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吉田篤弘「百鼠」

2011年11月13日 | や・ら・わ行の作家

 

ちくま文庫
2009年10月 第1刷発行
198頁


「一角獣」
空き地に棄てられていた自転車を拾った
ハンドルの中央に溶接されていた角と呼ぶに相応しい物
まるで一角獣のよう
40歳を過ぎた独身男性モルト氏を中心に、交際中の彼女、彼女の兄、自分の妹との関わりを描いていきます

「百鼠」
天上界には『三人称』の世界があり、そこには『一人称』は存在してはならない
そこに暮らす百鼠・僕の仕事は地上で暮らす作家・船山君の思念を朗読し三人称小説へ導くこと
船山君が突然一人称小説を書き始めたことで、僕の精神状態が疑われ、厳しく規制されている一人称小説をこっそり読んでいることがバレてしまい地上界へ追放されそうになる

「到来」
『でべそ』が気になって彼との関係に一歩踏み込めない女性・私
実家のある京都で、子供の頃からおへそを取られると畏れてきた雷様(雷神)に正面から向き合ってみようとする

 

3編に共通しているのは
雷・雲・灰色
捉え難い内容を終盤のわずかなページで読者を導き、収束させているあたり
小説家の技です

 

 

 


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2 コメント

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ねずみ色 (たんぽぽ)
2011-11-15 20:49:46
不思議な味わいのある本でした。
・・・と言っても私がこれを読んだのが1年半ほど前で、ほとんど忘れており、自分の記事を読んでやっと少し思い出したところです。
ねずみ色を表す日本のたくさんの色の名前。そんな下りが印象に残っています。
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たんぽぽさん (こに)
2011-11-16 19:10:07
はい、不思議な、そして奇妙な味わいでした
特に「百鼠」は読み始めはSFかしら、とか百匹の鼠の物語かしら、などと思ったりしました
自分に百鼠というのがどういう色合いなのか実感が無かったのが残念です
「つむじ風食堂の夜」の印象が強かったので、ちょっと驚き
吉田さん、時々チェックしようと思います

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