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北野勇作「どーなつ」

2010年07月07日 | か行の作家
父の迎えを待ちながらピンボール・マシンで遊んだデパート屋上の夕暮れ
火星に雨を降らせようと研究を続けていた田宮さんに恋したころ
どことも知れぬ異星で電気熊に乗り込んで戦った日々
はたまた電気熊に乗って倉庫で仕事をした日々
おれの思い出には何かが足りなくて何かが多すぎる
おれはどこから来て、そもそも今どこにいるのだろう?
切なく空しい記憶の物語


異星人による地球侵略を防ぐ戦い
あなたの隣にいる人間はもしかしたら異星人なのかもしれない
あなたの記憶は誰かの記憶が入り込んだものなのかもしれない
あなたは自分が人間だと思っているのかもしれないが、それはただの記憶であって実はアメフラシなのかもしれない


その一、百貨店の屋上で待っていた子供の話
から
その十、溝のなかに落ちていたヒトの話
まで
連作短編集になっています


唯一
納得で読めたのは
その六、本当は落語家になりたかった研究員の話
モチーフは『あたま山』
頭の上に生えた桜を目当てに花見客が大勢やってきて大騒ぎって噺

そんなことはあり得ない
しかし、本当にあり得ないのだろうか
現にぼくはその噺のなかに入り込み主人公と一緒にそれを体験した
だから少なくとも観客の頭のなかでは、それは確かにあり得たのだ


読みながら、読んでいる自分は本当は何なのか?
奇妙な感覚に陥ります
筋道を立てて読もうとすると無理が出てきます
ふわふわとした『曖昧な記憶』の物語でした




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