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ドストエフスキー「二重人格」

2014年11月04日 | 海外の作家

 

訳・小沼文彦
岩波文庫
1954年1月 第1刷発行
1981年8月 第30刷改版発行
2014年8月 第72刷発行
320頁

 

 

19世紀半ば
ロシア、サンクトペテルブルク
小心で引っ込み思案の典型的小役人、ヤーコフ・ペトローヴィッチ・ゴリャートキン
家柄も才能もないが、栄達を望む野心だけは人一倍強い
そんな内心の相克が高じた余り、ついにもう一人の自分という幻覚が現れた
精神の平衡を失い発狂していくわれらが主人公・ゴリャートキン氏の姿を通して、管理社会の重圧におしひしがれる都市人間の心理の奥を抉った巨匠の第2作

 

11/8公開予定の映画・嗤う分身の原作ということで読んでみました
第1作「貧しき人々」が絶賛された翌月に発表された本作
ドストエフスキーは本作の成功を信じて疑いませんでしたが、結果は酷評に終わります
代表作にも入っていないようですね
自分も含め、映画の影響で読んでみようか、という人は多いかもしれません

 

 

ゴリャートキン氏は劣等コンプレックスの権化です
新・ゴリャートキン氏、つまり旧・ゴリャートキン氏の第二のエゴは、ゴリャートキン氏の今の貧しい虐げられた役人生活がなければ出現しなかったかもしれない幻
新・ゴリャートキン氏はある意味、彼の理想像であり、彼の持っていないあらゆる積極的な性格の持ち主でありますが、肯定したくない鼻持ちならない存在でもあります
自分の才能の無さを自覚しつつ、時に人並み、またはそれ以上の才能があるのだという自負心が湧き起こる瞬間がある彼の内心の相克は、自分が栄達の道を阻むのは自分の出世の道をねたむ敵の仕業であると思い込むようになり、ついに幻覚が現れるようになるのです
この幻覚が、新・ゴリャートキン氏という形をとります

 

旧・ゴリャートキン氏が発狂するまでの経過は、同じようなことをくりかえす諄さと冗長さにギブアップしそうになりますが、そこは忍耐忍耐で頑張れば、後半は一気読みとなること請け合いです

 

旧・ゴリャートキン氏の心の動きが手に取る様にわかる自分は、アブナイかも、とも思いました
わからない、と言える方はある意味幸福な人生を歩いてこられたのかもしれませんね

さて、映画はどのような仕上がりになっているのでしょうか? 

 

 


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