中公文庫
2011年10月 初版発行
256頁
1994年6月から2001年10月にかけて文芸雑誌や新聞に掲載された84編の書評集です。
小説であってもエッセィであっても、そして書評であっても堀江さんの文章は美しく、澱みなく流れていきます。
紹介されている84編のうち、読んだことのあるのは1編のみ。
残り83編、全部読みたいと思うのですが、なかなか手強そうなものばかりです。
文庫版あとがきより
書評に書き方などというものはない。
どのように書いたらいいのか、かつてもわからなかったし、いまも答えの見つからない状態でずっと苦しみ続けている。
ひとつはっきりしているのは、簡単なあらすじや内容の刈り込み方で、評者の力量はたいてい知れてしまうということだ。
専門分野であるとないとにかかわらず、これは公の場で他者の本の中身を紹介する際の基本であり、基本であるからこそ最も難しい作業になる。
おなじ作品について書かれた何人かの書評を読み比べてみれば、どこをつまみ上げ、どこを切り落とし、どんな目線で筋を抜き出しているのかみな異なるはずで、その捉え方の相違が評全体の色合いを決めると言っても過言ではない。
気を利かせたふうの言い回しや評者自身の身辺の話題、あるいは著者との個人的な関係などを無理して埋め込まなくても、梗概がすべてをさらけ出してくれる。
堀江さんの著書で未読本がなくなってしまいました。
再読に励みましょうか。
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