冒頭とラストのウユニ塩湖が美しい。ジョニー・トー杜[王其]峰製作、ロー・ウィンチョン羅永昌監督作品。
香港の実業家、ウォン(アンソニー・ウォン黄秋生)の娘デイジー(ジャニス・マン文詠珊)は、実の母親が亡くなってから非行に走り、今ではヤク中になってチンピラとつるんでいた。そんなデイジーを誘拐した、と犯人から連絡が入るが、ウォンとケンカをして家を出ていったばかりだったので、狂言誘拐かもしれないと疑い、警察には知らせず犯人の言うがままに身代金を準備したら、ものの見事に犯人グループに身代金を奪われてしまう。
身代金を準備したにもかかわらずデイジーは死体となって帰ってきて、ウォンは復讐を決意する。前科を持ちながらも忠実に働くチュウ(リッチー・レン任賢齊)が犯人を突き止めて、制裁を下すが。。
最初からデイジーが死体で出てきて、どういう経緯でそうなったのか、という種明かしのような趣もあり、ぐいぐいとストーリーに引き込まれました。たくさんの伏線が絡み合っていて、犯人がウォンを怖れたのも地上げ場所での火災や担当者の死亡記事を見たのかもしれないし、ウォンとデイジーの親娘関係も弟の進路をめぐる本人とウォンとの考えの違いや、チュウの離婚して別居している息子とのやりとり、最後には女手ひとつで幼い娘を育てていた秘書のエイミー(キャンディ・ロー盧巧音)もでてきて、それぞれが何がしかの問題を抱えながら生きています。
今回公開された香港ノワール3作の中では、この作品が一番好きかな。チュウがなんでウォンにあそこまで忠義を尽くすのかその理由が分からなかったり、デイジーを誘拐したのは単なる金目当だったのか、それとも何かウォンに対する恨みがあったのかがよく分からなかったり、物語のピースとしては少し欠けているものもあったけど、そんなことは全く気になることなく楽しめました。
『コンシェンス/裏切りの炎』と違って任賢齊の髪型もちゃんとしてかっこよかったし、自分ではあまり動かなかった黄秋生の苦悩する父親の演技も見応えありました。シンプルなプロットだけど、主役脇役問わずに細かなところまで盛りだくさんのディテールが、多くのサブストーリーを陰で紡いでいる気がします。
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8/19 新宿武蔵野館
『桃(タオ)さんのしあわせ』10月13日公開!
ウユニ塩湖は神秘的で美しかったですね。
物語的には詰めの甘さもあったけど、家族の気持ちを軸に描いているので、
現実離れしすぎていないのが良かったです。
ウユニ塩湖、行きたい場所リストに入りました。
最後の母子家庭のシークエンスだったり、リッチー・レンの子供との電話だったり、
いろんなところに家族への想いが描かれていましたね。