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ナム・リー「ボート」

2011年03月24日 | 海外の作家

 

訳・小川高義
新潮クレストブックス
2010年1月 発行
354頁


ナム・リー
1978年ベトナム生まれ
1979年インテリだった両親とともにボートピープルとしてマレーシアの難民キャンプを経てオーストラリアに渡る
奨学金を得てメルボルン大学に入学、卒業後に法律事務所勤務を経て渡米、作家活動を始める
現在までに数々の文学賞を受賞している


7編が収録された短篇集です
全てベトナム難民に関わる話かと思っていたのですが、そればかりではなく実に国際的、無国籍の空気が漂うものでした

著者の人生に重なると思われる2編
ベトナムからオーストラリアを経てアメリカに渡り小説を書いている息子と父親の話
ベトナムを出発しオーストラリアを目指したものの嵐でエンジンが壊れ漂流を続ける難民ボートの船内の話

他には
オーストラリアの若者たちの青春
ニューヨークで暮らす老画家のダメダメぶり
原爆投下直前のヒロシマで暮らす家族
コロンビアで暗殺を生業とする若者の刹那的生活
アメリカからイランに帰国した女性の反政府活動

など世界各地に生きる人々に深く思いをめぐらせます


ヒロシマ
日本人でない人が描いた日本人の話
やや違和感がありました
当然のことだと思います
でも不快ではありません
コロンビアやイランの人にも感想を聞いてみたいですね

どの話も、生と死、暴力が描かれ、明るい希望を持たせる終わり方はしないのですが、次の世代に繋がる何かが感じられました

 

 


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