海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「ブラックウオーター事件、アメリカを痛撃」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2007年09月20日 | イラク問題
コンドリーザ・ライス国務長官は、イラクのアル・マリキ首相に、日曜日にバグダッド市内でブラックウオーター社が派遣した警護人と攻撃者の間の戦闘で犠牲となった8人の民間人の死に対して遺憾の意を伝えた。イラク内務省の報道官は、加害者はイラクの法廷に立たされるねばならないと述べた。その前に、マリキ首相は、シーア派の過激派指導者であるムクタダ・アル・サドルの圧力でブラックウオータ社からライセンスを取り上げていた。
1.民間の治安警備会社は、米国の軍事政策の一部
 イラクにおける外国人警護人の役割を巡って、激しい議論が起こっている。警護人の撤退は、単なる脅しなのかどうか。それはアメリカを痛撃するだろう。ブラックウオーターや他の治安警備会社は、軍事セクターを民間会社に移すという米国の軍事政策の一部である。
移譲のための法的基礎は、1985年にロナルド・レーガン元大統領によって、軍隊のロジスティックを「民間で強化する計画」で作成された。しかし、最初に大規模に、民間会社を軍事に投入したのはビル・クリントンだった。彼は、1992年に治安警備会社にソマリアでの国連軍のロジスティックを委託した。同じことは、1999年に東チモールで、2000年にハイチで起こった。それは異常なことではない。アメリカの国防長官は、しばしば、産業界の出身で、国防省の官僚は、非効率で有名である。そのためい、アメリカ大統領はしばしば、不愉快な質問を突きつけられる。
 民間会社は、国防省の周辺で、膨大な合理化利益をかぎつけた。1996年には、キリスト教保守派の軍事専門家であるエリック・プリンスが治安ビジネスに手を染めた。彼は、ノース・カロライナ州に「ブラックウオーター治安警備会社」を設立した。イエーメンでのアルカイダによる駆逐艦「コール」の攻撃の後で、2000年にブラックウオーター社は、ビル・クリントンから船舶の警備を委託された。「黒いげんこつ」の旗印のもとで始まったこの企業は、ノース・カロライナ州で第二の雇用者に成り上がった。新しい本部は、6千平米あり、ドアの取っ手は、銃身でできている。ブラックウオーター社は、監視用の飛行船をテストし、地雷で破壊されやすいハムヴィー・ジープに替わる車を開発した。国防省は、この会社に米国民間人の警護を委託した。
2.私的治安警備会社の法的抜け穴
 ブラックウオーター社の条件は、民衆の口では「戦争の犬」と呼ばれている従業員の不逮捕特権である。彼らは民間人だが、投入された国の法に従わない。このことは、2004年にイラク政府に主権が渡された際に確証された。それが唯一の法的穴ではない。米軍とは違って、契約者は、議会に報告の義務がない。(後略)
[訳者の感想]民間会社が戦闘行為を許されるというのは、どうも理解できませんが、国家の特権を譲ってまで、軍事力の一部を民営化するという思想には、大きな問題がありそうです。民営化もここまで来るとすごいなと思います。
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