メタリックアルビ

アルビとメタルと時々山

裏妙義・丁須の頭(撤退)2

2007-09-08 23:09:18 | 山行

前編からの続き

ここで私はまた10分考えた。道を塞ぐ土砂はぬかるんでおり、滑りやすい。通行に邪魔な石を下に落としたとき、ものすごく下のほうで石が転がる音がした。万が一足を滑らせ、滑落すれば想像も付かないほどの距離を転がり落ちることになるだろう。それでも、ここも無理をすれば登れる自信が私にはあった。だが、今度こそ登ったら最後、絶対に降りられなくなる気がした。上るほうが大変だと思う人もいるだろうが、こういった足場の悪い傾斜地では、上るよりも降りるときのほうがはるかに危険が大きい。

もちろん、ここから先もずっと前進が続けられれば問題はないのだ。だがここから先、本当に前進不可能な場所に行き当たった時、いよいよ進退極まる危険性が高い。不本意ながら、私はここで撤退を決めた。登山口からは、まだ30分程度の地点だった。

ちなみに、今回の特別な装備としてはコンパスと軍手のみ。もしかしたら、土砂を取り除くためのスコップも必携なのだろうか…。

撤退を決めたら、そこからは速い。というか、一刻も早く下りたい理由があった。それは、この登山道に大量の山蛭がいたからだ。

私はおおよその形は知っているものの、蛭を見るのはこれが初めてであったので、実物を見てもそれが蛭であるとはしばらく気づかなかった。最初は、やけに粘着力の強いしゃくとり虫だなと思っていたのだが、ここには蛭が出るという情報を思い出した。それからは、蛭とおぼしきものが付着するたびに払っていたのだが、右足くるぶし付近にちくっとした痛みを感じて見てみると、そこには蛭がへばりついていた。急いでひっぺがすが(けっこう力が強い)傷口からは血が流れ出ている。しかも、噂には聞いていたがそれが止まらない。

そんなこんなで、危険を承知で急いで下山。例の滝も急ぎつつ冷静に、気合で下った。

下山して、蛭の危険のないコンクリートの上で改めて蛭チェック。かまれた場所は左右の足を一箇所ずつ。左足は、かまれた直後に蛭をはがしたので、赤く点になっているけど出血はなかった。上の服を脱ぎ、靴も脱いで調べたところ、靴の中で1匹発見。かまれる前だったので問題はなかったが、油断も隙もない(恐)。

撤退地点など、いろいろ写真を撮っておけばよかったのだが、最初の滝しか記録していなかったのが今思うと残念だ。でも、本当に余裕なかったんだよ、蛭のせいで。。。

滝登りに、蛭と格闘にと、短い山行ながら密度の濃い1日ではあったが、目的を達成し得ない不本意な一日でもあった。もちろんこのままで終わるわけにはいかない。今度は蛭の出ない時期+登山情報をきっちりチェックしてリベンジしたいと思う。

遭遇した方々:ヒト×0、ヘビ×2、ヒル×十数匹

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裏妙義・丁須の頭(撤退)

2007-09-08 22:41:08 | 山行

本日は、あと1回残っている青春18きっぷ消費を兼ねて、以前から気になっていた裏妙義・丁須の頭に行こうとしたのだが…。

妙義山塊のある群馬県松井田町付近に、台風9号の影響で記録的な大雨が降っていたのは知っていた。でも、今日は晴天。問題ないかと思ったんだけど、考えが甘かった。

_001_5 この写真は、登山開始すぐに現れる岩壁である。中央付近に鎖が写っているのがお分かりいただけるだろうか?鎖上部は滝の落ち口に完全に入っている。

実はこの滝、私が持っていた昭文社の地図には記載がなかった。ただ、岩壁を鎖で登ると書いてあるだけだ。おそらく、通常は水の流れのない(あったとしても水は少量)場所なのだろう。

この滝に取り付く前に、私は約10分考え、他にこの壁を登るルートを探したが、結局この鎖をたどるのが最善と思えた。そして同時に、濡れはするけど何とか上がれるだろうが、おそらく降りられないとも思った。もっとも帰りは別の登山道を使うつもりだったので、このときは上れさえすればいいと思っていた。ちなみに、もしも滑落したら10m位下の岩に体を打ち付けることとなる。死なないかもしれないけど、大怪我は必至の状況だ。

結論から言うと、この滝を登るのは案外容易だった。それでも他人と一緒だったら、まずやらなかっただろう。一人だから、こういうことをこれまでにも経験しているから、やっただけだ。腕力に自信のない人は真似してはいけない。

滝をクリアした私は、大雨の後で荒れた登山道を注意深く、確実に進んでいった。雨で地面の緩んだ急登、岩壁のトラバース、岩登り等、難所に思える場所でも、鎖のある場所は何の問題もなく進んでいった。だが、決断を下すときは確実に近づいていた。

前方に岩壁が見えている上り坂の途中、大きな倒木が道をふさぐ。付近に木が倒れた痕(根の穴)がないことから、この倒木は前方の岩壁上部から落下してきたと推察される。倒木を避けて岩壁に取り付こうとしたところ、問題が発生した。

登山道は前方の岩壁をトラバースしつつ上に進んでいくのだが、倒木により上部から大量に流れ落ちてきた土砂が、か細い岩壁の道を完全に埋め尽くしている。そしてなんと、その土砂によって、岩壁に取り付けられていた鎖が外れてしまっていたのだ。

道が土砂に埋まり、鎖が外れている区間はおよそ2m程度のものだろう。だが、このときの私にはそれがとてつもなく長い距離に感じた。

長くなったので、以下は後編

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