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葉室麟「螢草」

2018年02月19日 | は行の作家

 

双葉文庫
2015年11月 第1刷発行
2016年 4月 第7刷発行
解説・細谷正充
365頁 

 

舞台は架空の藩、鏑木藩
主人公は菜々という16歳の少女
藩士の家に生れますが、父親が城中で刃傷沙汰を起こし切腹
村の庄屋である母親の実家で育ちます
しかし、母親が亡くなると色々と居心地の悪いことが増えてきて出自を隠して奉公に出ることにし、鏑木藩の上士、風早市之進の屋敷で女中働きを始めます
市之進も妻の佐知も優しく、おっちょこちょいなところのある菜々を咎めることもなく平穏な日々を過ごしていました
しかし、かつて父親を死に追いやった男・轟平九郎が登場してからは、そんな日常は次第に崩れていきます
姉のように慕っていた佐知が病に倒れ、藩の改革派のリーダーと目されている市之進は轟の暗躍もあり失脚、江戸に送られます
屋敷も取り上げられ行き場を失った菜々ですが、いつか市之進が戻る日まで風早家の二人の子供をしっかり育てようと、母親の実家からもらった野菜や草鞋を道端で売って貧しいながらも必死で暮らしを支えます
素直で芯の強い菜々は、偶然行き会った剣術使い、質屋の女将、隣家の儒学者などなど
周囲の人々との触れ合いを通じて健気に成長していきます
そして、見事父の仇を討ち、市之進も無事帰藩と相成るのでした 

菜々が人の名前を聞き違えるのが可笑しい
剣術使い・壇浦五兵衛(だんのうらごへえ)を「だんご兵衛」
質屋の女将・お舟(おふね)を「お骨」
隣家の儒学者・椎上節斎(しいがみせつさい)を「死神先生」
見た目や言動から勝手に思い込むのですが、頭が柔らかい証拠ですよね
切迫感のある場面にこんな呼び名が出てくるとこちらも肩の力が抜けてホッとします
笑いあり、涙あり
読後感はいつものように爽やかでした 

菜々の剣術の腕云々は上手くいきすぎかと思いましたが、良しとしましょう^^

タイトルの「螢草」は俳諧での露草の呼び名で菜々と佐知が心通わせる場面に出てきます
きれいな呼び名だけれど儚げな名、素敵です

 

先日、書店に行きましたら
追悼・葉室麟コーナーが設けられていました
まだ読んでいない著書がたくさんあります
大切に大切に読んでいきたいと思います

 


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2 コメント

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幸せな商売 (たんぽぽ)
2018-02-19 19:48:54
思いの他ユーモアもあって、すごく読みやすいストーリーでした。宗太郎くんがまた、いいヤツでしたよね~。
宇江佐真理さんに、葉室麟さん。私の好きな時代小説の作家さんが亡くなってしまうのはとても寂しいのですが、小説家は亡くなっても作品は残りますものね。幸せな商売だなあ・・・と思ったりします。
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たんぽぽさん (こに)
2018-02-20 08:30:41
そうそう
宗太郎君、彼にも春がやってくるといいなぁ。
葉室さんは一昨年こちらで催されたトークショーに参加したかったのですが他の予定が入っていて諦めたのでした。残念無念。
どんどん読むのは勿体ない、ぼちぼち大事に読んでいきたいですね。
返信する

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