ラミ・デュ・ヴァン・エフ シェフのブログ ~言葉の錬金術~

フランス料理に限らず、色んな話のブログ内容です。

フランス料理の料理名に詰まっているのは「食材」「調理法」そして「想い」である

2015-04-03 23:26:29 | Weblog
 今月に入って連続のブログ投稿に若干、辛さが滲んでいる方もいらっしゃるのではないか、と推測できますが、それは新年度からブログアップ数を増やそうという自分なりの意気込みの現れであります。しかし、そんな意気込みを見せつけられたところで「文章が長いから辛いだけですよ・・・」と思っている方が多数いる事は判っております。判っているけど止められない今日この頃、皆様、如何お過ごしでしょうか。
 皆様、ご存知でしょうが、当ブログの文章は長いです。その為「読もうとしたけど文章が長くて途中でやめた」や「文章が長くて辛い」、「読みたいけど全部読めない」、「意地になって長い文章を書いているのか?」といった声を頂く事が多々ございます。
 確かに、ブログを始めた頃よりはだいぶ、いや、かなり文章が長くなっているのは自分でも理解しておりますし、「読んでいて大変なのではないだろうか・・・」と思う事も御座います。(だったら短くしろよ)
 しかし、もうこんなブログを8年以上続けているのですから、今更文章を短くして「みんな、読んでね!」というわけにはいかないんです!(逆ギレ)
 「読みづらく、判りにくくて疲れるブログ」というのは、もしかすると、今の私の仕事であります「フランス料理」と似ているかも知れません。
 マナーを気にしてしまって「食べづらく」、メニューを読んでも「判りづらく」、気を遣うので食べていて「疲れる」、皆様が思う、そんな料理が「フランス料理」なのではないでしょうか。
 そのイメージを払拭するためにブログを始めた、というのも少しはあるのですが、残念ながら払拭するどころか増長させてしまった感は、あるのでしょうかね?ないですよね・・・ない、でしょ・・・
 皆さんが「判りづらい」と感じてしまうのは主に「メニュー」だったりするのかも知れません。メニューを聞いて(見て)もその内容がよく判らない、という声はよく聞く事でありますが、それ以上に価格の問題も、あるんで、しょうかね・・・まぁ、とりあえず価格の問題は置いといて(コラコラ)、メニューですが、例えば「海老」をテーマに考えてみましょう。
 「海老」は日本人が一番好きな食材だそうですが、「海老の天婦羅」「ボタンエビの刺身」「海老のチリソース炒め」「海老とトマトのクリームスパゲティ」などよりは「オマール海老のロティ ソース・アメリケーヌ」の方が判りづらく、オーダーを躊躇ってしまうのではないでしょうか。
 海老の種類の問題もあるかもしれませんが、他の海老料理よりもオーダーを躊躇ってしまうのは「ロティ」「ソース・アメリケーヌ」といった文字でしょう。
 「ロティ」は「ロースト」、「ソース・アメリケーヌ」は「トマト風味の海老のソース」と訳せますが、どうしても一般的に言われるところの「敷居が高い」という感じは残ってしまいます。(因みに、本来「敷居が高い」は「不義理をしてしまって入りづらい」という意味です)
 しかも、フランス料理にありがちな「長いメニュー名」というのもお気軽感にストップをかけてしまう事は間違いありません。
 
「21日間ドライエイジングしたシャロレー牛の低温ロティ 軽く薫香を付けた白インゲン豆のピュレとスパイス風味の人参のピュレ 軽く煮詰めたジュと共に」

 どうですか、こんなメニューを見つけてしまったら見なかった事にしたくなる指数はうなぎ上りであります。
 しかし、逆に考えれば、お気軽なお店のメニューにこの要素を取り込む事によってちょっと高級感を持たせることもできるわけですよ。
 例えば、

「鶏もも肉のから揚げ」

 と謳うよりも、

「鶏もも肉の和風フリット 儚き醤油の香りと共に」

 とあったら「何だかよく判らないけど高級そう」と思えるわけです。

「鮭茶漬け」

 だって、

「ほぐした鮭のグリルと白きご飯のハーモニー 緑茶香るスープ仕立て」

 なんて名前になっていたら物凄いものを想像してしまうでしょう。
 フランス料理の場合、食材やその調理法、付け合せなどをメニューに反映させてしまうとどうしても料理名が長くなってしまう、という事はあるのですが、料理名も雰囲気づくりに一役買っている、と考えれば違和感ないと思えるのです。
 
 フランス料理の料理名が長いのは、食材、調理法、そして、作り手の想いが詰まっているから、というのはお判りになられたと思いますが、それと同じように、当ブログの文章が長いのも料理に対する考え方や想いが詰まっているから、とお思いになられるとお読みになるのが少しだけ楽になるのではないでしょうか。(強引な展開)

「全く料理に関係ない話の時は何が詰まっているのですか?」

 そうですねぇ、「想い」というより、「思いつき」の方がかなり詰まっています。

 いや、本当に思いつきでしかないのかもしれません。

 それは、神のみぞ知る事です。(お前が書いてんだろ!)




















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5 コメント

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長い名前 (オリーブヒルズ)
2015-04-04 07:48:39
むかしあるお店で「契約農家で採れた有機ニンジンを使った・・・・」なんてメニューみたことあります。お料理に想いはすごく大事だと思います。ムッシュ村上が仰ったとおり、いちばんおいしい料理はお母さんの作った料理だ、というとおり、想いが入った料理はほんとにおいしいものです。ただ、想いがでしゃばりすぎると食べる方は「重く」なりますね(-_-;)コートドールの「牛の尻尾の煮込み」「トリュフのかき卵」なんてそれだけでも想いがバンバン伝わってくるのは、想いが上滑りしてないからなんでしょうね。
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コメントありがとうございます (マチルダベイ)
2015-04-04 12:07:09
  >オリーブヒルズ様

確かに、長い料理名は、時として食べ手にその想いが空回りしている感じを与えるかも知れません。
フランス料理の皿は構成する要素を積み上げるため、それを伝えようとすると料理名が長くなることがあると思われます。
コートドールの斎須シェフは構成する要素をそぎ落としてご自身の料理を表現なさっているため、簡潔な料理名になっているのだと思います。

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こだわり (オリーブヒルズ)
2015-04-04 12:43:19
藤原シェフのブログからも素材に真剣に向き合う姿を強く感じます。山形は遠いですが、いつかお伺いしたいと思います。
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Unknown (Unknown)
2015-07-25 18:09:09
日本人ならわかるのですが現地の人ならば
全てそのイメージを把握して注文しているのですかね?
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Re:Unknown (matildabay)
2015-07-29 12:08:19
>Unknown様

現地でも長い名前の料理が出てくるお店は星付きのレストランしかありませんから、強引に理解するしかありません(笑)
ただ、普通のお店でも人の名前や土地の名前がついた料理(~風、のような)がありますから、その辺は分かって注文していると思います。
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