新潮文庫
1987年6月 発行
2005年11月 32刷
解説・柄谷行人
597頁
漱石未完の絶筆
残り頁が少なくなったところで胃が重くなりました
未完でも読み応えのある作品です
結婚半年になる津田
妻のお延とはまだ距離のある関係で、互いに心のなかで相手を探りながらも表面上は平穏に暮らしている
津田夫妻と親兄弟、親戚、友人など周囲の人々各人の心理描写が実に見事です
作品の殆どが心理描写だと言ってもよいかと思います
人は自分の価値基準に照らし合わせて相手を批評しがちで、そこからは様々な利害関係や誤解、争いが生まれる
エゴイズムの行き着く先には何が起こるのか
未完であることが、読者の想像を掻き立て、読み続けられている理由のひとつなのでしょう
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