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フランツ=オリヴィエ・ジズベール「105歳の料理人ローズの愛と笑いと復讐」

2016年01月09日 | 海外の作家

 

訳・北代美和子
河出書房新社
2015年8月 初版発行
333頁

 

 

主人公は105歳の現役料理人ローズ
8歳のときアルメニア人大虐殺で家族を失います
その後、親戚に奴隷のようにこき使われていた時に出会ったガブリエルと結婚、パリでレストランを経営を始めます
順風満帆のように思えた人生でしたが、ナチス侵攻により、ユダヤ人であるガブリエルは二人の子どもと共に強制収容所送りになります
アルメニア人でありながらアーリア人の特徴を備えたローズは、調理の腕前と美貌でレストランの顧客であったヒムラーの愛人となり密かにガブリエルたちの行方を探します
しかし、愛する夫と子供たちとの再会は叶いませんでした
彼らは収容所内で既に死亡していたのです
戦後は一時的にアメリカ大陸に渡り、後に中国へ
中国で出会った12歳も年下の柳との幸せな日々
しかし、それも長続きせず柳は毛沢東政権下で命を落とします
パリに戻ったローズはガブリエルが生きていた頃と同じ名前のレストランを再び始め、現在に至ります

 

精神的にも肉体的にも“逞しい”その一言に尽きます
タイトルにもある『復讐』=意味のある正義、はまるでアクション映画のような手際の良さで単独でさっさとやってのけます

 

殺戮の20世紀を生き抜いたスーパーおばあちゃん
復讐を終え、心のつかえを綺麗さっぱりと落としたローズはまだまだ元気

愛と笑いと皮肉で世界の現実を訴え続けるのです

 

 

原題の La cuisiniere d’Himmler
直訳すれば「ヒムラーの女性料理人」
今回は邦題が良かったかな

 

表紙カバー最高ですね^^

 

 

 

 

 


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