代田くんの肩を思いっきり掴んだ。

聞いたことない高彬の声だった。

「何してるんだよ!瑠璃さんに」

言いながら代田くんの肩を小突き、代田くんは一歩後ろによろめいた。

怒りをにじませながらも抑えた声なのは、回りに配慮してのことなのかも知れないけど、この場合、かえって怒りの深さを感じさせた。

「何だよ、藤原。お前、どこから湧いて出たんだ」

対する代田くんも負けてはいなかった。

突然の高彬の登場に一瞬、たじろいたように見えたのに、すぐに態勢を立て直したのか好戦的な態度を取っている。

「まさかお前、俺たちの後を付けてきたのか。ストーカーかよ」

「おまえに関係ないだろ」

「ストーカーまがいのことしておいて、関係ないとはご挨拶だな」

「黙れ。おまえのしてたことはじゃあ何なんだ」

何かを言おうと口を開きかけた代田くんは途中で止め、その口元が意地悪そうに歪んだと思ったら、ふいに高彬の耳元で何かを囁いた。

あっと思った時には、高彬が代田くんを殴っていた。

「・・きゃっ」

思わず小さく叫んでしまい、慌てて両手で口をふさぐ。

「いってぇな・・」

代田くんは高彬を睨み付け、今にも掴みあいの喧嘩でも始めそうな雰囲気に

「待って!」

あたしは2人の間に割って入った。

「瑠璃さん、どいて、怪我するよ」

「瑠璃ちゃん、危ないよ、下がってて」

同時に言われ、だけどここで引き下がったら殴り合いになることは目に見えていて、あたしは食い下がった。

「2人ともこんなところで殴り合ったら、警察呼ばれて大学行けなくなるわよ!」

「・・・」

「・・・」

果たして、あたしの超ゲンジツ的な言葉が一応は受験生である2人の心を冷ましたのか黙り込んだ。

奇妙な沈黙が流れ

「悪かったな、瑠璃ちゃん。さっきの話、考えておいて。またな」

代田くんはあたしにだけ笑いかけると、高彬のことは完全無視のまま歩き出した。

高彬も代田くんなんかそこにいないかのように、そっぽを向いている。

あたしはと言えば、代田くんの背中を見送りつつ、だけどもちろん追いかけて行く気はさらさらなくて、横目で高彬の様子を窺いつつ───

代田くんの姿が闇に溶け込み、完全に見えなくなった頃

「瑠璃さん」

それまで黙り込んでいた高彬がふいに口を開いた。

まだ怒りをにじませた声だった。






<続>



ストップ!ザ・愛染明王。高彬、どうか瑠璃を怒らないで。せっかく横浜にいるんだからロマンチックになって欲しい2人にクリックで応援をお願いいたします。
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瑠璃ガール<62>

2018-12-30 | ss(現代・高等科編)
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「瑠璃ちゃん、次はあれ乗ろうぜ」

横浜みなとみらいの一角にある遊園地「よこはまコスモワールド」は、家族連れやカップルで賑わっている。

代田くんが指さしたのはメリーゴーランド。

「・・・ねぇ、代田くん。それより早く買い物しましょうよ」

ついイライラとした言い方になってしまう。

さっきから代田くんは「あれ乗ろう、これ乗ろう」と言ってきて、あまりのしつこさに根負けして、今さっきジェットコースターに乗ったばかりなのだ。

「代田くんが、クリスマスプレゼントのお返しを選ぶのに付き合って欲しいって言うから来たのに」

「まぁ、それはそうだけど」

代田くんは決まり悪そうに頭を掻いた。

「でもせっかく横浜まで来たんだから、少しは遊ぼうぜ」

「ランチしてお茶してジェットコースター乗って、もう十分遊んだわよ」

チラリと腕時計を見ると、もう5時を少し回っていて、辺りには夕闇が迫ってきている。

あーあ、午後からの半日、何だか無駄にしちゃったような気がするわ。

今日は部屋の大掃除でもしようかと思ってたのに。

あたしは代田くんに気付かれないようにため息を吐いた。

代田くんから電話があったのがお昼過ぎ。

何でもクリスマスプレゼントを複数の女の子からもらったらしく、それのお返しを一緒に選んでもらえないか、とのことで、気は進まなかったんだけど付き合ってあげることにしたのよ。

横浜で買い物したいと言われ、久しぶりの横浜もいいわねぇ、なんて思ったのが思えば運の尽き───

桜木町駅で下りて、てっきりすぐに買い物するのかと思ったら、ランチだのお茶だの、あげくに遊園地だのと言われ、肝心の買い物はまだ何一つしていない。

「わかった、じゃああれだけ」

そう言って代田くんが指さしたのは大きな観覧車だった。

暗くなってライトが点いた観覧車は「みなとみらい」のシンボルみたいなもので、これに乗って上から見た横浜の夜景はさぞ綺麗なんだろうなぁ、と思われる。

思われるんだけど、気は進まない。

乗るなら高彬とがいいんだけどな・・・

無意識にそんなことを考えていて、自分でドキリとしてしまった。

「代田くん、待って!」

今にもチケットを買いそうな代田くんを慌てて押しとどめると、あたしの勢いに驚いた様に代田くんは振り返った。

あたし、やっぱり高彬とがいい!

何だか良くわかんないんだけど、ここで代田くんと乗っちゃいけないような気がする。

「えーと、その・・・、代わりと言ったら何だけど、その辺を歩かない?食べ過ぎちゃったからカロリー消費したいし」

じーっと代田くんに見られ、ごまかすようにあたしは「へへっ」と笑った。

「・・・オッケー。歩くか」

コスモワールドを抜け、人混みを避けるようにしてボードウォークへ、代田くんは迷いのない足取りで歩いていく。

代田くん、歩くの早いな・・

「・・瑠璃ちゃん。俺と付き合わない?」

「ふぇ?!」

唐突に言われ、思わず変な声が出てしまった。

「俺と付き合ったら楽しいよ」

「・・・」

「どう?」

「・・・」

「まずはお試しでいいから。2週間付き合って、つまらなかったらそこで断ってもらってもいい」

「・・・」

「2人だけの秘密ってことでさ。・・決まり、な」

「・・え、・・え・・」

まばらとは言え人通りがある中、代田くんはあたしの顎に手を掛け、その顔が段々と近づいてきて───







<続>



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高彬ボーイ<61>

2018-12-27 | ss(現代・高等科編)
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「お兄さま、平沼さんと言う方からお電話なんですけど・・・」

部屋のドアがノックされ、由良が顔を覗かせた。

「あー、うーん・・・」

我ながら、歯切れの悪い言葉が漏れる。

「また、お出掛けしてることにしますか?」

「頼む。そうしてくれ」

心得顔で由良は出て行き、実はここ数日、こんなことをもう何回も繰り返しているのである。

イブの夜───

あの後、結局、瑠璃さんの家に泊まってきてしまった。

食後にやったババ抜きがエラく白熱してしまい、ふと気が付いたら時計の針が11時を回っていて、結局午前2時までババ抜き大会は続き、そのまま泊まることになってしまったのだ。

寝たのはもちろん融の部屋である、念のため。

翌日、帰ってきたらぼく宛ての荷物が8つも届いていて、聞けばぼくが家を空けている間に全て届いたのだと言う。

最近ネットで買い物なんかしてないしなんだろう・・?と開封してみたら、どれもこれも綺麗にラッピングされており、申し合せたように「メリークリスマス」と書かれたカードが添えられてあった。

中身はマフラーや手袋、シャーペンと来年の手帳がセットになったものなどで、途方に暮れていたら、一本目の電話が鳴った。

うっかり出て礼を言ったら、いつの間にか「これから会えないか」と言う話になってしまい、断るのにひどく苦労した。

それ以降の電話は、全部居留守を使ってるんだけど・・・

一体、顔も名前も分からない相手と、会ってどうしろと言うんだ。

もちろん、会って、もらったものを返せれば一番良いのだろうけど、そうしたらまた新たな問題が浮上することは経験上分かっている。

あまり文句は言いたくないけど、プレゼントを渡すだけ、と言うのはどう言う了見なんだろうか。

決定的な言葉があるわけじゃないから先回りして断ると言うのも変だし、だけど、物をもらってしまったら何だか借りを作ったみたいで気持ちが落ち付かない。

それで結局、使わずにそのまま放置、となってしまうわけで・・・

プレゼントについてあれこれ考えていると、手元の携帯が鳴った。

まさかまた例の電話か?携帯番号なんかそうそう教えてないのに、とギョッとして見ると、発信者が<名関>とある。

取りあえずホッとして通話ボタンを押すと

『藤原くん?』

「名関か、どうした」

『藤原くんに「メリークリスマス」を言い忘れたと思って』

「はぁ?!」

やけにしおらしい名関の声に思わず声を上げると、ケラケラと言う笑い声がした。

『ウソよ、ウソ。本気にした?』

「別に。・・・何も用がないなら切るぞ。じゃあな」

『ちょっと待ってよ。藤原くんにいいこと教えてあげようと思って電話したのに』

「いいこと?」

『クリスマスにね、代田くんちでパーティーやったの。そこで代田くん、面白いこと宣言してたわよ』

「何て」

『年内に瑠璃を落とすって』

「・・・」

『代田くん、口も上手いし手も早いし、おまけにお金持ちだし、案外ほんとに瑠璃のこと落としちゃったりして』

「・・・」

『藤原くんってお金持ちだけど、口下手だし手も遅そうだものね』

「ほっとけ」

クスクスと笑う名関に構わず電話を切ると、立ち上がった。

代田が瑠璃さんを落とすだって?

物じゃあるまいし、そもそも「落とす」と言う言い方が気に喰わない。

年内と言ったら、あと数日しかないじゃないか。

携帯を手に取り、少し考えて融に電話をすると、すぐに融が出た。

「融、瑠璃さん、いるかな」

『姉さんならさっき出てったよ』

「どこに」

『さぁ?・・・あ、もしかしたら横浜かも知れない。電話で横浜がどうのって言ってたから』

「電話?誰かと一緒に出掛けたのか?」

『うん、名前何て言ったっけかな。ほら、えーと、生徒会長やってる・・』

「代田・・・」

『あ、それそれ、代田だよ。代田生徒会長』

「いつ頃出た?」

『少し前。もうじき駅に着く頃じゃないかな。姉さん、何だか・・・』

「悪い、融。切るぞ」

『もしもし?高彬?』

電話を切りダウンジャケットを手に取ると、ぼくは家を飛び出した。






<続>



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