ちくまプリマー新書
2013年8月 初版第1刷発行
127頁
ちくまプリマー新書のカバーイラストがクラフト・エヴィング商會なのは誰もが知っていることですが
その記念すべき200冊目に執筆されたのが本書
「それからはスープのことばかり考えて暮らした」のサンドウィッチ店の息子・リツ君がつむじ風食堂で町の大人たちから『仕事』について話を聞く、という趣向の短編で「月舟町三部作」の番外編といえます
12歳のリツ君
今、この時間もいつか『昔』になるのだと考える少し大人びた少年は、週に一度、一人で路面電車に乗ってつむじ風食堂に夕飯を食べに行きます
つむじ風食堂の大人たちには完全に子ども扱いされてしまうリツ君は、先手必勝みたく「仕事は何ですか」と質問します
すると大人たちは、リツ君を子ども扱いせず、自分たちの仕事の大変さやその仕事を選んだきっかけなどについて、丁寧に真面目に答えてくれるのです
『子供たちにひとつだけ何かを伝える』というテーマに沿って書かれた本書
特に変わった事件が起こるでもなく、穏やかに流れる時間の中でリツ君は様々なことを考えます
そして最後に、リツ君が仕事についてどう考えているか質問したのは、自分の父親でした
もういちど言うけれど、僕がこれまでに読んできた物語の主人公たちは、自分の住んでいる町を離れて、ひとりで考える時間をつくった
でも、考える時間が終わったら、そのあと彼らはどうしていただろう?
僕は食堂へ行く時間が少なくなった
とりあえず、考えることが少なくなってきたからだ
それでも、食堂からの帰りに路面電車に乗り込むと、将来へ続く長い道のりを感じて、きっと、考える時間に終わりはないと思いなおす
「つむじ風食堂の夜」
「それからはスープのことばかり考えて暮らした」
に続く
「レインコートを着た犬」
早く読みたいです
それと
つむじ風食堂でクロケット定食を食べたい、なぁ
今まで見えなかったことが見えてくる。コドモから大人への道のり。
そう考えると、私は一体どこでそのハードルを超えたのか、というか超えていないままなのでは、などと思えたりして。
リツくん、恐るべし。でも実際にこんな子がいたら、ちょっとかわいくないかも・・・?
確かに、かわいくないかもしれませんね~。(^_^;)
父親は一番身近にいる大人ですものね。
だてに大人やってんじゃないよ、なんてネ。
>私は一体どこでそのハードルを超えたのか
きちんと考えたことが無いです。
有耶無耶に力づくでやってきたような…。アハハ