読書と映画とガーデニング

読書&映画&ガーデニング&落語&野球などなど、毎日アクティブに楽しく暮らしたいですね!

湯本香樹実「岸辺の旅」

2010年08月22日 | や・ら・わ行の作家

ある夜
台所でしらたまを作っていると3年前に失踪した夫が現れる
彼の身体は海底で蟹に食べられてしまったのだ、と言う

夫が、この3年辿ってきた場所を旅する二人

現実か夢か幻想か

警察に失踪届けを出し、尋ね人のポスターを作って必死に捜した夫
彼には愛人がいた
相手も既婚者で、浮気相手は他にもいた
歯科医だった夫が家では決して見せない一面があったことも知った

3年ぶりに戻ってきた(死んでいるのだけど)夫を責めることもせず、夫の意思のまま旅を続ける

既に亡くなっている父親が夢に現れ
アイツの身体を食べたのは俺だ
あんな男と結婚したなんて
と言うのもごもっとも、と思えるような夫

それでもやはり自分が愛した夫なのだ
今度こそ本当に夫が消えてしまう日が来ることを知りながらこの旅が続くことを願う

彼岸と此岸の岸辺の旅

不思議な透明感のあるお話でした


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 宮部みゆき「あやし」 | トップ | 熊谷達也「邂逅の森」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

や・ら・わ行の作家」カテゴリの最新記事