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パヴェーゼ「月と篝火」

2017年02月17日 | 海外の作家

 

訳・河島英昭
岩波文庫
2014年 6月 第1刷発行
266頁

 

 

 

時代は、第二次大戦前
大聖堂の石段の上に、生れ落ちてすぐ、置き去りにされた『ぼく』は、孤児院にいたのを丘の上の貧農の一家に引き取られます
私生児と呼び囃されながら幼年時代を過ごし、次は平地の農場に売り渡されます
そこで農夫として仕事を覚えて有能さを発揮しながら成長し、年上の友人・ヌートと語り合いながら労働と階級の意識に目覚めていきます
兵役に出たのを機に村を後にした『ぼく』は将校の従卒をしている間に地下組織に関与し、危ないところを女中に助けられ、アメリカへ渡ります
紆余曲折の後、資産を成した『ぼく』が故郷の丘に戻り、ヌートから聞いた『ぼく』が村を出てからのその後、戦争の惨禍
そして、『ぼく』自身の過去の思い出が綴られています

 

 

パヴェーゼ自殺直前、最後の長編で代表作
パヴェーゼは4冊目にして、やっと慣れてきたような気がします
少しはパヴェーゼが生きた頃のイタリアとパヴェーゼが語りたかったことを知ることができたようにも思いますが、まだまだですねぇ

 

訳者解説より

宿命のように生き残ったヌートとともに『ぼく』はいま、最後の丘の上に立って、過ぎ去った者たちに耳を傾けている
もしも、この小説の主人公の象徴的側面をひと言でいえ、と問われるならば、私としてはむしろ「月と篝火」の真の主人公は《過ぎ去った時間》である、と答えたい
ゆるやかに弧を描いて流れる時間の円環を『ぼく』はヌートといま閉ざしつつある
ヌートは自分に言い聞かせるように尋ねる
そうか、きみは行ってしまうのだね
葡萄の取り入れのころには戻ってこないかい?
すると『ぼく』は答えた
来年の祭りの日には、また戻ってくるだろう

 

 

 

 

 

 


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