THE VAGRANTS
訳・篠森ゆりこ
河出書房新社
2010年3月 初版発行
1979年3月
中国の新興地方都市で反革命分子として28歳の女性が処刑される
彼女やその両親、関わりのある人々を描いた歴史の表舞台には決して出てこない物語
それぞれの貧しく苦しい生活と諦め、嘆きを描いています
時の流れで力の強い勢力が正しいとされ、弱い勢力は厳しく弾圧される
生き残るために他人を踏み台にする時代、周囲には誰一人信用できる人間はおらず、心の安らげる場所はありません
変わりゆく時代の狭間
新しい時代を「そういうものだ」と受け入れながら、また人々は生きていきます
作者の実体験がもとになっているからかノンフィクションかと錯覚しそうでした
デビュー短編集「千年の祈り」も良かったですが本作も読み応えのある素晴らしい作品だと思います
ちょうど読み終わったころ「中国では明日からの清明節で移動する人が多い」というニュースを見ました
貧しい一般市民は21世紀の今も、この小説のように清明節を過ごしているのだろうか、と思いを馳せました
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