トコロカワレバ

毎日は些細な驚きで溢れてる

2度目の結婚式

2007-10-10 | Mariage





あれから丁度5ヶ月。

5ヶ月前には夢物語だったような話が現実となり
家族の内3人に加え親戚2人もがその場に来てくれました。

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一日早くCDG空港に降り立った父はやや興奮していたのかもしれない、
ホテルに向かう車の中では
3ヶ月のブランクを埋めるかのように
言葉が勝手に彼の口から溢れ出ている様だった。
7時間の時差は、やや不眠症の彼の体内リズムにぴったりとはまったようで
時差はむしろ彼のペースとエネルギーを取り戻してくれた模様。

そして翌日到着した母とママはニコニコ顔で
小走りに、手を振りながら到着ゲートから出てきた。
12時間のフライトの疲れなどかけらも見られず
今、家の門を出て来たばかりの様なヘアとメイク
そしてシワひとつない洋服。

体の小さい彼女らは、フライト中丸くなって非常に快適に眠ったらしい。
普段の睡眠不足を補った彼女らは、飛行機を降り荷物をピックアップした後
トイレにてしっかりとお色直し(Vがお迎えにきている為)。

家族ながらこのパワーには脱帽。





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9月15日(土)
この日も神様が気を利かせてくれたのか
曇りのち晴れの、とても心地よいお天気となる。

 9:30 市役所での署名式
アットホームな雰囲気のなか
市長さんのウィットにとんだ進行に、始終皆から笑いが漏れる。
式が終わり市役所の外へ出ると
青い芝にゼラニウムで飾られた石造りのその建物を背景に
手動式オルゴールをまわす大道芸人達がリズム良いシャンソンを歌い始める。
ママとニニン(Vのおばあちゃま)はそれぞれペアの相手を見つけて踊りだす。
私とVは促され、その大きなオルゴールの機械をまわしてみる。
レバーは重く、回転を一定に保っていないと音域が揺れるのでなかなか難しい。

 11:00 印刷所でのカクテルパーティー
普段はインクのにおいが漂い機械音が響くこの場所も
今日は風船が飾られワインやシャンパンが振る舞われ
笑顔の人々が押し詰まっている。

 13:00 ガーデンパーティー
プログラムはない。
そこに居る人々が、そのいっ時分かち合うだけ。
様々の草木や花に囲まれた庭には午後の陽が木漏れ日となって差し込み
子どもがその隙間を駆け回り
大人はテーブルを囲み語り合ったり
芝の上のブランコチェアに揺られて庭を眺めたりする。
お母さんが作ったごちそうに舌鼓をうちワインを味わいながら。

お庭には30人ちょっとの人が招待されて居たのだけれど
Vのお母さんは一時も椅子には腰掛けず
ツヤツヤしたピンクとシルバーのストライプシャツの上からエプロンをかけ
一人で30人分の前菜とパエリア、それにカスレとピエスモンテを作ってしまった。
身長190cmを超える息子を2人も育て上げた母の底力はスゴイ。

そして、皆お腹いっぱいになり、アルコールも程よくたっぷり回り
ひとしきりしゃべり疲れるとだんだんと帰っていった。





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V両親から私家族へのプレゼントである
隣町の「お城ホテル」に夕方家族を送り届ける。
19世紀後半の建物と家具はそのままに
けれども目も覚めるような配色によって
オシャレに生まれ変わったお城のようなホテル。
泊まる事が出来るのはたった2組のみ。
雑誌出てくるような素敵な景色を背景に
丁度良く正装していた私たちはあちこちで写真を撮りまくる。
ママはポーズを決めまくる。




そして夜、私たちは4区のアパートへともどる。
小さな部屋に、贈られた花束が香る。

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幼い頃は、お姫様やドレス、ピンク色には全然興味を持たず、
「結婚式で皆にお披露目するなんて、見せ物みたいでイヤッ!」
と思っていたけれど
(実際、劇の会でやった役は黒子に音響そして
何かやったと思えばいじめられっ子マッチ売りの少女だったけ)
その反動が今きたのかしら、
欲張りにも出来る事ならもう一回くらいこの主役やりたいなぁ、と思う。

何か大切な事をお祝いする時の形は色々あるけれど、
間と区切りを大切にして、贅を尽くす日本の形
個々と契約を大切にして、時を楽しむ事に尽くすフランスの形
どちらとも異なった形ではあるのに
なぜかどちらもしっくりと心地よくそして
お互い共鳴し合っている部分があるのはなぜでしょう。


ともかく、2回もお祝いしてもらえて嬉しい限り。
みなさん、どうもありがとう。





ツツジ

2007-06-11 | Mariage




待ちに待っていたモノが
いえ
待たされに待たされていたモノがやってきました。
その名も
リヴレ・ド・ファミーユ。
通称、家族手帳。


この手帳を開くと
結婚をしたあの方とその方の名前がお役所の人の手により記されています。
お二方の産まれた地名も書かれています。
それぞれのご両親の名前も書かれています。
もしお二方に子どもが出来た時はその子どもの名前も書き加えられます。

お二方の姓は同じ事もあるし、違うこともあります。
お二方の国籍は同じ事もあるし、違うこともあります。
お二方とも2重国籍という事だってあります。
子どもは、お父さんの姓を受け継ぐそうです。



この家族手帳をもって
ようやく仮のビザを申請することができました。
仮のビザは無事に発行され
そして私は出発します。


*****


結婚式をするというのは
ありがとう、を家族にきちんと伝えるという事なのでしょう。
今まで考えてもみなかったけれど
式や宴自体はそのほんの一端でしかないのでしょう。
そこに至るまでに、色々なすったもんだがあって
その一連のすったもんだが実は一番重要なのではないかな、と思ったのでした。

こんな大きなイベント作りを一緒に出来る機会があって良かった。
でも、これが最後かも。どうもアリガトウ、家族よ。
うまれて初めての非常に私的な出来事に参加してくれてアリガトウ。
みんなに囲まれ本当に、とっても嬉しかったよ、友達よ。
なんだか大変でくたびれ果てたケド、すごく楽しかったねぇ。
これからも色々と一緒に良いモノを造っていきましょう、パートナーよ。

オメデトウと祝ってくれたみなさん、どうもアリガトウ。




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庭には鮮やかなピンクのツツジが咲きほこっていて
ぶぅーん、と低くてぞわぞわさせる音をたてるクマンバチが
狂ったように花の中に体を入れて
蜜をすっている。

「日本にはアザレジャポニカが沢山植えられているね」と
向こうのお母さんが言っていたので
少なくともかれこれ2ヶ月前から咲いているのだろうか?

ツツジの花を摘んで吸うととても甘い。
でも、吸うことに集中しすぎると
でっかい蜂が顔の脇に潜んでいるのだ。
ツツジはコワイ。

ツツジのことをアザレっていうんだ。
いつ頃までが、時期だったかな。
あじさいと同じではなかったように思うけど。
それを確認出来ないまま
出発は今度の金曜日です。





行ってきまーす。




アナログの不安ったら

2007-03-12 | Mariage




ここはParisの郊外Yvry(イヴリー)県、Houilles(ウイユ)市の市役所。
先月から、私とVは週に1度は必ずここを訪れている。
期待感と諦め感をいつも抱きながら、この市役所の前に立つ。
そして、毎回必ず残念な思いを胸に、そこを後にする。


そして先週末、時は夕暮れ時。
この日は朝から天気が良く、なんだかとても心地良い一日だった。
だからといって、期待すると裏切られた時のダメージが大きいので
心をなるべくニュートラルに保つ様にする。


てくてくてくてく。とんとんとん。
角を曲がると、市役所の正面が見えてくる。
心がざわざわとしてくる。
おちつけ!


そして市役所正面に立ち、入り口脇にある掲示板に目を泳がせる。
・・・

「Il y a !」(あった!)
と最初に叫んだのはVだった。
「あ、ホントだ!」
と、私。


私たちが待っていたのは、この掲示板に張り出されたA4の紙っぺら。
ここには
「誰それさんと誰それさんがいついつどこどこで結婚します」
という事が書いてあって、2週間この市役所の前に公示され
その間「この結婚に異議あり!」と申し立てる人が現れなければ
結婚を認めましょう、という紙っぺら。





思えば、必要な書類を送って1ヶ月以上も何の音沙汰もなく
問い合わせのメールを送っても返事は来ず。
書類に不備が無いか確認の手段も無いまま出来ることはひたすら待つだけ。
この便利な時代に、封書を一通海の彼方に送り
手続きが無事済むのをひたすら祈ってた末
この紙が近くの市役所の掲示板に本当に張り出されたのを見るというは
なんとも奇妙な感覚。
手の中にあるようで実は確かな物はなんにもない
デジタルなコミュニケーションに慣れている時に
ばったりと、この、手に取って確かめられない
アナログな通信手段に出会ってしまった時の不安と言ったら。。。
そして、また、その後の喜びと言ったら。


ともかく、残すところ1週間。
「ちょっと待った!」と言う人がいませんように。