小学館
2014年11月 初版第1刷発行
332頁
真面目で優秀なのだけれど不器用
昔から理数系は得意でも国語はサッパリ
不本意ながら患者や家族の心を逆撫でするような発言や行動でトラブルを招く女医・ルミ子、33歳
「患者の心がわからない医者」というレッテルを貼られています
ある日のこと
嫌なことばかりあった午前中を思い出しながら中庭のベンチでサンドイッチを食べていると
花壇の中に何か落ちているのが目に入ります
それは聴診器
なぜこんなところに?と訝りつつも、取敢えずナースステーションに届けておこうと手を伸ばしたことが、すべての始まりでした
その聴診器を携えたルミ子が診る入院患者たち
何れも死期の迫った癌患者です
33歳女性、ルミ子と同い年
母は大女優、「芸能界デビュー」の夢が諦められないでいる
37歳男性
自分はもうすぐ死ぬというのにお金の話ばかりする妻に腹を立てている
76歳女性
結婚に反対したため46歳の今でも独身の娘、自分が娘の幸せを奪ったのだと思っている
45歳男性
中三の時の窃盗事件、罪を被った親友に代わり自分が名乗り出るべきではなかったかと自問を続けている
その聴診器が自分の人生がもうすぐ終わることを知っている患者たちに何かを“する”のです
ルミ子はそれを共有することで自らの人生を振り返り、また生き直す勇気を得ます
最後にはルミ子と母を捨て、何年も音信不通だった父も患者として入院してきますが、彼女は聴診器の助けを借りなくても相手の気持ちに寄り添うことの出来る医者になっていたようです
テーマは悪くないけれど、小説として成立させるためにはもっと掘り下げるべきではないかという部分が多かったかな
星、(限りなく二つに近い)二つ半
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