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西加奈子「地下の鳩」

2012年10月07日 | な行の作家

 

文藝春秋

2011年12月 第1刷発行

223頁

 

 

「地下の鳩」

暗い目を持つキャバレーの呼び込み、自分は今でもイケていると思っている、イキり癖と驕り癖のある、吉田40歳

素人臭いチーママ、人が期待する役割を演じ、本当の自分の気持ちがわからない、みさを29歳

二人が出会って、なんとなく付き合い始めて、一緒に暮らし、トラブルから逃げるため香港に飛ぶ

仄暗い話です

ここに描かれているような世界には無縁ですし吉田にもみさをにも感情移入は出来ませんでしたが、過去の西さんの作品で『学習』していたので、遠巻に眺めているような感覚で興味深く読みました

素直になって自分を見つめてみれば、自分にも吉田やみさをに通じるものが無いとはいえないのではないか、とも思いました

 

 

「タイムカプセル」

「地下の鳩」にも登場するオカマバーのママ、相手の欲求を察知する能力に長け、話の面白さで店を切り盛りする、ミミィ44歳

苛められっ子だった子供時代

二度と戻るまいと決めていた故郷の島に降り立ったミミィの目的は何だったのか

ミステリーっぽい流れの中、ミミィはずっと心に仕舞い込んできた苦悩から解き放たれるのです

こちらの話のほうがわかりやすかったです

 

2作とも、理屈抜き、難しい言葉などは使わなくても、仮面を剥ぎ取られた人間の本質が見えてくる秀作だと思います

 

 

 


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