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シルヴィア・アヴァッローネ「鋼の夏」

2014年02月17日 | 海外の作家

 

早川書房
訳・荒瀬ゆみこ
2011年9月 初版発行
466頁

 

 

イタリアの地方工業都市、ピオンビーノ市の公営住宅に暮らす13歳の美少女、アンナとフランチェスカ
幼い頃からずっと一緒で大親友の二人だったが、アンナが兄・アレッシオの友人に恋をしたことから気持ちがすれ違っていく

 

アンナの父親は詐欺や偽札作りで生活費を稼いでいるが家族はそれを知らない
地元製鋼所で働く兄は、仕事が終わると友人とパブやディスコに出かけ遊び回っている
アンナは将来はこの町を出て何か大きなことをしようと思っている 

フランチェスカの父親は自宅から見える海岸で遊ぶ娘を双眼鏡で監視するような男で激しい家庭内暴力で妻や娘を支配している
母親とフランチェスカはそんな男を憎んでいるのに従うだけの毎日だった

 

衰退する一方の地元企業
閉塞感に覆われた町から出ていくことが出来ずクスリや酒、車、女で鬱憤を晴らす若者たち
そんな中で成長していく思春期の少女二人の物語と地方工業都市の現実、そしてイタリアらしく、どんな嫌な父親でも、いい加減な兄でも、情けない母親でも、お互いを見捨てない家族の強い絆を描いています

 

 

小説の頽廃的な内容が現実とは違うと舞台となったピオンビーノ市からは不快感が表明されたそうです

訳者あとがきより
『鋼の夏』は、イタリアでもそうだったように、読む人により、さまざまな感慨をもたらす。主人公は14歳前後の少女たちだが、その親世代の生き方、夫婦・親子関係、仕事という現実、さらには、性の目覚め、初体験、異性との関わり、都会への憧れ等々、読者自身の体験、来し方を想い起こさせる。それは、この小説のもつリアリティの力であり、ピオンビーノ市が不快感を示したのも、フィクションとは思えない迫真の描写を、脅威と感じたからだろう。

 

 

 

2011年から映画の撮影が始まっているそうです
日本での公開はあるのでしょうか

小説より映画のほうがすんなりと受け入れられる内容かもしれません

 

 


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