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映画・小さいおうち

2014年02月15日 | 映画(国内)

 

2014年 日本
原作 中島京子

 

 

物語の時代背景は
1935年(昭和10年)から終戦直後、そして2000年(平成12年)から2009年(平成21年)頃
ふたつの時代が交差しながら、やがてひとつにつながっていく様が描かれる

 

東京郊外のモダンな家で起きた、ある恋愛事件の秘密を巡る物語
そのストーリーの向うに、あまり見つめられてこなかった当時の小市民家庭の暮らし、戦前から敗戦の時代を描きつつ、更にその先に、今の日本がどこへ向かっていくのか、というようなことも見えてくる作品です

 

大学生の荒井健史(妻夫木聡)の大伯母・タキ(倍賞智恵子)の葬儀の日
ひとり暮らしのタキのアパートを訪ねては彼女の“自叙伝”を読むのを楽しみにしていた健史の回想から物語は始まります

 

昭和10年、山形から東京へ奉公に出ることになったタキ(黒木華)
小説家の屋敷に1年ほど仕えた後、東京郊外の赤い三角屋根の小さいけれどモダンな家に暮らす平井家に奉公することになる
玩具会社の常務・雅樹(片岡孝太郎)、妻の時子(松たか子)、ひとり息子の恭一が仲良く暮らす家にすぐ馴染んだタキにとって平井家は何よりも大切な居場所となった
新年、平井家に集まる雅樹の会社の社長や社員たちの中でひとり、戦争や景気の話の輪に入れない雅樹の部下・板倉正治(吉岡秀隆)がいた
当時の一般的な男性の生き方や価値観から外れた板倉に強く惹かれる時子
それは板倉も同じで、二人の出会いが小さなおうちに波紋を投げかけます

 

タキが時子と平井家の為に良かれと思って犯した小さな罪
その罪が何だったのかは映画の終盤で明らかになりますが、ずっとその罪を心にしまってきた平成のタキが「長生きなんてするもんじゃなかった」と号泣します
タキの辛さを思うと実に重い言葉です

 

タキの自叙伝を読んで「戦争中にそんな楽しいことがあるはずがない」という健史
私たちが歴史の授業やテレビ、書籍等から知る当時の暮らしは我慢、忍耐ばかりの悲惨な日々だった、というものになりがちですが、実はそうでもなく、明るく楽しいこともたくさんあったのですね
その辺りは曽野綾子さんや黒柳徹子さんも仰っています

 

昭和の「小さいおうち」の時代にタイムスリップして時子やタキ、雅樹、板倉の日常を間近で見ているような感覚でした
逆に、平成のシーンが客観的に見えて遠い感じがしましたね

 

 

松たか子さんが素晴らしかったです
赤紙が届いた板倉を訪ねるため装うシーン
黒っぽい夏紬に緋色の腰紐を口にくわえて、鏡を見ながら着付けをする横顔に、ひとりの女の強い意志と色香が漂っていました

 

そんな奥様を控えめに見つめる昭和のタキを演じた黒木さんもよく役柄に合っていたと思いました

  

着物といえば、雅樹役の片岡孝太郎さんも日頃から着物に慣れていらっしゃるので、会社から戻って背広から着物に着替えるシーンがごくごく自然で昭和の旦那様にピッタリでした

 

 

この映画、山田洋次監督作品の中では「たそがれ清兵衛」の次に好きかも

原作も近いうちに読んでみましょう

 

 

 


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