イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「魚料理のサイエンス」読了

2016年11月28日 | 2016読書
成瀬宇平 「魚料理のサイエンス」読了

サイエンスと書いてあったので科学的に魚料理が美味しくなる方法を解説しているのかと手に取ってみたけれどもそうではなくて、魚ごとにそれにまつわるよもやま話を含まれているアミノ酸や脂質成分を無理やり織り交ぜて書いているという感じだ。
それぞれの魚の章の最後には古い俳句や短歌が書かれているほどなので著者はサイエンスというよりも魚の話を書きたかったのであろう。どうしても数ある魚エッセイの中で奇をてらって目立ちたかったというところか。何かの連載らしく、章が進むにしたがってその物質の取り上げられ方が変わってきているのもいろいろ批判や指導があったのかもしれない。
魚が中心になって書かれているのでその物質が旨みにどんな効果をもたらしているのか、体系的にも解説されていなくて理科系脳のまったくない僕にはまったくわかりづらいものであった。

せっかくなので簡単だけれどもこの本の中身からとネットの情報をもとに適当にまとめてみた。
魚の旨味成分はアミノ酸、核酸、有機酸に区分けされる。
アミノ酸にはグルタミン酸、アスパラギン酸、タウリン、リジン、ベタインなどの物質があり、タウリン、リジン、ベタインというのは甘みを感じる成分らしい。イカの甘みというのはこの成分が多いから。タコにはグリシンが少ないので甘みがイカより薄い。
青物にはヒスチジンというアミノ酸が旨味成分として含まれているが、これが変成するとヒスタミンという毒物になって中毒を起こすもとになるのだそうで、サバの生け腐りの元凶になる。
ちなみに魚の生臭みのもとはトリメチルアミンという物質でアンモニア臭のもとにもなっているそうだ。

核酸の代表はイノシン酸。白身魚にも青物にも含まれているが特に青物、サバには大量に含まれていてあのサバの美味しさをつかさどっている。
同じ核酸の旨味のグアニル酸はシイタケに大量に含まれていて、あ~、あの味かと実感できる数少ない旨味成分かもしれない。

有機酸は白身魚にはクレアチン、貝類にはコハク酸というものが多量に含まれているそうだ。
コハク酸というのはよく聞く名前で、これは強力な旨味成分で合成されたものがインスタントラーメンや練り物によく添加されているそうだ。

そのほか、魚の美味しさを決めるのは脂と食感。
脂質はサバで17%、アジで5%。白身魚になると3~5%に減ってしまう。青物は旨み成分の種類は少ないが脂分でそれを凌駕している。やはり食べ物は脂がないと美味しくない。
しかし、サンマは脂ノリノリで美味しいがカロリーがすごい。ちなみに脂分は24%。カロリーは約350キロカロリー。マクドのハンバーガー1個分くらいだ。
また、タチウオは白身の魚でありながら脂質が20%もある。だから美味しいのだ。青物よりも脂があるけれどもそんなにしつこくないのは脂分の30%がオレイン酸というオリーブオイルなんかの主成分で構成されていてそれがしつこさを消していて、おまけにこれは悪玉コレステロールを減少させ、抗酸化作用もあるそうだ。
今年はあまり大きいのが釣れなかったが、食べれば食べるほど体にいい魚に違いない。

食感については釣ってすぐに食べるとコリコリした歯ごたえが味わえるが旨味が少ない。コラーゲンが多いか少ないかというところにもかかわるそうだが、概して魚は死後、体内のエネルギー源であるATPが分解してアミノ酸が合成され、食感は柔らかくなってゆくがそれが旨み成分となってゆくので釣ってすぐより翌日か翌々日くらいが一番美味しいとはよく言われることだ。
しかしながら、悲しいかな、美味しいと言われる魚ほど釣るのは難しいように思う。だから我が家ではその日のうちに消化をしてしてしまう。熟成が進む翌日に持ち越せないのだ。
美味しい魚を食べようと思ったらもっとたくさんの魚を釣らなければならないということだ。




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