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トーマス・マン「ベニスに死す」

2012年04月28日 | 海外の作家

 

訳・圓子修平
集英社文庫
2011年8月 第1刷
解説・池内紀
136頁


ご存知の通り
巨匠ヴィスコンティ監督の映画「ベニスに死す」の原作です
この小説世界を見事に美しい映像にしたヴィスコンティ監督の手腕に改めて感じ入りました

映画ではアシェンバハは高名な作曲家でしたが、原作では作家です

高名な初老の作家アシェンバハは旅先のヴェネツィアで出会った神のごとき美少年のタジオに魅了されますが、そこは大人ですから感情はひた隠し、遠くからタジオを見つめるだけの日々を送ります

「老人と若者、醜い男と美しい男、愛らしい若者と老いた賢者」
繰り返される両者の対比にアシェンバハの深い苦悩が著されています

アシェンバハの視線に気づいているタジオの振る舞いは、少年少女によくあるもので、相手を慮るでもなく深い意味も持っていないのですが、初老の作家は大きな歓びをおぼえます
疫病が広がり始めたヴェネツィアで夜となく昼となく少年のあとをつけるようになるアシェンバハ

官能の焔に灼かれながら、やがて命を落とす作家の悲劇


本作はトーマス・マン夫妻がヴェネツィアに滞在した折に体験したことをもとにしているそうです
コレラの蔓延やホテルに着いたその日に美少年に会い、トーマス・マンが大変彼を気に入っていたこと
1964年、トーマス・マンの死後9年のこと
ある人物が自分がタジオのモデルだと名乗り出たそうです
研究家が調べたところ、事実だと判明
かつての天使のような美少年は、シワ深い、リューマチ病みに老人になっていたそうです

映画でタジオを演じた役者さんも…

 

ノーベル文学賞受賞作家の著書なのですが、映画>原作、の印象が拭えず映画の詳細な解説版のような雰囲気で読んでしまいました



 


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