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F・W・クロフツ「樽」

2009年10月01日 | 海外の作家
堀江敏幸さんの「河岸忘日抄」の中に、船のキャビンにある樽を見てクロフツの「樽」を思い出す、という件があります

時代は20世紀初頭
パリの美術商から発送された樽がイギリスの港で陸揚げされようとした時、起重機から落ちて壊れた拍子に数個の金貨が転げ出る
不思議に思って調べると死体の手が現れる
続く樽の紛失
イギリス警視庁の警部が死体の身許を探るためフランスへ渡りパリ警視庁の探偵と協力し、容疑者が逮捕される
最後に、容疑者の弁護士が頼んだ私立探偵がこれまでの捜査を再吟味し真犯人を突き止めて幕を閉じる

容疑者として疑われる人間の数が少ないので、真犯人は誰だ!的面白さではなく、複雑なプロットと樽にからまる論理的な錯覚、アリバイの執拗な検討に重きがおかれ、警部も探偵も直観に頼るのではなく『足』を使って丹念に探し回り、集まったデータを前に考えて考えて事件を解決に結びつけるところに面白さがあり、データが全てオープンな為、自分も共に考える楽しさが味わえます


現代では地味な推理小説と言われるのかもしれませんが、こういう『燻銀』のような作品
好きです

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