みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0031「週末婚の憂鬱」

2017-05-12 19:41:18 | ブログ短編

 康雄(やすお)と香織(かおり)は三十代半(なか)ばで結婚(けっこん)し、いつの間にか結婚四年目に突入(とつにゅう)していた。二人は平日は別々に生活(せいかつ)して、週末(しゅうまつ)だけ一緒(いっしょ)に暮(く)らす週末婚(しゅうまつこん)という生活をしていた。仕事の忙(いそが)しい二人にとって、それが一番いい選択(せんたく)だと思ったからだ。でも、四年もたってみると…。
「ねえ、ここには仕事を持ち込まない約束(やくそく)でしょ」香織はイライラしていた。
「仕方(しかた)ないだろ。急(いそ)ぎの仕事で、月曜までに仕上(しあ)げないといけないんだから」
「あなた、先週も仕事だって言って来なかったじゃない!」
「あの時は…、いろいろあって大変(たいへん)だったんだよ」康雄は目を合わそうとしなかった。
「何よ、いろいろって。夜遅(おそ)くても、帰ってこられるでしょ。私、待ってたんだから!」
「ちゃんと、電話しただろ。君だって、そういうこと、あったじゃないか。……。なあ、どうしたんだよ。そんなに怒(おこ)ることじゃないだろ」
「別に、怒ってなんかいないわよ。ただ、私は…」
「仕事、うまくいってないのか? だったら、もう辞(や)めちゃえよ。君がいなくたって…」
「何で、どうして私が辞めなきゃいけないのよ。そんなこと言わないで!」
「ごめん。言い過(す)ぎたよ」康雄は香織を優(やさ)しく抱(だ)きしめた。その時、携帯(けいたい)が鳴り出した。
 康雄は着信(ちゃくしん)を確認(かくにん)すると、急に顔色(かおいろ)を変えて部屋を出て行った。そして、声をひそめて電話の相手に答えた。「週末はダメだって……。いや、そうじゃなくて…」
<つぶやき>どんなに忙しくても、二人の時間を大切に。会話があれば心は結(むす)ばれてます。
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