■Steve Ferguson / Steve Ferguson■
このところ自主制作系が多かったので、ここは一気にメジャーに行きたいと思います。
今日、ご紹介するアルバムは何と Asylum レーベル。 あの、David Geffin が創立した名門レーベルです。 Asylum といえば、Jackson Browne が最初に契約したアーティストとして有名で、Eagles や Tom Waits などを輩出した名門中の名門です。
そんな Asylum にありながら、その黎明期に 1枚だけアルバムをリリースして、その後シーンから消えていったのが Steve Ferguson です。 売れなかったことと、プレス枚数が少なめだったせいもあってか、あまり取り上げられることがありません。 それどころか、未だに CD 化すらされていないのです。 何か特別な事情でもあるのでしょうか?
さて、そんな Steve Ferguson ですが、Asylum では異色の黒人SSW にして、ギターとキーボードも一人でこなすマルチプレイヤーです。 そんな彼が 1973 年に発表したアルバムは、取り立てて傑作ではないのですが、ちょっと埋もれてしまうには惜しい味わいと同時代性を持ち合わせているように思います。
1曲目「Mama」はいきなり、初期の Tom Waits 風のピアノの弾き語りです。 このエコーがかかったアップライトピアノっぽい音は何と表現するのでしょうか。 ゆるやかなストリングスも加わってアルバムへの期待を持たせてくれます。 ちょっとファンキーな「Charlemagne」、しっとりしたバラード「Gypsy Hollow」、ちょっとソウルっぽい感じで、David T.Walker の控えめなギターも聴ける「Lonesome Lover」と続いていくところは、B面よりも聴き応えがある感じがします。
B面に移ると、後半の変拍子がユニークな「Raven」で始まり、ややファンキーな曲が続きますが、曲がいまひとつ弱いのが残念。 ようやくラストの「Excuse Me」で持ち直します。 この曲はミディアムな曲調に流麗なストリングスも重なり、Steve Ferguson 節(なんてものはないですね)の真骨頂という感じの佳曲です。 この曲が静かにエンディングを迎えて、幕を閉じると思いきや、Hey Mr. Producer ! みたいな呼びかけが入り、ホンキートンク調のピアノのインストが流れてきます。 時間にして1分ちょっとくらいでしょうか。 これはまさに別曲で、今風に言えばシークレット・トラックですね。 そして、アルバムは、その曲を弾き終えた Steve が立ち去っていく足音で終わるという洒落た演出をほどこしています。
アルバムを聴き終えて、このアルバムは Steve Ferguson のやりたい音楽の完成形ではなかったのではないかと感じます。 力まず、くだけた感じのボーカルに、ストリングスやホーンが見事に乗っかってくるところは、Asylum の名を汚すことのない出来栄えなのですが、何かもうひとつ足りないところは否めません。 僕には、Steve が何か遠慮してしまっているように聴こえてしまうのです。 多彩な楽器を演奏できることが裏目になったのか、もっとファンキーに行くべきだったのか、それとも逆だったのか、といったことを考えてしまいます。
そういった意味で、Steve Ferguson には、もう1枚でいいからアルバムを残してもらいたかったと思います。 残念ながら、このアルバムが唯一の作品となってしまいました。
1973年、Asylum から発売されたちょうど10番目のアルバム。 ちなみに、ひとつ前の品番 SD5059 には Ned Doheny のファースト が、後ろの SD5061 は、Tom Waits のファーストアルバム「Closing Time」となっています。 ちょっと肩身が狭い感じですね。
■Steve Ferguson / Steve Ferguson■
Side-1
Mama
Charlemagne
Gypsy Hollow
Lonesome Lover
Maybe I’m In Love With You , Baby
Chasing The Shadow Of Relief
Side-2
Raven
Over And Over
In The Middle Of The Night
Sometimes It Seems To Wear Me Down
Excuse Me
All Songs Written by Steve Ferguson
Steve Ferguson : vocal , guitars , keyboards , mandolin
Wilton Felder : fender-bass
Ed Greene : drums
Bobbye Hall : percussion
David T.Walker : electric guitar on ‘Lonesome Lover’
Background Vocals : Clydie King , Vanetta Fields , Gwen Johnson , Sherie Matthews
Violins : Janis Gower , Charles Veal , Lenny Malarsky , Al Lustgarten , Marvin limonick , Elliot Fisher , Murry Adler , Arnold Belnick , Israel Baker , Branche beinick
Violas : Rollive Date , Virginia Majewski , Al Neiman , Allan Harshman
Cellos : Marie Pera , Ron Cooper , Ray Kelly , Ann Goodman , Alexander Reisman
String Bass : Roger Nichols
Horns : Gene Goe , blue Mitchell , Buddy Childers
Trombones : Dick Hyde , Bennie Powell , George Bohanon
Saxophones : Ernie Watts , Mike Altschul
Alto Flutes : Ernie Watts , Mike Altschul
Oboe : Ernie Watts
Clarinet : Richard Goldfarb
Strings , Horns and Background Vocals Arranged and Conducted by George Bohanon
Presented by David Geffin
Produced by Chuck Plotkin
Asylum Records SD5060
このところ自主制作系が多かったので、ここは一気にメジャーに行きたいと思います。
今日、ご紹介するアルバムは何と Asylum レーベル。 あの、David Geffin が創立した名門レーベルです。 Asylum といえば、Jackson Browne が最初に契約したアーティストとして有名で、Eagles や Tom Waits などを輩出した名門中の名門です。
そんな Asylum にありながら、その黎明期に 1枚だけアルバムをリリースして、その後シーンから消えていったのが Steve Ferguson です。 売れなかったことと、プレス枚数が少なめだったせいもあってか、あまり取り上げられることがありません。 それどころか、未だに CD 化すらされていないのです。 何か特別な事情でもあるのでしょうか?
さて、そんな Steve Ferguson ですが、Asylum では異色の黒人SSW にして、ギターとキーボードも一人でこなすマルチプレイヤーです。 そんな彼が 1973 年に発表したアルバムは、取り立てて傑作ではないのですが、ちょっと埋もれてしまうには惜しい味わいと同時代性を持ち合わせているように思います。
1曲目「Mama」はいきなり、初期の Tom Waits 風のピアノの弾き語りです。 このエコーがかかったアップライトピアノっぽい音は何と表現するのでしょうか。 ゆるやかなストリングスも加わってアルバムへの期待を持たせてくれます。 ちょっとファンキーな「Charlemagne」、しっとりしたバラード「Gypsy Hollow」、ちょっとソウルっぽい感じで、David T.Walker の控えめなギターも聴ける「Lonesome Lover」と続いていくところは、B面よりも聴き応えがある感じがします。
B面に移ると、後半の変拍子がユニークな「Raven」で始まり、ややファンキーな曲が続きますが、曲がいまひとつ弱いのが残念。 ようやくラストの「Excuse Me」で持ち直します。 この曲はミディアムな曲調に流麗なストリングスも重なり、Steve Ferguson 節(なんてものはないですね)の真骨頂という感じの佳曲です。 この曲が静かにエンディングを迎えて、幕を閉じると思いきや、Hey Mr. Producer ! みたいな呼びかけが入り、ホンキートンク調のピアノのインストが流れてきます。 時間にして1分ちょっとくらいでしょうか。 これはまさに別曲で、今風に言えばシークレット・トラックですね。 そして、アルバムは、その曲を弾き終えた Steve が立ち去っていく足音で終わるという洒落た演出をほどこしています。
アルバムを聴き終えて、このアルバムは Steve Ferguson のやりたい音楽の完成形ではなかったのではないかと感じます。 力まず、くだけた感じのボーカルに、ストリングスやホーンが見事に乗っかってくるところは、Asylum の名を汚すことのない出来栄えなのですが、何かもうひとつ足りないところは否めません。 僕には、Steve が何か遠慮してしまっているように聴こえてしまうのです。 多彩な楽器を演奏できることが裏目になったのか、もっとファンキーに行くべきだったのか、それとも逆だったのか、といったことを考えてしまいます。
そういった意味で、Steve Ferguson には、もう1枚でいいからアルバムを残してもらいたかったと思います。 残念ながら、このアルバムが唯一の作品となってしまいました。
1973年、Asylum から発売されたちょうど10番目のアルバム。 ちなみに、ひとつ前の品番 SD5059 には Ned Doheny のファースト が、後ろの SD5061 は、Tom Waits のファーストアルバム「Closing Time」となっています。 ちょっと肩身が狭い感じですね。
■Steve Ferguson / Steve Ferguson■
Side-1
Mama
Charlemagne
Gypsy Hollow
Lonesome Lover
Maybe I’m In Love With You , Baby
Chasing The Shadow Of Relief
Side-2
Raven
Over And Over
In The Middle Of The Night
Sometimes It Seems To Wear Me Down
Excuse Me
All Songs Written by Steve Ferguson
Steve Ferguson : vocal , guitars , keyboards , mandolin
Wilton Felder : fender-bass
Ed Greene : drums
Bobbye Hall : percussion
David T.Walker : electric guitar on ‘Lonesome Lover’
Background Vocals : Clydie King , Vanetta Fields , Gwen Johnson , Sherie Matthews
Violins : Janis Gower , Charles Veal , Lenny Malarsky , Al Lustgarten , Marvin limonick , Elliot Fisher , Murry Adler , Arnold Belnick , Israel Baker , Branche beinick
Violas : Rollive Date , Virginia Majewski , Al Neiman , Allan Harshman
Cellos : Marie Pera , Ron Cooper , Ray Kelly , Ann Goodman , Alexander Reisman
String Bass : Roger Nichols
Horns : Gene Goe , blue Mitchell , Buddy Childers
Trombones : Dick Hyde , Bennie Powell , George Bohanon
Saxophones : Ernie Watts , Mike Altschul
Alto Flutes : Ernie Watts , Mike Altschul
Oboe : Ernie Watts
Clarinet : Richard Goldfarb
Strings , Horns and Background Vocals Arranged and Conducted by George Bohanon
Presented by David Geffin
Produced by Chuck Plotkin
Asylum Records SD5060
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