2008年8月、フランス
今までとは違う年度がはじまる
新しい顔ぶれ、新しい仕事、新しいサイクル
その前の一息の季節。
太陽の季節、夏のバカンス。
「太陽がこんなに心地よく降り注いでいるにこの光を浴びないなんて!」
「一年でこんなに素敵な季節に大切な家族と時を過ごさないなんて!」
この心と体を思う存分リラックスさせて
エネルギー満タンで再スタートを切ろう
とばかりに、みんなこぞって家族でバカンスに出かける。
生まれたての赤ちゃんも
反抗期の少年少女も
おばあちゃんおじいちゃんも
みんなそろってバカンスにでかける。
そんなフランスのバカンスを
私もちょっとだけ体験。
3泊4日の週末バカンス。
********
行き先はノルマンディ、Vパパの生まれ故郷。
北大西洋に面したこの地方は
1日の中でもコロコロと天気がかわる。
晴れていたかと思うと、急に大きな雲が向こうからやって雨を降らす。
ものすごく細かい、霧の様な雨。
この地方の芝が青々としているのはこの雨のおかげ。
ややもすると、その雲の隙間から太陽の光が幾つも差し込み、時々虹が出る。
バカンス用にVパパとママが借りた別荘は
名も無いような小さな村に建てられた室内プール付きの1件屋。
寝室が3部屋あり、それぞれにバスルームとトイレがついていて
Vパパママと私たち、それにV弟家族の3世帯総勢7人が
心地よく住める様になっていた。
雨が降ると気温が下がる。
ただでさえ、太陽が出ていないと肌寒いくらいなのに。
そんな訳で、暖炉に薪がくべられる。
8月の暖炉の火。
その横で、ガラスの扉で仕切られた室内プールに飛び込むのは私とV。
そして浮き輪にしがみつきながらおそるおそるプールに入る姪っ子Sちゃん。
朝の11時。
両手足を大の字にのばして
「じゃぁ、おやすみなさーい」と言って目をつむりぷかぷかと浮かんでみる。
窓の外には霧の様な雨。
ガラス扉越しには暖炉の火。
青いプールの水の音。
奥の部屋からお昼ご飯を準備するいいにおいがしてくる。
においに誘われプールから上がり
冷たい体をシャワーで流して暖める。
さっぱりしてから降りて行くと、もの凄い空腹感。
暖かい部屋の中ぬれた髪にタオルをかけ
まだどことなく冷たくだるい手足をもてあそびながら感じる
この空腹は、なんだかすごいバカンスっぽい、と一人感じ入る。
皆で囲む食卓。遅めの昼ご飯。
一日に何度も泳ぎ、久しぶりの水の感覚を楽しむ。
買い出しグループで近くの街のスーパーへ行ったり
食べさせてもらってばかりではなんなので
チキンのオーブン焼きをお昼に作ったり
ほうきで家の中を掃除したり、
目の前にあるリンゴ畑を散歩して
見つけた木いちごをつまんで食べたり
池の魚を観察したり
気分転換に大きな街へ皆で行ってカジノでちょっとだけ遊んだり
アイスクリームを食べながら浜辺を歩いたり
人気のない田舎道で車の運転練習したり
暖炉の前で座って本を読んだり
テレビを見たり
ゴロゴロしたり
そんな風にして過ぎて行ったつかの間のバカンス。
気づけばパリはもう秋。
落ち葉の上をさっそうと歩くブーツもちらほらと。