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Muses Europa Eisenbahn 2012-2013中欧鉄道音楽紀行 17:Palac Kultury i Nauki ワルシャワの摩天楼

2013-02-10 | 旅行
Warszawa Centralna


16:restauracni vuz プラハ号の食堂車からの続き

ポーランドの首都ワルシャワの陸の表玄関、ワルシャワ中央駅は巨大な地下駅です。
ヨーロッパの都市のターミナル駅によく見られる、歴史を感じさせる大聖堂のような荘厳な駅舎や、
大ドームに覆われたプラットホーム等は地上には見当たりません。
共産主義国家時代に建設された、やたらと威圧的で無機質な要塞のような建物があるのみです。

地下ホームから地上に出てきた旅行者を暖かく出迎える…と言うよりは、睨みつけ覆いかぶさってくるような、
いかにも共産主義の遺物めいた駅舎ですが、それでも近年徹底的にリニューアルされて
以前と比べたら随分と明るく近代的に生まれ変わったんだとか。確かに、構内はとてもきれいな駅でした。



そして要塞のような駅舎を出た旅行者を次に出迎えるのが、この摩天楼!
文化科学宮殿です。



ワルシャワの夜空を貫き、市民を見下ろし威圧しているかのような摩天楼。
毒々しく怪しくライトアップされていて、しかもその色調が時間とともに不気味に変化するという恐ろしさ(笑)

この怪摩天楼こそ、第二次世界大戦後に東欧圏を共産圏化して支配したソビエト社会主義共和国連邦の恐怖の独裁者
ヨシフ・スターリンからポーランドの人民同志へと「プレゼントされた」共産主義文化と科学の殿堂。
当然、ポーランド国民とワルシャワ市民からはソビエト支配の象徴として長年忌み嫌われてきたそうです。
今では海外企業も多数進出して経済発展を遂げ、多数の高層ビル群が建ち並ぶワルシャワ市内も、
かつては高い建物はこの文化科学宮殿だけで、ワルシャワのどこにいても見えたと言いますから、
市民は常にソ連とスターリンから監視されているようで、本当に屈辱的でとにかく嫌だったでしょうねぇ…

そしてベルリンの壁が崩壊してソビエト連邦が解体消滅し、ポーランドが自由を取り戻した後は、
文化科学宮殿も多数の大企業が入居する普通のオフィスビルになりましたが、
その威圧的で巨大かつ異様な姿は共産主義時代のまま。
今夜も怪しく照らされながらワルシャワの街を見下ろし、東欧苦難の時代の記憶を伝え続けています。

さて、僕の泊まるホテルは中央駅裏の、文化科学宮殿にも程近い一画にあるHoliday Innを予約しておいたのですが…


それと思われる場所にはMercureホテルしかありません。


でもよく見ると、エントランスのガラス窓にHoliday Innの張り紙が。
実は、ワルシャワ中央駅近くのHoliday Innは大晦日の今夜限りで営業を終了して、
明日の2013年元日からはMercureが経営するホテルとなるのです。
ホテルの中身は変わりませんが、建物の外の看板等は既にMercureに取り替えられているのですね。

ホテルの経営が譲渡されてブランドが変わるのは、ホテル業界ではよくあることのようですが、
自分が泊まっている間にホテル名が変わってしまうというのは初めての経験です。
しかし、Holiday Inn社からもMercure社からも、そしてホテルをネット予約したExpedia社からも
Holiday Innとしてこのホテルを予約した僕に対して何の連絡も事情の説明も無かったのはどうしたものか。

僕は事前にポーランド政府観光局のblogでこの事が告知されていたのを偶然チェックできたので、
旅行に出発する前に事情を把握することが出来たのですが、
もし何も知らずに初めて訪れるワルシャワに到着していたら、きっと今頃Holiday Innがどこにも見当たらないので
見知らぬワルシャワの街の路上で途方に暮れていたことでしょう。
ホテルにも予約サイトにも、もう少しだけ顧客への配慮をお願いしたいところです。
いくら余計なサービスは最初から期待しないことが常識の外資系企業とは言っても、これはちょっとねぇ…

ともあれ、明日からMercureになるHoliday Innに無事にチェックインして、部屋で一休み。
明日も元旦早々、朝早くから出かけるのですが、大晦日の夜にさっさと寝てしまうのも惜しいので
ホテルの周りを少し散歩してみました。

文化科学宮殿の近くまで行ってみましょう。





う~ん…
やっぱりグロテスクで不気味ですね。まるで現代版の安っぽいドラキュラの館です。
何だってまた、こんな悪趣味なライトアップをしているんだろう。
ひょっとして、自分たちを支配し苛め続けた吸血鬼・ソ連とスターリンの亡霊に嫌がらせをして
ささやかな復讐をして溜飲を下げているんでしょうか?


ワルシャワ中央駅の向かいには、近代的な高層ビルもあります。
窓の明かりを利用しての年号のサイン、これは日本でもよく見かける年越しの夜の光景ですね。
あと数時間で、多分あのビルの窓明かりも2012から2013に変わります。

中央駅周辺でも、花火の音がだんだん激しくなってきました。
ヨーロッパの年越しは、街角で盛り上がった市民がゲリラ的に打ち上げる凄まじい数のロケット花火と爆竹が付き物。
日本では絶対に市販できないような、やたらと威力のある花火をミサイルのように撃ち合うので、かなり物騒です。
この辺りもそろそろ“戦場”になりそうなので、流れ弾に当って大火傷をしたりしないようにホテルに帰りましょう。

ホテルの部屋でゆっくり風呂に入って、歯を磨きながらTVでヨーロッパ各地の年越し風景の中継を見ているうちに
時刻は午前零時を過ぎました。

明けましておめでとう。おやすみなさい…
明日は一日中乗り鉄の日です。正体不明?の列車に乗って、ちょっと隣の国まで行ってきます。


18:HANCZA リトアニア国境行き国際列車に続く


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