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橋本紡「葉桜」

2014年10月02日 | は行の作家

 

集英社文庫
2014年4月 第1刷
解説・佐藤すみれ
269頁

 

 

書道教室の先生に片想いをしている高校三年生の佳奈
けれど、先生には奥さんがいた
叶わない思いを胸に佳奈は日々教室で文字を書く

 

 

佳奈はとても真面目で純粋で良い子です
良い子は折れやすいなどと言いますが、佳奈はちょっと違います
真っ当に物事を考える育ちの良い子で、優しさと強さも兼ね備えています

佳奈には先生への片想い以外にも悩みがあります
佳奈の2歳下の妹・紗英
美人で天才、幼い頃から何でもパーフェクト
父方の一族には何年かに1人、紗英のような天才が生れる
しかし、天才に生まれた故の悲劇か、18歳になると皆自殺してしまうのだった
16歳でそのことを知ってしまった紗英は自分の短い人生を目いっぱい生きようとする
精神的に不安定になった紗英、悲嘆にくれる母親
紗英は言い伝えのとおり18歳で命を絶ってしまうのか
見守ることしかできない佳奈でした

 

夏休みの間だけ教室に通ってくる佳奈と同い年の津田君
彼のひたむきな練習態度に触発されて一心に筆を持ち続ける佳奈
津田君のおかげで書道のなんたるかを掴むことができた彼女ですが、津田君の自分への想いを知りつつ、やはり先生への思慕を断ち切ることは出来ませんでした

 

物語の終盤で佳奈は古今和歌集の中の恋歌を半紙に書いたものを先生に見せます
先生からは、やんわりと断りの歌が返ってきました(勿論半紙に筆で)
今どき、こんな告白の方法があるでしょうか
素敵です
それも高校生が
奥さんと結婚したことで抱えた陰を持つ先生に心惹かれる佳奈の気持ちが切ないですねぇ

 

佳奈の気持ちは、先生自身も先生の奥さんも紗英も、前から知っていたのではないでしょうか
それをずっと見守り佳奈の背中を押してくれる周囲の人々のおかげで彼女は大人の女性へと成長していくのでした

うん、やっぱり佳奈は本当に良い子です
自分の力で、自分の幸せを手に入れていくことの出来る子です

 


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