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映画・イロイロ ぬくもりの記憶

2014年12月30日 | 映画(海外)

 

2013年 シンガポール
中題 爸妈不在家
英題 ILO ILO

 

邦題の「イロイロ」
日本語の『色々』をカナ表記にしたものかと思っていました
それは大間違い
アンソニー・チェン監督が子供時代に実家で一緒に暮らしていたフィリピン人メイドの故郷の町の名前なのだそうです
中題の意味は「父と母は不在」
映画の内容を端的に表しています

 

 

舞台は1997年、シンガポール
営業の仕事に忙しい父(チェン・ティエンウェン)
運送会社の事務職で臨月にも関わらずフルタイムで仕事をこなす母(ヤオ・ヤンヤン)
ひとり息子ジャールー(コー・ジャールー)は家庭でも学校でも我儘な振舞いが多く周囲を困らせてばかりいます
仕事で疲れ家事もままならず、ほとほと困り果てた母はフィリピン人メイド・テレサ(アンジェリ・パヤン)を住み込みで雇うことにします
あまり賛成ではなさそうな父ですが、家中の実権を握っているのは母なので仕方なく受け入れることにします
当初はテレサに反発し色々と悪さを仕掛けるジャールーでしたが、故郷に残した子供を思いつつ寂しさを堪え一生懸命働き、ジャールーにも正面からぶつかってくる彼女に、徐々に心を開いていきます

 

アジア通貨危機による不況で会社をリストラされ、株取引の失敗で大金を失い、臨時職の警備会社でも失敗し解雇される父
運送会社の従業員解雇の書類を何枚もタイピングし自身のリストラに怯えながら仕事をこなす日々、ジャールーの件で学校に呼び出されたり、ジャールーが自分よりテレサを慕っていることを感じ取ったり、すがる思いで参加した怪しげなセミナーに大金を投じて詐欺被害者となる母

 

そんな状況の中でもテレサは一生懸命家族の中で働きます
しかし、経済的な理由からテレサは国に帰るよう言い渡されてしまうのです

 

テレサとの暮らしの中で成長していくジャールー
何も難しい言葉や教えを受けたわけではありません
ただ、学校へ迎えに行き、食事を作り、お風呂で身体を洗ってやり、散髪してあげ、会話をする
それだけのことですが、忙しい両親の元で感じていた孤独が少しずつ癒されていくのでした

 

テレサが国に帰らなくても済むように、ちょっと頑張るジャールー
最後の別れの時、思い余ってテレサの髪を切ってしまうジャールー
まだ幼い少年である彼には自分の気持ちを上手く表現することも、処理することもできません
その辺りを今回オーディションで選ばれ演技は初となるコー・ジャールーが気負いなく自然に演じていたと思います

 

 

 

ラストは
母の出産シーンです
父とジャールーが落ち着かない表情で病院の廊下のベンチに座っている姿が微笑ましかったです
ジャールーはどんな大人になるのでしょうね
テレサと過ごした短いぬくもりの記憶を大切に生きていって欲しいな、なんて思いました

 

ストーリー展開はごく普通で驚くような内容ではありません
シンガポールで暮らすひと家族を通して描かれる、家族間の問題、資本主義社会、移民問題、などをありのままに率直に映像にした味わい深い作品でした


 

 

 


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