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小川眞「キノコの教え」

2013年04月11日 | 新書

 

岩波新書

2012年4月 第1刷発行

225頁

 

 

口絵を寄せていらっしゃるのは奥様の小川洋子さん

小説家の小川洋子さんの「とにかく散歩いたしましょう」の中の『もう一人の小川洋子さん』の方だったかしらと思い、頁を捲ってみましたが、そちらはまた違う方でした

才能豊かな方が多いお名前なのかしら

 

 

さて、本書

良い本を見つけました

 

 

木の根と共生し、木材や落ち葉を分解して、菌類はひっそりと森を支えている

キノコは菌類の繁殖装置

植物とも動物とも異なる宿命のもと共生へと進化したキノコの教えを人類は学ぶべきではないか

マツタケやトリュフ栽培の苦心、キノコと炭による松林の再生、放射能を集めるキノコなど、食と環境と生命をめぐる興味深い話題を満載

 

1 日陰者のつぶやき

2 これ食べられますか

3 夢を追って

4 腐らせること

5 森を支えるキノコ

6 環境異変を告げるキノコ

7 マツを助けたショウロ

8 キノコの教え

 

生き物としての菌類の説明

菌類と人との関わり

自然界で菌類が果たしている役割、木材腐朽や落葉分解、菌根共生

林業の実際や環境問題

菌類をお手本に人類の暮らし方を考え直す

 

 

キノコとか菌類とか

他にも、世の中には傍目には面白みのないような地味な研究を続けている方が多くいらっしゃいます

そんな研究が面白いのか?と半ば馬鹿にしたような目で見る人もいますが、それはとんでもない間違いです

どんな研究もどこかで何かと繋がっていて、現代人の役に立っていたり、思い上がりに警鐘を鳴らしたりしているのです

 

 

まえがきより

この世の中に無視されてよい存在はない

人の世界にも、目立たず、振り向かれもせず、欲張らず、それでもキノコのように懸命に生きている人々がいる

いつの間にか私たちはそのような優しくつつましい生き方を軽んじ、経済力と軍事力で世界と牛耳ろうとしてきたのではないだろうか

人類がこれからも、この限りある地球上に生き続けたいと願うなら「私たちの生き方を見習っては」というキノコのつぶやきに耳を傾けたほうがよさそうである

 

 

あとがきより

私たち人間は、自然界すら自分の物差しで測り、ときに勝手な理屈を立てて納得してきた

つい、普段目に触れないものの存在を軽んじがちだが、見えない微小な世界の力の大きさを忘れてはならない

この世の生きとし生けるものに無駄な存在はない

自然の成り立ちをつぶさに見れば、それぞれが懸命に生きて、互いに支え合って暮らしていることがわかるはずである

 

 

自分の足で山に入り、森やキノコを観察し、地球環境の変化を肌で感じている著者だからこその言葉には重みがあります

 

 


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