新潮文庫
2012年6月 発行
解説・中島京子
215頁
このタイトルを見て、NHKの少年ドラマシリーズを思い出した方
同年代ですね~^^
主題歌が石川セリさんの「遠い海の記憶」
歌詞も全部覚えています
他には、「タイムトラベラー」「怪人オヨヨ」「赤い月」が好きでした
三浦半島の南のはずれに近い西海岸の小さな村
両親を海難事故で亡くし祖父母と暮らす小学6年生の紫郎は、なにかひとりで考えながら海岸を歩くことが好きな少年だった
学校では観察力と理解力に優れ、成績優秀だし、普通に級友と遊ぶのだけれど、学校が引けた後は誰かと一緒に遊ぶということは皆無だった
岩場に耳を当て、海のつぶやきを聞いていたある日、崖の半ばに顔色の悪い老人の姿を一瞬見る
あれは幽霊だったのか?
担任の小林先生や先生の弟の協力を得て、謎の人物の解明に乗り出すが、命を狙われそうになる
やがて死者も出る
戦争中、岩場の地下に縦横に掘られた穴が残っており、終戦後、膨大な金塊が隠されたという噂があるらしい
謎の人物はその金塊を狙う『金塊亡者』か?
崖の近くの別荘に暮らす白髭さんと呼ばれている老人と仲良くなった紫郎は、ますます崖の秘密に興味を抱きます
危険なことには近づかないでほしいと言う祖父母や小林先生の思いを理解していながら、「そういうわけにはいかない」と考える紫郎
谷川俊太郎さんの「さようなら」を思い出します
理由ははっきりしていなくても、男の子には、やらねばならぬこと、行かねばならぬ場所があるのです
この小説に登場する大人たちは皆、紫郎の冒険にハラハラしながらも少し距離を保ちながら見守ります
やがて、白髭さんが残した暗号を解読した紫郎は、崖の秘密、両親の死の真相を掴みます
たった一人で困難に立ち向かい、謎を解き明かした紫郎は、苦さと誇りをもって大人への一歩を歩み始めたのです
ドラマと同様、名作と呼ばれて然り
大人が読んでも満足の少年小説です
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます