トコロカワレバ

毎日は些細な驚きで溢れてる

パリ観光(1) パリ・ オペラ座

2005-10-31 | 舞台の
イギリスから幼なじみのSaraがやって来た。
久しぶりに会えるのでとても嬉しくて、5日間一緒にパリに滞在することにした。

ツアー旅行とはちょびりと違う5日間のパリ観光旅行。
犬の落とし物が汚いとか、何でゴミをゴミ箱に捨てないんだとか、普段色々不満はあったが
久しぶりに旅行者の目で見たパリは、意外に綺麗だったのだ。
そう、パリは決して清潔ではないけど綺麗なのだ。
あなたらフランス人、やるところは徹底してやりきっていてけっこうスゴイじゃん。
なにより、Saraがフランスを気に入ってくれたので私も単純に嬉しい。


そんなに忙しく動き回った気はないのだけれど
けっこう濃い旅行だった。
なんだって初日から、オペラ座でバレエなんて鑑賞してしまったから。
オペラ座は、点と線に美を見いだすような日本人の頭には
想像を絶するゴージャラスさと重厚さで、その内部には
噂通りにほわほわと夢心地なシャガールの巨大な天井画がしっくりしていた。
その、とことんなまでの力のいれ具合と、気の抜き方は
「美しい」という言葉に対する「フランス人的の頭のなか」を感じた。

今回観たバレエは、
舞踏家であるNicolas Le Riche(ニコラ・ル・リシュ)が作ったCaligula(カリギュラ)という作品。
倒錯的性格や妄想癖を持っていたローマ皇帝Caliguraの人間性を肉体で表現したもの。
作品はいわゆる古典ではなくコンテンポラリーにアレンジされていた。
舞台はとてもシンプルで真っ黒な床に鳥井と手ぬぐいを思わせるような門が左右にあり、中央には幅広い真っ白な階段。
上部には舞台の幅一杯に広がる布が天井代わりにカーブを描いて垂れ下がり
そこには常に何かしらの映像が投影されていた。
泡のようであったり、繊維のようであったり、細胞のようであったり
にじんでいるようであったり浮遊しているようであったり。
音楽はオーケストラによるヴィバルディの四季とノイズの様な音楽が場面ごとに使われていた。
ダンサーの動きは時に太極拳のようで、時にギャグっぽくもあった。

私はバレエについて詳しくはわからないし、そもそも一体何年ぶりに見たのかも忘れてしまったほど。
それでもそれでも、「完璧な肉体」の「完璧な動き」という物を目にした気がした。
まるで宙を飛んでいるよう、とはさすがに言わないけれど
恐ろしいほどなめらかな動きの裏に計り知れない筋肉の動きがあるという緊張感をびしびし感じた。

そうえば、バレエというと「男の人の白いタイツ」が頭に浮かびがち。
そして、今回主人公の男性のお衣装は
下半身は、当然(?)白いタイツ
足下には太いリボンが膝下まで編まれていて
それにくわえて深い赤のビロード地ボクサーパンツと
上半身はやっぱり白いタイツに筋肉のスジに沿った赤い布をまとっていた。
と、書くとちょっと気持ち悪い。
たしかに、そこいらの人が着て街をあるいたら捕まってもおかしくない衣装だけど
実際、手足が長くて「完璧な肉体」をもった彫りの深い顔のダンサーが
オペラ座の舞台という非日常的空間で
それを身につけるとそれはむしろ、そうあるべき物、の様にすら感じるほど
肉体を引き立てるのです。


12月に例の「白鳥の湖」を最近出来た新しいオペラ座で上演するらしい。
バレエの代名詞のようなこの作品も、違った風に見れるかも知れない。
チケット予約しようかな。

自転車でモンマルトル

2005-10-26 | Parisの街角で
パリ近くのとある街から片道16キロ。
ある日曜日の午前中に自転車でモンマルトルに行って来た。
モンマルトル?もんまるとる?
そう、
あのアメリの舞台モンマルトル。
モン(mont=山)が地名についているように
そこはパリの中でもいちにを争う高い丘。
そして、にっくき石畳。

お昼ご飯までに戻って来た頃には
ふとももの上側がいたくって
まるでおばあさんになったように階段上るのがきつかった。
階段の手すりって大切と妙に実感したり。

けれど夜には、体が軽かった。
やっぱりたまには、こがなくちゃね。

ハロウィーンって何の行事?

2005-10-22 | 季節の行事
日本ではまだまだ馴染みの浅いハロウィーン。
アメリカからやって来たハロウィーンは10年程前からフランスにも浸透してきました。

去る10月6日の事、ある家庭におじゃましたら、
パチ!パチ!パチ!
突然拍手された、
と思ったら、間髪を得ずして
絹を裂くような女性の叫び声
「キャーーーァァ!!!!!!」
「イーッヒッヒィヒィーッ」(スゴイ悪そうな笑い声)

いやぁ、何かと思った。
見上げれば、ほうきに乗った魔女が天井からぶら下がって
「イーッヒィヒィーッ」をフェードアウトさせながらブルブル震えてる。
手をパチパチすると反応するらしい。
ゴム製の指先の動きが妙にリアルでちょっと怖い。
見回せば、血がしたたる骸骨やら、怪しく白い煙を吐き出す液体やら、
緑色の肌をした魔女やら、おなじみのカボチャなんかが至る所に飾ってある。
このお宅はこれから1ヶ月間、このインテリアなのね。。。


ところで、
「ハロウィーン」って何だろう
なんていう疑問すら持たずにいた行事だけれど
実はHalloweenは宗教上のお祭りなんです。
知ってた?
私はこちらに来て知りました。

元をただせば11月1日。
この日はAll Saints' Day
セイント、と言えばセイントセイヤ?と反応してしまうが
それも全然遠くなく、
これは、よろずの聖人(神々)が浮世にやってくる日。
日本語だと「万聖節」だとか。
つまり、まさに日本の「お盆」の様なもの。
きっと、ご先祖様からのペガサス座の精霊までこぞってやってくるのでしょう。

元々Halloweenという単語は
All Hallow Evenの短縮形で
All=全ての Hallow=聖人  Even=前夜

11月1日は「万聖節」の祝日で
その前夜祭がHalloweenという事なのです。

万聖節は既に亡くなってしまった聖人や家族の為のお祭り。
過去の人々の事を思い起こす悲しく厳かなお祭りであるけれど
前夜祭では逆にその気持ちを紛らわすかのように
家中をカボチャや魔女で飾ったり仮装したりして楽しむのでしょう。
それは、何となく
「火葬場の昼食でお寿司とビールをいただく」
のと似ている。

万聖節そのものはフランスでも昔から続いている大切な日。
けれど以前前はハロウィーンというとアメリカかぶれのおかしな行事
という感が強かった。
特に「美しいもの」好きフランス人に
魔女やらコウモリやらを飾るのは受け入れにくい。
けれども、ハロウィーンがれっきとした宗教行事であり
起源はフランス、ブルターニュ地方の行事で
それをアメリカ人がまねてアメリカ大陸に持っていった、という一説もあり
ここ数年、特に子どものいる家庭には欠かせない行事になってきた。
夏のバカンスが終わってからクリスマスまで大きな行事がなかったので
イベントが出来て良かった、という心持ちもあるらしい。

そういった訳で、
いま、フランスの各家庭では着々と魔女と骸骨の準備がすすみ
デパートでは子供用のどくどくモンスターや白雪姫の仮装グッズが売れに売れ
パン屋さんのショーウィンドーにすらクモが巣を作りコウモリが羽を広げているのです。

ちなみに冒頭の震える魔女は高い音に反応するらしく
たまにステンレスのトレーなんかを落っことしたりすると
「キャーーーァァ!!!!!!」
「イーッヒッヒィヒィーッ」
と叫んでブルブル怪しく震えています。

暗闇レストラン 後編

2005-10-16 | 食卓の
カーテンの奥は暗い部屋、
というより突然現れた真っ暗な今まで経験したことのない空間。
想像以上にまっくらで
想像以上にものすごく普通に人の喋り声や物音が聞こえる。
Saraに連れられて、何とか席についた後は
ナイフ、フォークの位置、ガラスのコップの位置、お皿の位置等々を教わる。
どこだどこだと、手探りでテーブル上にある物を確認しているうちに
Saraが第一の料理をはこんで来た。

目の前にガンと置かれたお皿をまず触ってみる。なめらかでやや厚くてまあるい。
顔を近づけてにおいをかいでみる。
香りからは、、、思った以上になんだかわらかない。
色々な葉っぱの香りがするので、サラダということは解る。
けど、何サラダ?
手探りで、フォークを探し当て手に持ち
いざサラダらしきものがあるだろう所にめがけてぐさっとさしてみる。
ささった感覚があったので、そのまま口にはこんでみる。
様々な香りと共に、葉っぱが口の中に入ってきた。
ルッコラの様な苦みのある葉が入っている。
けれど、けれど、確信はない。
フォークだけでは難しく、思わず手で食べたくなるけれど
そこは我慢して、フランスパンとフォークで料理を挟んで食べる。
フランスにフランスパンがあって良かった。

お、小さなエビが入っていた。これはすぐわかる。
お皿の中にもっと小さいお皿が乗っかっているのに気づく。
中身は、いくつかの食材が細かくサイの目に切られて混ざっている
その中の一つ。
あーなんだっけこの味、、、
知ってる、知ってる。
うーん、、、
なんだっけ。

あっ、スイカだ。

手探りで、お皿の向こうの方にあるはずのガラスのカップに手を伸ばす。
背の低い方のガラスカップがワイン用。
高いほうが水用。
コップを一緒に来た人に渡し、ワインを注いでもらう。
もうそろそろ溢れるんじゃないだろうか、と心配になるくらい
長いことかけてトクトクトクとワインを注ぐ音がした。
戻ってきたコップにこっそりと人差し指を入れてみる。
人差し指の先がワインに触れた。
無難な量のワインが入っていた。

Saraは近くを通るたびに
「順調に食べてる?」「もう食べ終わった?」「何かあったらすぐ言ってね」
と逐一声をかける。
「大丈夫」「まだ残ってる」と私たち。


・・・と
こんな様子で
メイン、デザートまでたどり着くのです。

最後のデザートは
「何味だかさっぱり解らないけれどものすごいおいしいアイスクリーム」
が口の中に入ってきて、とてもびっくりしたのだけれど
デザートに関しては、目で愛でてこその一品という気がした。
暗闇の中で食べるデザートはもったいない。
ちなみにアイスはローズアイスだった事が後で解った。

明るい中での食事とのちがい。
一番強く感じたのは
香りに対して敏感になることでも
盲目の人に対する思いやりでも
暗さに対する怖さでもなくて
まさに「疲労」。

食べる時、お皿になるべく近づこうと自然に前屈みになるので
物理的に背中がいたくなる。
それと、何を食べているのかあててやろうという意気込みから
味覚はもとより、嗅覚、触覚を最大限に使おうとし
さらに、無意識に目を開いているので全く働かない視覚まで無駄に使い
加えて、距離感覚、平衡感覚まで。
脳みその普段とちがう部分を使った感じがした。

いっとき
食事中に自分が突然大きな声を出したのに驚いた。
それは暗闇の中では相手の表情が見えず
相手にも表情や仕草で伝えられないので
声のトーンで伝えようとしたから。

会話中、話し出すタイミングにとまどわなかった事に後になって気づいた。
どうやって「間」を感じ取っていたんだろう。
それは今でも不思議だ。

暗い部屋から出た直ぐは
光が目に痛かった。

もう一度行ったら、食べることにも少しはなれて
ちがうことを感じるかもしれない。


みなさん、こちらへ来ることがあったら
一緒にどうですか?

アンティチョーク

2005-10-15 | 食卓の
先日のお昼のこと。
お昼ご飯ができたと呼ばれたので食卓に向かうと
「どっどぉーん!!」
って感じでスゴイ物がお皿にのっていた。

これは、アンティチョーク。
前から調理してみたいとは思っていたのだけれど
どう調理したものやら
どこを食べて良い物やらさっぱり解らず
結局手つかずだった食材。
いやぁ、こんなに大胆にお皿に盛るとは存じませんでした。

ちなみにこんなにでっかいけど
食べられるところはそんなになくて
ガク(花びら?葉っぱ?)の付け根の僅かな部分と
中央の柔らかい固まりを食べます。

暗闇レストラン 前編

2005-10-11 | 食卓の
昨夜、パリのあるレストランに行った。
世の中には様々おかしなレストランがあるけれど
これほど独特なものはそうそうないのでは。

レストランの名は「Dans le Noir?」(暗闇の中で?)
その名の通り
レストランの店内は真っ暗。
薄暗い、
とかではなく
ほんとうに、
まっくら、
なのです。
目を閉じているのか、開いているのか、わからないほどの暗闇。
久方経験していなかった暗闇。
けれど
部屋の中は全く普通のレストランのように
人々が話し合う声
イスを引く音
食器の触れあう音に満ちている
不思議な空間。

ウェイトレス?
彼らは盲目の人たちなのです。

レストランの扉をくぐると
正面はカウンターバーとレジになっていて
その左手には分厚い黒いカーテン。
そこが食事をする部屋への入り口。
カウンターでは食事を終えて出てきた人たちが
コーヒーを飲んでいた。
熱い飲み物は明るいところで。

部屋に入る前にまず大まかな説明を受ける。
気分が悪くなったら直ぐ知らせること、
ライター、蛍光の物などは禁止、
荷物はロッカーへ、
中にトイレはないので事前に、
云々。。。
その後、そこで料理と飲み物とを注文する。
メニューは全てコースメニュー。
私たちはサプライズメニューと赤ワインを選んだ。
サプライズメニューは
前菜、メイン、デザートの三品。
何が出てくるかはわからない。
もっとも、出てきたところでわかるかどうか。

Saraというウェイターが自己紹介をする。
笑顔で明るく親切そう。心強い案内人。
明るいところで彼女を見ると、彼女の目がうまく機能していないだろうことが容易に推測できる。
Saraを先頭に、それぞれ前の人の肩に手を置き一列になる。
そして、皆ちょこちょこと歩み出し
分厚いカーテンをくぐり
真っ暗な部屋へと入っていく。


続く

町の印刷所

2005-10-06 | アトリエの
印刷所に見学に行った。
赤、青、黄、黒、
インクのにおい。

大きなドイツ製の印刷機が2台。
印刷機はそれぞれ個性を持っているので
印刷機は自身を動かす運転手を選ぶ。

小さめの機械。相棒は印刷所の親父さん。
この日はパンフレットを刷っていた。

大きめの方の機械。相棒はジャックさん。
パンフレットと同じデザインのポスターを刷っていた。
そして、
不思議なことに、
ジャックさんは色盲なのです。


そういえば
ここに来て
盲目の針灸師にも遭遇した。

むむ、
不思議、ではないのかも。
だからこそ
なのかもね。

フランス家庭の夕食

2005-10-01 | 食卓の
今日の夕食はクレープだった。
選択肢は
砂糖、
チョコ、
ジャム。

おまけにデザートには洋ナシのタルトと
プラムのタルト。
お手製のタルトということで
洋なしのタルトをいただいた。
さすがにプラムは遠慮しておいたけど。
おいしかったけど、、、
いくら食べても夕食食べた気しないよぅ。
しかも9時半すぎての夕食。

味噌汁に白いご飯と塩鮭あたりが懐かしい今日この頃。