聴くネタバレ映画・ドラマと英語日記

~元MC苅田三貴が見た映画やドラマを私情バンバンはさんでご紹介♪

魂に訴えるミステリー

2012-09-18 13:07:15 | 洋画クライムサスペンス・ミステリー
″解る~″カブる~″というのも
面白いと思える理由だけど
″こんな世界があるんだ″こんな出来事があったんだ″と
知識を得られるのもまた、映画の醍醐味


この映画はまさに後者


笑い所は何1つ無く、
登場人物は皆厳しい顔をしていたけれど、
決して日本人には撮れない作品で、興味深かった


灼熱の魂



監督はドゥニ・ヴィル…
ドゥニ・ヴィルヌー…
ドゥニ・ヴィルヌーヴさんという
やっとの思いで打ち込めたお名前。


それもそのはず。彼はカナダ出身で製作国はカナダとフランス。
カナダの映画って
日本人にはなかなか馴染みがありませんよね~


髪をバリカンでそられている子供が
じ~っとこちらを凝視する強烈なシーンで始まり
「しっかり、この現実を見て下さい。」と言われた気がしました。




母親のナワル・マルワン(ルブナ・アザバル)が突然死に
公証人の下、遺言を聞く
ジャンヌ(メリッサ・デゾルモー=プーラン)と
シモン(マキシム・ゴーデット)


そこで双子が知ったのは衝撃の内容でした。


死んだと聞かされていた父が生きていて、
しかも2人の知らない兄まで居るのだと


そして、その父と兄に
各々手紙を渡して欲しいと言うのです



ちょっと変わった母親だったので
シモンはそのお願いを無視しようとしたのですが、
「変わらない事実とは向き合うべきだ」と
上司にアドバイスされたジャンヌは
父を探し出す為、母のルーツを探ります。


カナダから中東へと軌跡を辿るうち
驚愕の事実が


母の若かりし頃から現代という″時間″、
カナダからレバノンという″場所″を巧みに繋ぎ、
根深い問題を映し出したミステリーです

















う~ん。
見終えて思わずうなってしまいました。


現代の日本に普通に暮らす人が作ったら
決してこうはならないだろうという結末に。


ミステリーなのでその事実は伏せておきますが、
宗教が絡んだ憎しみの連鎖は
やはり簡単には断ち切れない。

その結果がこれなのかと
呆然とする他ありませんでした




最後に事実を知って
一箇所だけ、
″年齢″が引っかかったのですが、まあいいかと。


つまりはそんな細かい事より
映画の持つエネルギーがあまりに大きくて
魂に訴えてきたという事なんでしょう。


まさに″灼熱の魂″
原題はフランス語で″Incendies″
″火事″″火災″などの意味らしいですが
まさにぴったりの邦題です



この映画は大枠のネタ、
つまりは最後に明かされる事実が衝撃的だから
面白いのもあるんだけど、
前フリが上手い

何度巻き戻ししたい気持ちに駆られたか



例えばジャンヌが昔の母を知っている人に会った時
「彼女の子供なら歓迎したくない」と
言われてしまうんですね


え、彼女は何かしたっけと思った矢先
昔の母が行った行為につなぐ。

だから疑問も解決されつつ
時間も場所も飛び越えて、1つの流れになる。


この様な事を何度も繰り返し
徐々に母の過去が明らかになっていくので
メッセージ性もありながら、
良質なミステリーだとも実感できるんです


″レバノン内戦″というキーワードがあったので
難しい内容かと思ったけど
物語自体はそれを知らなくても問題ありませんでした



とまあジャンルがジャンルだけに
抽象的な部分が多くなってしまいましたが
WOWOWで27日に再放送されるので
興味を持たれた方はご覧になってみて下さい


ちなみに強烈な子供のシーンと共に使われたのが
レディオ・ヘッドの″You And Whose Army″
2001年のアルバムAmnesiac(アムニージアック)に収録されていますが
この曲はある人種の世界支配や当時の首相への批判を歌ったもの。
この映画にはぴったりの曲だと言えるでしょうか…


Amnesiac
Capitol


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