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デイヴィッド・ゴードン「二流小説家」

2012年07月29日 | 海外の作家

 

訳・青木千鶴

早川書房

2011年3月 発行

2012年1月 10版発行

451頁

 

 

 

ポケットブック版、2段組み

1週間はかかると思っていましたが、海外ドラマのようでテンポよく、意外に早く3日間ほどで読み終えました

 

 

ニューヨーク在住のしがない中年作家、ハリー・ブロックは偽りの名や他人の顔を借りて、数多くの小説を出版してきた

とはいえ売行きはぱっとせず、家庭教師のアルバイトでなんとか食いつなぐ日々を送ってきた

最愛の恋人には捨てられ、教え子の女子高校生クレアにすら頭があがらない

そんなある日、ハリーのもとに一通の手紙が届く

差出人は12年前に4人の女性を惨殺した悪名高き連続殺人鬼、ダリアン・クレイ

いっさいの自供を拒んだまま、死刑執行を3か月後に控えたいま、すべてを語る告白本の執筆を大ファンであるハリーに依頼したいというのだ

ところが真実をあかすことと引きかえに、ダリアンはひとつの条件を出す

はたしてハリーは見事、その条件をクリアすることができるのか

事件の真相にたどりつくことができるのか

 

 

ポルノ雑誌の相談コーナーではペンネーム「アバズレ調教師」

ソフトコアのポルノ小説ではトム・スタンクス

都会小説ではJ・デューク・ジョンソン

ヴァンパイア小説では女性名、シビリン・ロリンド-ゴ-ルド

それぞれのジャンルでそれなりにファンもいるのですが、母親からも、そろそろちゃんと小説を書いてはどうかと説教されている

ダリアンはトム・スタンクスのポルノ小説のファンで、編集部気付で手紙をよこしたのです

いよいよ本名で作品を世に出すことが出来るしお金も入る、と軽い気持ちで受けた仕事がハリーをとんでもない事件に巻き込みます

 

自分のことをしがない二流小説家に過ぎないと考えているハリーが事件終盤で推理を働かせ解決に導くあたりなどは、二流は二流なりに小説を書いてきた経験が役に立っていたりして、「良かったじゃない」と誉めてあげたくなりました

作家としては成功していませんが、人間としてはとても魅力的です

 

ラストの1ページは、読み返せば返すほど、この小説の面白さ、巧みさが思い出されて満たされた気持ちになれます

 

 


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4 コメント

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余談 (たんぽぽ)
2012-08-02 20:01:30
余談ではありますが、ヴァンパイア小説、映画トワイライトシリーズでもわかりますが、本当に人気があるんですね。
どんな小説も所詮は「ポーの一族」の亜流・・・と、私には思えてしまうのですが。
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たんぽぽさん (こに)
2012-08-05 10:20:19
「ポーの一族」昨年夏、息子に薦められて読みました。
超有名な作品を読む機会をくれた息子に感謝。
直感的に最初に頭に浮かぶものが主流になるんですよね。
欧米ではヴァンパイア物の人気は衰えないでしょうね~。

返信する
こんばんは (悠雅)
2013-06-15 19:41:43
コメントいただいて、こちらにお邪魔しました。
本当にたくさんの読書をされていて、素晴らしいです。

この作品の映画化作品なのですが、
小説を読んでいないので正確だとは言い切れませんが、
確かに、あんまり観たくない死体がいくつも登場するものの、
残虐さを強調するより、犯人の美意識を尊重しているような画面だったと思います。
とは言いつつ、心の中で、「作り物かCGだから」とかなり言い聞かせながら見てたわけですが(^-^;
とりあえず、それだけお知らせしようと思って・・・
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悠雅さん (こに)
2013-06-16 10:25:01
こんにちは。
遥々小説カテまでお越しいただきありがとうございます。^^
死体無しでは成り立たない作品ですものね。
ちょっと目を逸らしつつ鑑賞してみようかな、と思い始めました。
ドキドキ。
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